落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

花火週間の東北

2012年08月17日 | 復興支援レポート
8月10日(金)~17日(金)とお盆にまた東北行ってました。
また東北。また気仙沼。また唐桑。

しかし今回は直前に風邪をひいたり皮膚炎に罹ったりして体調がイマイチだったということもあり、事前にあまり予定を入れずに、ただ夏休みをのんびり気楽に過ごすつもりで行ってみた。
前回いろいろと予定外のことが起こったりして、以前のようにキチキチ計画たてて頭でっかちになって被災地に入ってもヘンに疲れることが多くなってきたので、ただフラッと行って、なんかできることがあったらやればいいや、みたいなノリでいいかなと。
キチキチやりたかったら他に行くべきところはいくらもある。
でも転職して間もなく、ここ数ヶ月体調もあんまり芳しくない、精神的にも体力的にも余裕のないぐりにはそれはもうちょっとしんどい。

そしたらばさっそく初日。夜行バスが渋滞にハマり、到着が驚くなかれ8時間遅れ。ラテンかここは。
ぐりは夜行バスに乗る前日は夜更かしして意図的に寝不足の状態をつくり、乗車直前に軽くビールを飲んで乗ったらすぐに眠れるようにしておく。だから今回も22時30分に乗車して出発も待たずに速攻ぐっすり爆睡して、ふと起きたのが早朝5時。カーテンをめくって外を見たら上河内SAに入るところだった。一晩走って栃木ってどういうことだ。
結局予定では6時に仙台に着くはずが実際に着いたのは12時40分だった。それからすぐに13時30分発大船渡行きの高速バスに乗ったがこちらも順調に遅れて、最終的に気仙沼着は17時40分になってしまった。まー寝た寝た。いくら寝てもなかなか目的地に着かなくて、何度も「寝過ごした!」なんて焦って飛び起きたけど。
この日は地元の漁師さんたちがボランティアを招いてお昼からBBQパーティーを催してくれていて、マスコミの取材も入っていた。それをそっくりすっぽかす羽目になってしまい、おまけに普段からお世話になってる漁業関係者の皆さんに会える機会も逸してしまって、とても悔しかった。
しょうがないのでひとりで花火だけ見てその日は終わった。

翌日からは泊まっている宿のお手伝いをしながら、地元のお祭りを手伝ったり、いつもお世話になってるレストランをお手伝いしたり、仮設住宅や仮設商店街のイベントを覗いたり、基本ブラブラして過ごした。最終日は初めて大島を訪問して観光スポットをまわり、夜はまた花火を見て帰ってきた。
12日の夜のBBQでも何時間も延々花火しまくったり、花火三昧の夏休みだった。

今回の東北滞在ではちょっとしたアクシデントもあった。細かいことは控えるが、あと少しで絶対に起こってはいけない大トラブルに発展するかもしれないという危険性もあった。結果的には大事にはいたらなかったが、各方面にいろいろと迷惑もかけ、しばらくは忘れられないような恐怖も味わった。
要は半定期的に同じ場所に通って馴染んだはいいけど、緊張感も忘れてたということになる。明確な目的意識もなくボランティア面して被災地に通うというお気楽さのどこが間違っているのかを、改めて思い出した夏休みでもあった。
いずれにせよふんどしは締め直さなくてはならない。
けどめんどくさいんだよねこれがさ(おい)。


気仙沼港にて。防潮堤の高さを表すロープ。

2012年7月13日(金)~17日(火)震災ボランティア報告
2012年5月30日(水)~6月4日(月)震災ボランティアレポートIndex
2012年5月18日(金)~20日(日)震災ボランティアレポートIndex
2012年5月2日(水)~6日(日)震災ボランティアレポート
2012年4月14日(土)~15日(日)震災ボランティアレポート
2012年3月16日(金)~21日(水)震災ボランティアレポートIndex
2012年3月10日(土)~13日(火)震災ボランティアレポート
2012年2月9日(木)~2月15日(水)震災ボランティアレポートIndex
2012年1月18日(水)震災ボランティアレポート
2011年11月1日(火)~6日(日)震災ボランティアレポートIndex
2011年10月21日(金)~24日(月)震災ボランティアレポート
2011年10月6日(木)~10日(日)震災ボランティアレポート
2011年8月26日(金)~9月4日(日)震災ボランティアレポートIndex
2011年8月11日(木)~15日(月)震災ボランティアレポートIndex
2011年4月29日(金)~5月7日(土)震災ボランティアレポートIndex
Googleマップ 震災ボランティアレポートマップ(ver.3.6)

放題道

2012年08月01日 | movie
『私が、生きる肌』

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルの最新作。
形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)は事故で失った妻そっくりに整形手術を施したベラ(エレナ・アナヤ)を自宅に監禁、あらゆる自由を拘束し、最新の技術を駆使した人工皮膚の人体実験を彼女に繰り返す。
愛する家族と引き裂かれ、狂気の復讐心に燃える彼だったが、やがて喪ったものを取り戻したいという欲求の前に、完璧な計画を自ら瓦解させていく。

なんだかんだで毎回新作をチェックしてしまうアルモドバル作品。
毎度毎度とんでもないというか、ろくでもない映画だとゆーことは観る前からわかってるんだけど、なんかそのとんでもなさとかろくでもなさをついつい確かめたくなるんだよね。
それくらい、いつもいつもとんでもなくろくでもない。この人にとっては、社会通念とか常識とか倫理観とかそーゆーのは徹頭徹尾どうでもいいらしい。つうかむしろそーゆー「まともな神経」を心の底からバカにしてるんじゃないかとも思われるフシさえある。完全にそーゆーものをすっぱりとぶっちぎってやりたい放題。どこまでぶっちぎれるか、究極のやりたい放題に挑戦してるとしか思えない。もうあっぱれでございます。
でもってストーリーがムチャクチャ。ワンシーンごとにそんなことあるわけないやろ?アホか!!な展開満載。なのにぐいぐい引きつけられる。ほとんど絶叫マシーン並みの強引さ。ここまでやれば却って爽快なくらい。

どこがどうとんでもなくろくでもないとゆーと、まず設定ね。
患者を自宅に監禁して24時間監視しつつ人体実験を繰り返すマッドサイエンティストが主役ってとこが既にアウトでしょう。
この彼の出生自体もアウトだし、妻を亡くした顛末にも娘を死なせた原因にもあまりにも救いがなさ過ぎてアウト。スリーアウトね。ストーリーの要素がいちいち不倫に駆落ちにレイプに誘拐に監禁その他、大事件のオンパレード。盛り過ぎやろ。
ふつーここまで盛ったら観ててバタバタしてしょうがないような気がしちゃうんだけど、なんでかしっくりまとまってるのが不思議でしょうがない。これぞアルモドバルマジック。

たぶんその底に、人間がみんな持って生まれてきたはずの得体の知れなさ、狂気やしたたかさや愚かさがきっちり流れてるからだと思う。
自らを裏切った妻が本来の姿を失い、自ら命を絶ってもひたすら彼女を愛し続けるロベル。娘を奪ったビセンテ(ジャン・コルネット)を心底恨み、凄まじい復讐を企てながらやがて自らその計画に囚われていく。
ロベルに忠実に仕えるマリリア(マリサ・バレデス)にしても、息子のセカ(ロベルト・アラモ)にしても、バカはバカなんだけどものすごいきっちり筋が通ったバカなんだよね。ここまでくればバカもひとつの生き方かもなと感心させられてしまう。

いつも通り予想通りてんやわんや大騒ぎな映画だったけど、ムチャクチャなようで定番のテーマも外してない。
生き別れの母子、トランスジェンダー、不義。
考えてみればアルモドバルはこの同じカードを、毎回別のゲームで繰っているようにも思える。
でもそのゲームのなんと彩やかなことか。
たぶん次の作品も観ちゃうんだろーなー。間違いなく。