一昨日の土曜日、ポラリスジャパン事務局主催「人身取引大国ニッポン:女性や子どもたちへの暴力をなくすために」 第一回勉強会というのに行って来た。
ポラリスを知ったきっかけは先月のAIDS文化フォーラムin横浜(グダグダなレポ)。今回は藤原志帆子氏のお話ががっつり聞けるとゆーので、前回聞き逃したこともチェックできるかもと思って参加。内容は1時間の講義と質疑応答。
パワーポイントで図表などを映写しつつの講義で、「後でこのパワーポイントをPDFファイルに落として配信します」との説明があったのだがまだ来ない。けどこのままおさらいしないと忘れそうなのでとりあえずアップしておく。後日改訂します(たぶん)。前回と一部カブッてるとこもあります。
*ポラリスジャパンとは
もともとアメリカで活動していたポラリスの日本支部。日本支部の立ち上げは2004年。
主な活動は人身売買やドメスティック・バイオレンスの被害に遭うなどして困っている女性のホットライン。
基本は24時間、3ヶ国後対応。
2007〜08年にかけて、風俗女性の暴力被害が多くなっている。
*ポラリスが始まったきっかけ
立ち上げたのはアメリカの大学生ふたり。
大学のすぐ傍で韓国系の売春宿の摘発があり、被害者の多くがタバコによるやけどを負っているなどの事実を知って、ショックを受けたのが最初。
*人身売買の被害者は8割が女性、5割が子ども。
被害者は何も悪くないのに、全員が「ごめんなさい」「私が悪い」と謝罪の言葉を口にする。
自責の念が強いために、精神的に追いつめられて逃げられなくなっていく。
*人身売買市場
ここ数年飛躍的に拡大しており、現在では銃器取引と同程度の規模になっている。
その額310億ドル/年
*日本国内で人身売買の被害に遭っている外国人は20万人(国際移住機関)
カウント方法は明らかでないが、他の各種データに照らせばあながち大袈裟な数字ではない。
だがこのうち警察に被害が把握されているのは1割にも満たない。
日本での被害は80年代頃から増加傾向にあるが、日本政府が被害の統計を調査し始めたのはなんと2000年以降。
*被害女性の出身地は東アジア、東南アジア、東欧、中南米
コロンビアでは麻薬取引の取締りが厳しくなり、代りに女性の輸出が始まった。最近はまた取締りの効果もあり減少傾向にある。
*日本には人身売買そのものを取り締まる法律はない
2005年にやっと刑法に226条人身売買罪が追加された。
実際の取り締まりにはこの他関連の法律6つを組み合わせるが、管轄の警察や入管によって解釈や適用法が統一されておらず、その都度見解は異なる。
つまり、行政自体に人身売買に対する態勢づくりがまったくされていない。
*人身売買がどれだけの利益を生むかという、非常に劣悪なケーススタディ
コロンビア人女性のストリップ劇場には、電話ボックスのようなブースがあり、客は料金を払ってコンドームとティッシュを受取って並ぶ。ブースの中の女性は1時間に5〜6人の客を相手にする(・・・・・・・売春っちゅーか便所じゃねーかよ!)。
この業態では1週間で女性ひとりあたり50万円の売上げが見込まれ、女性が3人雇われていれば年間7000万円もの利益を上げることができる。
この種のストリップ劇場は取締りが厳しく、現在ではほとんど営業していない。
*警察によれば日本の風俗店の半数は違法営業であり、日本のGNPの1〜2%は売春産業によるものと推定されている。
(つまり、フーゾクに通う一般市民が支払う料金の半分は犯罪組織に流れていて、日本という国が生み出すカネの0.5〜1%は違法な風俗店から生まれてるとゆー理屈)
*ポラリスはさまざまな外国人向け雑誌やフリーペーパーに広告を掲載しているが、同じ雑誌に風俗業者の募集広告が掲載されている。募集要項には「売春」の文字はないが、「コンドーム使用100%」と書かれている。
*人身売買の加害者は売春業者だけではない
風俗街で営業している名刺などの印刷業者、風俗嬢と客が連れ立って食事するラーメン店、風俗店のHPを制作するインターネット業者、看板屋など、搾取の末端は関係するさまざまな業種にひろがる。
*民主党は人身売買禁止ネットワークなどNGOと協力して「人身取引等の防止及び被害者の保護に関する法律案」を国会に提出、衆議院で審議中。
*被害者保護の第一歩は、被害者の言語で聞取りのできる専門家が対応すること。
いちいち通訳を挟んでいたのでは被害者と捜査側の信頼関係を築き、正確な聞き取り調査をするのは困難である。
また日本には被害者を支援する行政システムが存在しないため、被害者側でも認定(※下記参照)など必要ないと判断してしまう。
*われわれ市民にできることは、まずこの問題を知り、ひとりでも多くの人にひろめること。
チャリティイベントやパーティーもいいし、ただ話し合うだけでもよい。
ポラリスではRadioheadの日本公演にMTVといっしょに参加する予定。
All I Need - Radiohead
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以下は質疑応答の内容。
*被害者認定※
警察と入国管理局が行う認定でフォーマットがあるはずだが公開はされていない。
警察と入管ではおそらく内容が異なる。
また、日本には移民法がないため、被害者は認定後に日本に留まることが非常に難しい。
入管では条件が揃えば留まることはできると説明しているが、それはあくまでも建て前。
ちなみにアメリカには3年間有効なトラフィッキング・ビザがある。この期間に永住権を取得することも可能。
なおこのビザの目的は加害者を逮捕・訴追するためである。
*人身売買の需要をなくすために、ポラリスでは学校での講演を行っている。
まずは正しい性教育が必要である。
*被害者の多くが違法な借金を背負わされているが、正式な借用書などは存在せず、利率も利息制限法に違反しているなどの情報は被害者にはいっさい与えられていない。
海外から日本にやってくる被害者は3ヶ月のビザで入国するが、このビザの取得に預金証明が必要となる。
現地ブローカーはこれに必要な現金をまず被害者に渡し、航空券を渡す。この時点で航空券が被害者の借金となる。
成田空港に到着すると日本のブローカーが被害者を待っている。このブローカーが現金を没収し、新たに滞在費用としてカネを貸す、という仕組みになっている。(
*人身売買の被害者は世界中どこの国でも、外国人被害者の3倍は自国民であるといわれている。つまり日本の場合60万人と推定される。
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銀座の花。
ポラリスを知ったきっかけは先月のAIDS文化フォーラムin横浜(グダグダなレポ)。今回は藤原志帆子氏のお話ががっつり聞けるとゆーので、前回聞き逃したこともチェックできるかもと思って参加。内容は1時間の講義と質疑応答。
パワーポイントで図表などを映写しつつの講義で、「後でこのパワーポイントをPDFファイルに落として配信します」との説明があったのだがまだ来ない。けどこのままおさらいしないと忘れそうなのでとりあえずアップしておく。後日改訂します(たぶん)。前回と一部カブッてるとこもあります。
*ポラリスジャパンとは
もともとアメリカで活動していたポラリスの日本支部。日本支部の立ち上げは2004年。
主な活動は人身売買やドメスティック・バイオレンスの被害に遭うなどして困っている女性のホットライン。
基本は24時間、3ヶ国後対応。
2007〜08年にかけて、風俗女性の暴力被害が多くなっている。
*ポラリスが始まったきっかけ
立ち上げたのはアメリカの大学生ふたり。
大学のすぐ傍で韓国系の売春宿の摘発があり、被害者の多くがタバコによるやけどを負っているなどの事実を知って、ショックを受けたのが最初。
*人身売買の被害者は8割が女性、5割が子ども。
被害者は何も悪くないのに、全員が「ごめんなさい」「私が悪い」と謝罪の言葉を口にする。
自責の念が強いために、精神的に追いつめられて逃げられなくなっていく。
*人身売買市場
ここ数年飛躍的に拡大しており、現在では銃器取引と同程度の規模になっている。
その額310億ドル/年
*日本国内で人身売買の被害に遭っている外国人は20万人(国際移住機関)
カウント方法は明らかでないが、他の各種データに照らせばあながち大袈裟な数字ではない。
だがこのうち警察に被害が把握されているのは1割にも満たない。
日本での被害は80年代頃から増加傾向にあるが、日本政府が被害の統計を調査し始めたのはなんと2000年以降。
*被害女性の出身地は東アジア、東南アジア、東欧、中南米
コロンビアでは麻薬取引の取締りが厳しくなり、代りに女性の輸出が始まった。最近はまた取締りの効果もあり減少傾向にある。
*日本には人身売買そのものを取り締まる法律はない
2005年にやっと刑法に226条人身売買罪が追加された。
実際の取り締まりにはこの他関連の法律6つを組み合わせるが、管轄の警察や入管によって解釈や適用法が統一されておらず、その都度見解は異なる。
つまり、行政自体に人身売買に対する態勢づくりがまったくされていない。
*人身売買がどれだけの利益を生むかという、非常に劣悪なケーススタディ
コロンビア人女性のストリップ劇場には、電話ボックスのようなブースがあり、客は料金を払ってコンドームとティッシュを受取って並ぶ。ブースの中の女性は1時間に5〜6人の客を相手にする(・・・・・・・売春っちゅーか便所じゃねーかよ!)。
この業態では1週間で女性ひとりあたり50万円の売上げが見込まれ、女性が3人雇われていれば年間7000万円もの利益を上げることができる。
この種のストリップ劇場は取締りが厳しく、現在ではほとんど営業していない。
*警察によれば日本の風俗店の半数は違法営業であり、日本のGNPの1〜2%は売春産業によるものと推定されている。
(つまり、フーゾクに通う一般市民が支払う料金の半分は犯罪組織に流れていて、日本という国が生み出すカネの0.5〜1%は違法な風俗店から生まれてるとゆー理屈)
*ポラリスはさまざまな外国人向け雑誌やフリーペーパーに広告を掲載しているが、同じ雑誌に風俗業者の募集広告が掲載されている。募集要項には「売春」の文字はないが、「コンドーム使用100%」と書かれている。
*人身売買の加害者は売春業者だけではない
風俗街で営業している名刺などの印刷業者、風俗嬢と客が連れ立って食事するラーメン店、風俗店のHPを制作するインターネット業者、看板屋など、搾取の末端は関係するさまざまな業種にひろがる。
*民主党は人身売買禁止ネットワークなどNGOと協力して「人身取引等の防止及び被害者の保護に関する法律案」を国会に提出、衆議院で審議中。
*被害者保護の第一歩は、被害者の言語で聞取りのできる専門家が対応すること。
いちいち通訳を挟んでいたのでは被害者と捜査側の信頼関係を築き、正確な聞き取り調査をするのは困難である。
また日本には被害者を支援する行政システムが存在しないため、被害者側でも認定(※下記参照)など必要ないと判断してしまう。
*われわれ市民にできることは、まずこの問題を知り、ひとりでも多くの人にひろめること。
チャリティイベントやパーティーもいいし、ただ話し合うだけでもよい。
ポラリスではRadioheadの日本公演にMTVといっしょに参加する予定。
All I Need - Radiohead
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以下は質疑応答の内容。
*被害者認定※
警察と入国管理局が行う認定でフォーマットがあるはずだが公開はされていない。
警察と入管ではおそらく内容が異なる。
また、日本には移民法がないため、被害者は認定後に日本に留まることが非常に難しい。
入管では条件が揃えば留まることはできると説明しているが、それはあくまでも建て前。
ちなみにアメリカには3年間有効なトラフィッキング・ビザがある。この期間に永住権を取得することも可能。
なおこのビザの目的は加害者を逮捕・訴追するためである。
*人身売買の需要をなくすために、ポラリスでは学校での講演を行っている。
まずは正しい性教育が必要である。
*被害者の多くが違法な借金を背負わされているが、正式な借用書などは存在せず、利率も利息制限法に違反しているなどの情報は被害者にはいっさい与えられていない。
海外から日本にやってくる被害者は3ヶ月のビザで入国するが、このビザの取得に預金証明が必要となる。
現地ブローカーはこれに必要な現金をまず被害者に渡し、航空券を渡す。この時点で航空券が被害者の借金となる。
成田空港に到着すると日本のブローカーが被害者を待っている。このブローカーが現金を没収し、新たに滞在費用としてカネを貸す、という仕組みになっている。(
*人身売買の被害者は世界中どこの国でも、外国人被害者の3倍は自国民であるといわれている。つまり日本の場合60万人と推定される。
<font>
銀座の花。