落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

カレンダー・ガールズ

2004年06月18日 | movie
『カレンダー・ガールズ』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000BKDRC2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

驚くなかれ満員でした。
まぁ上映館が小さかったってのもありますが、平日なのに立ち見もいました。観客のほとんどは登場人物たちと同年代と思われる「主婦」みたいな感じの人々。そのぶん共感度も増すのか、結構皆さん爆笑してらっしゃいました。ぐりはそんなに面白くないとこでも奥様方は大ウケだったり。

それにしても作中に登場する主婦の皆さんのなんとキュートなことか。確かに彼女たちは若くはない。おっぱいだっておしりだってたれてます。二の腕もたるんでます。そばかすだってしわだってある。でも健康ならいいじゃないか、サイズ以外はみんな大して違わない、とにかく自信を持てば良いのだ!と云う前向きな明るさには本当に勇気づけられました。
以前どっかで誰かが「女は年をとるとラディカルになり、男は年とともにコンサバティブになる」と云ってましたが、なるほど彼女たちは自由そのもの、元気そのものです。大事なことは何か、自分たちがやりたいこと、やるべきことは何なのか、それを実に良く分かっている。
ただ単純に猪突猛進してるだけじゃない、いろんな意味で自立した大人の女性とはこうあるべきじゃないか、そんな理想の物語を観た気分でした。

ところでクリスの息子役のほっぺたまっかっかな男の子がちょー可愛いかったんだけど、アレは一体ダレなんだろー。
おかーさんがヌードカレンダーを出しちゃって困惑する思春期の少年を演じてて、おっさんおばさんだらけの地味ぃーなキャスティングの中で結構目立ってたんだけど。

デイ・アフター・トゥモロー

2004年06月17日 | movie
『デイ・アフター・トゥモロー』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000WM8RXS&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

面白かった!楽しかったです。
ぐりはローランド・エメリッヒの作品て覚えてる限りでは観たことないんだけど、これは大変面白かったです。
ぐりはもともとSFって好きじゃなくて、未確認生物やら宇宙人やらが出て来る映画ってあんまり楽しめないんだけど、コレはSFのようでSFじゃあないんだよね。現実にありえなくもない話だから。

マそういう真面目な話は置いといても、全編にわたる“嵐”の描写が爽快です。人間にはたぶん「破壊衝動」みたいな感情があると思うんだけど、もう気持ち良いくらいいろんなものが壊れる。アメリカの映画だから出て来んのは大概がアメリカの都市なんだけど、ロスでもNYでもどこでも建物やらクルマやらいろんなもの豪快に壊しまくりです。それも戦争とか彗星とか怪獣が壊すんじゃない、我々の見慣れた、風や雨や海、自然の猛威の前で人間のなんと無力なことか。
実際物語の中でも登場人物は誰もこの“異常気象”と戦わない。て云うか戦えないんだよね。ただ受け入れるか、逃げるしかない。

正義も悪も何もない、人間は自然の前にまず謙虚であるべきだ、と云う従来のハリウッド映画にはナイ主張が潔かったです。拍手。

シルミド

2004年06月16日 | movie
『シルミド』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000FHIVWW&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

凄まじかったです。
とりあえず日本映画ではあり得ない作品ですね。だって女がひとりも出て来ない。ホントにさっぱり出て来ない。出て来んのは元ヤクザやら元チンピラやら、ろくでもないむっさい男ばっかり、ひたすら激しい訓練と喧嘩の繰り返し。出演者全員泥まみれで汗まみれ、あるいは血まみれ。
汚いです。臭そうです。そしてコワイです。うえーん。

20世紀に人類で最も大きく進化したと云われるのが「人権意識」だそうですが、この映画に登場する韓国には現代では当り前の「人権意識」が全く存在しません。684部隊のメンバーは、作戦が国家機密であるために住民登録を抹消され、作戦の可否に関わらず社会から抹殺される運命になっていたり、彼らが人質にとった民間人の生命も顧みられなかったり、改めて、今の私たちが当然の権利として享受している「人権」のために犠牲になった人々の命の重さをかみしめさせられる、そんな物語でもありました。
やっぱり軍国主義はいかんです。戦争はいかんです。平和がいちばんです。

ぐりは観たい映画の事前情報を意識してチェックしない主義なのですが、この映画も観に行って初めてアン・ソンギが出てることを知りました。アン・ソンギ、韓国の国民的俳優とも云われる大スターです。かっこいいんだよ。シブイんだよ。もうおっさんだけどね。
それにしても、こういう題材の映画をこれだけ手間もお金もかけてオールスターキャストでつくってしまう韓国のパワーはスゴイです。日本、完全に負けてますね。アカンがな。

CASSHERN

2004年06月15日 | movie
『CASSHERN』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B0001A7D0O&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

いやー物凄くつまらなかったです。3回くらい寝そうになっちゃいました。寝なかったけど。ぐりは映画館では寝ない主義なのです。たとえ面白くなくても。
ちなみに今までで映画館で寝ちゃった唯一の作品は『つめたく冷えた月』。とてもじゃないですが起きてられませんでした。あと映画館じゃないけど大学の授業で見たパゾリーニの『奇跡の丘』。どんな映画だったか説明しろって云われても出来ないね。理解不能でした。眠かった。

『CASSHERN』もある意味“奇跡の丘”かもしんないです。
結果的にはヒットしたから良かったですけど、作品だけ見たら紀里谷さんにこれだけの作品がいかに不相応か、映画会社のお金の使い方がいかにいい加減か一目瞭然です。彼が宇多田ヒカルの夫だったからこそこんな作品が“出来てしまった”、そう云う意味で奇跡だわと思ったです、ぐりは。
とりあえず台本イケてません。内容が薄いのに話が複雑過ぎる。無駄にややこしい設定が多過ぎる、観てて全然ついていけない。
そして演出が一面的。ほとんど素人並みです。演技が演技になってない、画面に向かって俳優が演説してるだけ。伊勢谷クンはただカッコイイだけ、一部の出演者の熱演が虚しいだけ。観ててせつなかったです。

あと巷で話題の“新感覚の映像表現”とやらですが、ぐりは好かんかったです。色に奥行きがない。品がない。目が疲れただけ。特に綺麗だとか斬新だとか思いませんでした。押井監督の『アヴァロン』を思い出しましたね。アレも実写でアニメみたいなことをやってたので。

しかしこの紀里谷監督が今作で映画監督として評価され、伊勢谷クンが役者として実績を挙げてくとしたら、日本の映画界はどーなるんでしょーな?ぐり的には「ありえない」んですけども。でも現実にはありえそうだよな・・・。

ヴェロニカ・ゲリン

2004年06月14日 | movie
『ヴェロニカ・ゲリン』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B0009Q0JZQ&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

ぐりは実際にアイルランドに行ったことがあります。
建築規制のせいか町中には歴史的な古い建物が多く、緑が多く気候も穏やかで至ってのどかそうなところですが、徐々に治安は悪化していて、特に誘拐殺人が増えているとも聞きました。
ただ、一般のアイリッシュは人懐っこく話好きで信心深い人が多く、また親日家も多いそうで、ぐり自身は皆さんにとっても親切にしていただきました。いつか再び訪れたい国です。

この映画で起きていたことはぐりがこの国を訪問する数年前のことですが、話だけ聞いてもちょっと本当のこととは信じられないくらいひどい話です。まだ小学生くらいの子どもにさえ麻薬がタダでバラまかれ(初回のみ)、中毒に陥った子は売春や麻薬取引に手を染めていく。周りの大人は見て見ぬふり、犯罪組織のマネーロンダリングを政府が摘発出来ないどころか、抗争事件で死者が出れば「IRA(アイルランド共和軍。イギリス領北アイルランドの独立を求める政治組織)」のせいにしてしまう。

ヴェロニカの死によって市民は社会の腐敗に気づき、立ち上がり、結果としてアイルランドは犯罪組織の撲滅に成功する訳だけど、本当なら、彼女のような“英雄”は登場の必要もない社会と云うのが真に平和な社会である筈です。
“英雄”と云う十字架を背負わされた彼女がどんな気持ちで死んでいったのか、そのことを考えると、複雑な思いで涙が込み上げて来る、そんな映画でした。

ヴェロニカを演じたケイト・ブランシェットは凄い良い演技してます。自分の信じた道にしがみつく、こうでありたいと願う自分になりきろうと健気に突っ張る姿には『ボーイズ・ドント・クライ』のヒラリー・スワンクを思い出させるものがあります。
どうもケイト・ブランシェットと云えばコスチュームプレイと云うイメージしかなかったですが、こういう現代劇でも全然いける人だったんですね。