『ひつじ村の兄弟』
牧羊で生計をたてる小さな村でスクレイピーが発生。村の羊をすべて殺処分することに決まったが、品評会で優勝したばかりのキディー(テオドール・ユーリウソン)は「貴重な血統を絶やしたくない」と当局の指導に非協力的で、困惑した保健所は隣家に住む弟グミー(シグルヅル・シグルヨンソン)に助力を求める。だが兄弟は40年間ろくに会話もしないほど仲違いしていた。
今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを獲得したアイスランド映画。
アイスランドといえばビヨーク。火山の国で、ヨーロッパでも気候変動の影響を最も受けている。
それくらいのことしかわからない。
でもこの映画を観ていると、なんだか自分がそこに住んでるような気分になってくる。
全編とても静かで、ちょいちょい「これは大丈夫なんだろうか」と心配になるくらい、徹頭徹尾淡々としている。
とにかく台詞がない。ほとんどない。そして物語の展開が地味。めっちゃ地味。
けど、田舎の生活ってそんなもんなんだよね。日の出とともに起きて、家畜の世話をして、日が沈んだらごはんを食べて寝る。だいたいとくに人と話さなくてはならないようなことはあんまりなくて、思い通りにならないのが当たり前な自然との対話のなかで時間が過ぎていく。
展開がどんなに地味で画面が平和でも、人の心の物語だけはそうはいかない。
隣り合わせに暮しながら40年も交流のない兄弟の間柄は、とても平和とはいいがたい。どうして彼らの関係がそこまでこじれたのか劇中で具体的な説明はないけど、まあなんとなくわかるよね。兄弟だから、家族だからこそ受けいれがたい、許せない、めんどくさいことってあるよね。すごいわかるよそれ。わかりますよね。
どこの兄弟だって生まれつきこじれてるわけじゃない。でも気づいたらこじれちゃってることってあるじゃん。ありますよね。
そのこじれたふたりの間に、牧羊という仕事への愛情が流れている。ふたりとも羊が好きで、ほんとうに心から可愛がっている。ふたりの羊への愛がやさしくて、観ていて心があたたかくなる。
その愛ゆえに到達するラストシーンにはめっちゃビックリしたけど、なんだかものすごく共感してしまった。絵ヅラ的にはハッキリいって衝撃映像だと思うけど(w。
ところでスクレイピーは字幕では伝染病となってたけど、正確には変性病である。牛に発生するBSEで知られる伝達性海綿状脳症の一種で、治療法も感染経路も実際のところわかってないみたいです。
つーても劇中ではそういう説明もさっぱりない。そういうとこもちょっと心配になりました。
でもまあおもしろかったです。ハイ。
BSEや鳥インフルエンザなど家畜の感染症は発生すれば報道されるけど、発生したあと地元の人たちの身の上に何が起こるかまでは、一般消費者には知る機会がない。それがとても丁寧に描写されていて、モノの向こう側にいる人々の暮らしや人生の重さについてひしひしと感じることの多い物語でした。
それと、劇中でアイスランドの人たちが着てる服がかわいかった。みんな似たようなカウチン着てるんだけど、色使いが絶妙でかわいいの。ああいうの、ほしいなあ。
牧羊で生計をたてる小さな村でスクレイピーが発生。村の羊をすべて殺処分することに決まったが、品評会で優勝したばかりのキディー(テオドール・ユーリウソン)は「貴重な血統を絶やしたくない」と当局の指導に非協力的で、困惑した保健所は隣家に住む弟グミー(シグルヅル・シグルヨンソン)に助力を求める。だが兄弟は40年間ろくに会話もしないほど仲違いしていた。
今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを獲得したアイスランド映画。
アイスランドといえばビヨーク。火山の国で、ヨーロッパでも気候変動の影響を最も受けている。
それくらいのことしかわからない。
でもこの映画を観ていると、なんだか自分がそこに住んでるような気分になってくる。
全編とても静かで、ちょいちょい「これは大丈夫なんだろうか」と心配になるくらい、徹頭徹尾淡々としている。
とにかく台詞がない。ほとんどない。そして物語の展開が地味。めっちゃ地味。
けど、田舎の生活ってそんなもんなんだよね。日の出とともに起きて、家畜の世話をして、日が沈んだらごはんを食べて寝る。だいたいとくに人と話さなくてはならないようなことはあんまりなくて、思い通りにならないのが当たり前な自然との対話のなかで時間が過ぎていく。
展開がどんなに地味で画面が平和でも、人の心の物語だけはそうはいかない。
隣り合わせに暮しながら40年も交流のない兄弟の間柄は、とても平和とはいいがたい。どうして彼らの関係がそこまでこじれたのか劇中で具体的な説明はないけど、まあなんとなくわかるよね。兄弟だから、家族だからこそ受けいれがたい、許せない、めんどくさいことってあるよね。すごいわかるよそれ。わかりますよね。
どこの兄弟だって生まれつきこじれてるわけじゃない。でも気づいたらこじれちゃってることってあるじゃん。ありますよね。
そのこじれたふたりの間に、牧羊という仕事への愛情が流れている。ふたりとも羊が好きで、ほんとうに心から可愛がっている。ふたりの羊への愛がやさしくて、観ていて心があたたかくなる。
その愛ゆえに到達するラストシーンにはめっちゃビックリしたけど、なんだかものすごく共感してしまった。絵ヅラ的にはハッキリいって衝撃映像だと思うけど(w。
ところでスクレイピーは字幕では伝染病となってたけど、正確には変性病である。牛に発生するBSEで知られる伝達性海綿状脳症の一種で、治療法も感染経路も実際のところわかってないみたいです。
つーても劇中ではそういう説明もさっぱりない。そういうとこもちょっと心配になりました。
でもまあおもしろかったです。ハイ。
BSEや鳥インフルエンザなど家畜の感染症は発生すれば報道されるけど、発生したあと地元の人たちの身の上に何が起こるかまでは、一般消費者には知る機会がない。それがとても丁寧に描写されていて、モノの向こう側にいる人々の暮らしや人生の重さについてひしひしと感じることの多い物語でした。
それと、劇中でアイスランドの人たちが着てる服がかわいかった。みんな似たようなカウチン着てるんだけど、色使いが絶妙でかわいいの。ああいうの、ほしいなあ。