『手紙』
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弟・直貴(山田孝之)の進学資金欲しさに泥棒に入った家で、誤って家人を殺害してしまった剛志(玉山鉄二)。無期懲役の判決を受けて千葉刑務所で服役し、定期的に直貴に手紙を出すが、直貴は強盗殺人犯の家族という理由で住む家を追われ、職を失い、愛する女性(吹石一恵)との関係も引き裂かれ、お笑いコンビを組んでいた幼馴染み(尾上寛之)との友情も壊れてしまう。
堪えきれずに兄に伝えずに引越しをする直貴だったが、彼に代わって剛志に手紙を書いてくれる女性(沢尻エリカ)が現れ・・・。
東野圭吾の同名小説の映画化。
ネット社会、炎上社会といわれる現代。
ぐり自身は身近に加害者家族に接したことがないので、この物語に描かれる差別がどの程度リアルなのかは正直ちょっとよくわからない。過剰演出といえばそんな気もするし、傷つきたくない主人公が自閉していく過程をわかりやすく表現するためのギミックといえばそれまでかもしれない。ただ、現実は決して加害者家族にやさしい世の中などではないということだけは事実としてわかる。
でも、どこにいるどんな立場の人間にも瞬時にあらゆる情報が引き出せ、かつ情報発信が可能ないま、似たようなことはいつでも誰にでも起こり得る。剛志は人を殺してしまうが、何もそこまでしなくてもいまや誰もがごく些細なきっかけで炎上の対象者になり、いわれのない誹謗中傷の嵐に巻き込まれ、社会的地位を失う危険性がある。運が悪ければ一生回復できないダメージを負う場合さえある。
人の噂も七十五日とはいうものの、違法行為を侵した人やその身内にとっては、差別され続ける時間はそんな程度で済まされない。人が人を傷つけ、貶めてしまった罪を雪ぐのは時間ではない。人それぞれにその方法は違うが、その長い長い道は、決して自分自身を欺くことなく、自らその罪をまっすぐに見つめ、向かいあうことからしか始まらないのではないだろうか。
兄が服役した当初、まだ十代だった直貴にはもちろんそんなことはわからない。
兄の犯罪の動機が自分の学資だったために、兄といっしょに罪を償うこと、つまり自らも社会の激しい差別にさらされることが、彼の中で「しかたのないこと」として固着してしまう。だが実際に犯罪を侵したのは彼ではない。どんな理由があれ、犯罪に解決法を求めた剛志が間違っているのであって、それは他の誰にも償うことはできない。それを知らない直貴はやがて疲れ、差別から逃げることだけを考えるようになってしまう。
お笑い芸人を辞めて勤めた電気店でも兄の犯罪を知られ転勤になってしまった彼に、経営者(杉浦直樹)がいう。「差別は当然だ」と。一見暴論のようだが、そうではない。彼は何も、加害者家族は差別されて当り前だといっているのではない。差別から逃げても何も解決しない。自分自身は何もしていないのにという被害者意識からは何も生まれない。差別は自ら克服する以外に解決策はないといっているのだ。
原作は読んだことないけど、たぶんいい話なんだろうなと思う。
差別が悪意ではなく、ごく当り前の自己防衛本能であることを、非常にストレートに描いている。悪意がないからこその差別の恐ろしさがよく伝わる。「差別はいけない」という単なる固定概念ではなく、差別がいったい何を引き起こし、人は何によって差別と向かいあうべきなのかが、あたたかく静かに表現されている。
でもなー。演出がベタ過ぎて、なんかクドかった。ラストシーンの小田和正とか超いらんわあ。キャスティングもあってないような。出演者の演技はだいたいよかったと思うけど・・・沢尻エリカの関西弁はちょっとアレでしたわね。子ども連れて公園に行く母親が妙に中途半端な丈のタイトスカートはいてたり、やたらキメキメなファッションとかヘアメイクも意味不明。
一方の主人公である剛志を演じた玉山鉄二にいっさい台詞がなく、手紙のモノローグだけというのはよかったです。しかしこの人は顔が綺麗過ぎてこの役にあってない。気の毒なくらいあってない。全体に白痴っぽい人物造形には非常に努力を感じましたけども。
なんだかんだいってぐり的なヒットはやっぱ杉浦直樹だな。この人大好きなんです。ワンシーンしか出てこなかったのがちょっと寂しかったけど、それもまたいい。
スクリーンではこれが彼の遺作になった。名優の最後の映画として、いいシーンだったと思います。
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弟・直貴(山田孝之)の進学資金欲しさに泥棒に入った家で、誤って家人を殺害してしまった剛志(玉山鉄二)。無期懲役の判決を受けて千葉刑務所で服役し、定期的に直貴に手紙を出すが、直貴は強盗殺人犯の家族という理由で住む家を追われ、職を失い、愛する女性(吹石一恵)との関係も引き裂かれ、お笑いコンビを組んでいた幼馴染み(尾上寛之)との友情も壊れてしまう。
堪えきれずに兄に伝えずに引越しをする直貴だったが、彼に代わって剛志に手紙を書いてくれる女性(沢尻エリカ)が現れ・・・。
東野圭吾の同名小説の映画化。
ネット社会、炎上社会といわれる現代。
ぐり自身は身近に加害者家族に接したことがないので、この物語に描かれる差別がどの程度リアルなのかは正直ちょっとよくわからない。過剰演出といえばそんな気もするし、傷つきたくない主人公が自閉していく過程をわかりやすく表現するためのギミックといえばそれまでかもしれない。ただ、現実は決して加害者家族にやさしい世の中などではないということだけは事実としてわかる。
でも、どこにいるどんな立場の人間にも瞬時にあらゆる情報が引き出せ、かつ情報発信が可能ないま、似たようなことはいつでも誰にでも起こり得る。剛志は人を殺してしまうが、何もそこまでしなくてもいまや誰もがごく些細なきっかけで炎上の対象者になり、いわれのない誹謗中傷の嵐に巻き込まれ、社会的地位を失う危険性がある。運が悪ければ一生回復できないダメージを負う場合さえある。
人の噂も七十五日とはいうものの、違法行為を侵した人やその身内にとっては、差別され続ける時間はそんな程度で済まされない。人が人を傷つけ、貶めてしまった罪を雪ぐのは時間ではない。人それぞれにその方法は違うが、その長い長い道は、決して自分自身を欺くことなく、自らその罪をまっすぐに見つめ、向かいあうことからしか始まらないのではないだろうか。
兄が服役した当初、まだ十代だった直貴にはもちろんそんなことはわからない。
兄の犯罪の動機が自分の学資だったために、兄といっしょに罪を償うこと、つまり自らも社会の激しい差別にさらされることが、彼の中で「しかたのないこと」として固着してしまう。だが実際に犯罪を侵したのは彼ではない。どんな理由があれ、犯罪に解決法を求めた剛志が間違っているのであって、それは他の誰にも償うことはできない。それを知らない直貴はやがて疲れ、差別から逃げることだけを考えるようになってしまう。
お笑い芸人を辞めて勤めた電気店でも兄の犯罪を知られ転勤になってしまった彼に、経営者(杉浦直樹)がいう。「差別は当然だ」と。一見暴論のようだが、そうではない。彼は何も、加害者家族は差別されて当り前だといっているのではない。差別から逃げても何も解決しない。自分自身は何もしていないのにという被害者意識からは何も生まれない。差別は自ら克服する以外に解決策はないといっているのだ。
原作は読んだことないけど、たぶんいい話なんだろうなと思う。
差別が悪意ではなく、ごく当り前の自己防衛本能であることを、非常にストレートに描いている。悪意がないからこその差別の恐ろしさがよく伝わる。「差別はいけない」という単なる固定概念ではなく、差別がいったい何を引き起こし、人は何によって差別と向かいあうべきなのかが、あたたかく静かに表現されている。
でもなー。演出がベタ過ぎて、なんかクドかった。ラストシーンの小田和正とか超いらんわあ。キャスティングもあってないような。出演者の演技はだいたいよかったと思うけど・・・沢尻エリカの関西弁はちょっとアレでしたわね。子ども連れて公園に行く母親が妙に中途半端な丈のタイトスカートはいてたり、やたらキメキメなファッションとかヘアメイクも意味不明。
一方の主人公である剛志を演じた玉山鉄二にいっさい台詞がなく、手紙のモノローグだけというのはよかったです。しかしこの人は顔が綺麗過ぎてこの役にあってない。気の毒なくらいあってない。全体に白痴っぽい人物造形には非常に努力を感じましたけども。
なんだかんだいってぐり的なヒットはやっぱ杉浦直樹だな。この人大好きなんです。ワンシーンしか出てこなかったのがちょっと寂しかったけど、それもまたいい。
スクリーンではこれが彼の遺作になった。名優の最後の映画として、いいシーンだったと思います。