落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

黒い雨

2003年10月27日 | movie
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十数年ぶりに観ましたよ。傑作でしたよ。

原作を読んでから観ると却って、あれだけ映像にしにくい、映像化しても一般の観客に受け入れられにくい作品を、こんなにキチンと映画化した巨匠の手腕に改めて敬服します。
原作はほとんどが被爆直後の被災地の情景描写で埋まってるんだけど、映画の方は、どちらかと云うとその後の被爆者一家のごくつつましやかな生活描写がメインになっています。
それでも、戦争の恐ろしさ、被爆者の苦悩がおしつけがましくなく、自然に表現されている。今さらですが流石です。

あと映像も綺麗でした。
これは88年の作品ですが全編モノクロ撮影です。現在よく使われる、カラーネガ撮影→モノクロプリントと云う方法ではなくて、モノクロで撮ってモノクロにプリントしてある。
何が違うって、モノクロ撮影の方が明るさのトーンが豊かなんだよね。例えば夕焼け空の「暗さ」がすごく綺麗に再現出来る。これがカラーだと色彩やかだけど変に明るかったり、暗過ぎて潰れてたりする。
それと被災地のシーンなんかだと視覚的な悲惨さにワントーン、フィルターをかけたみたいになってて見やすかった。同じことをカラーでやられたらとても直視出来ないでしょー。

それからエンドロールを観てたら今を時めく(笑)三池崇史監督が助監督のセカンドでクレジットされてました。
古い映画を観てるとタマにこういうところで楽しめたりもしますね。そう云えば夏に毎年放送されてる『火垂るの墓』でも庵野秀明さん(『エヴァンゲリオン』シリーズ・『ラブ&ポップ』など)が原画スタッフとしてクレジットされてました。
皆様も古めな映画をビデオ等で見られる場合はそんなトコロに注目してみてはいかがでしょーか。

多摩川少女戦争

2003年10月15日 | movie
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『多摩川少女戦争』はですね、仕事でお世話になってる方の作品で、最近DVDが出たので観てみましたー。
内容はタイトル通り、多摩川を挟んで川崎と世田谷の不良少女グループの抗争がモチーフ。そこにある伝説的不良少女とヤクザとの駆け引きが絡んで・・・と云う、一風変わったシチュエーションのギャング映画です。

ギャング映画ったって登場人物のほとんどが十代の女の子なので、そんなに重苦しい話じゃないですね。ハッキリ云ってこれはかなり面白いです。
出てる子たちはごく一部を除けば大して綺麗でも有名でもないし演技だって下手です。
それでも、いくつかのエピソードを上手く組み合せてギミックを利かせたストーリーテリングの巧みさが、そう云う弱点を気にさせない。音楽も映像も非常にクール。

気取らず、何も考えずに単純にエンターテインメント映画として楽しめる作品です。オススメ。

ブエノスアイレス摂氏零度

2003年10月15日 | movie
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観ましたよ・・・『ブエノスアイレス摂氏零度』。
つ、疲れました。うーんやはり三十路の目に英語字幕は疲れますねえ(笑)。二十代の頃は必死こいて一時停止していちいち解読してたけど、その根性キープしつつ映像を追うのはちょっと辛かった。
単に集中力が落ちただけでしょーが。

とりあえず観て納得・・・はあんまりしなかったけど、スッキリした部分は大いにありますね。と云うのは、本編『ブエノスアイレス』の撮影時、実際には70時間分(40万フィート)のフィルムが使用されたそうで、編集バージョンが7つも存在してたと云う話が伝わっていたからです。本編にハマった人間としては使用された90分以外のフィルムにナニが映ってたのかがひじょーに気になる。
『ブエノスアイレス・摂氏零度』は正味60分弱しかなかったし、大半がインタビューやドキュメンタリーとして追撮された映像なので、残りのフィルムのそのまた数パーセントも観られなかった訳だけど、それでも公開当時あれほど観たかった映像のカケラでも一目観られただけで、ちょびっと満足でした。

あとは・・・レスリー・チャンですよね・・・。
今年の四月に高層ホテルから転落して亡くなってしまいましたが、その死後に私が初めて観たのがこの『ブエノスアイレス・摂氏零度』です。今まではとても観る気がしなかったので。他の作品もね・・・。
まぁここに収録された映像は96年だから既に7年も前のものだけど、こうして画面の中の本人を見ていると(あんまり映ってなかったけど)、やっぱり死んだなんて信じられない。こんなに一生懸命やってたのに、こんなに良い作品に出てたのに。
改めて、我々は本当に惜しい人を失ったんだなと、気づかされました。遅ればせながら。