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落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

内蒙古→テキサス→メキシコ→香港→長洲島

2005年10月25日 | movie
『Aサイド、Bサイド、シーサイド』

あー、若いっていいですねえ。イヤまじで。ほんとに。
この映画のテーマは「夏休み」。ぐりは暑いのが好きではないし、記憶にある夏休みといえば運動部の練習やら予備校の夏期講習やらバイトやら、とにかく地味な思い出しかないので、「夏休み」に対する思い入れのよーなものもきれいさっぱりない。
だからこの映画に描かれる夏休みにはさほどノスタルジーを感じない。それでもフィクションとしてはちゃんと楽しめました。てことはそれなりにクオリティが高いんだろうと思う。
Aサイドパートに登場する女子高生たちがすごくかわいい。とびっきりの美少女ってこともないけど、いかにものびのびと素直で健康そうで、一見中学生に見えてしまうくらい幼くて少女然とした彼女たち。まさかこれから大学生になったり社会人になったりするような年齢にはとても見えない、まだまだあどけない子どものような少女たちがはしゃげばはしゃぐほど、夏の終わりに彼女たちを待っている現実社会の重さが痛々しく思えてくる。この一点の曇りもないまぶしい笑顔は、彼女たちがオトナになり社会へ出ていくほどに色やかたちを微妙に変えていくだろう。だからこそその輝きがいっそうせつなく感じる。
シーサイドパートはちょっと退屈でしたねー。Aサイドパートに比べると微妙に冗長だったと思います。設定とか展開にもうひとつしまりがないというか。
両方のパートに出てくる子ネコちゃんがちょーかわいかったです。女子高生、夏休み、海、子ネコ、帰郷、幼馴染み。甘いです。酸っぱいです。まさにレモンのシャーベットみたいな、軽いデザートみたいな映画でした。

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2005年10月25日 | movie
『メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬』
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上映前に監督/主演のトミー・リー・ジョーンズ氏の舞台挨拶があり、その後監督も会場で一緒に上映を観ました。こういう映画祭って会場にゲストがいてもいなくても上映後は大体拍手が起きるんだけど、今回はエンドロールの最初に拍手、エンドロールが終わってまた拍手、ジョーンズ氏が退場するときはなんと観客全員でスタンディング・オべーション。ぐりは記憶にある限りナマでスタンディング・オべーションを経験したことはないし、それも自分で立って拍手したくなるほど感動するってこともまぁそれほどしょっちゅうあるもんじゃない。ですよね?
でもこの映画はまったく文字通り「拍手喝采」に相応しい傑作でした。感動したよ。てゆーかめっちゃ泣けた。
物語の舞台はテキサスとメキシコ。タイトル通り、メルキアデス・エストラーダという男が死んで、数奇な運命のもと3度埋葬される過程を描いている。ぐりはハリウッド映画には詳しくないんだけど、たぶんここまで説明の少ない映画はハリウッドでは珍しい方ではないだろうか。だから最初は人物の相関関係や前後する時制がなかなかつかみづらい。しかしストーリーそのものはすごくシンプルでストレートなので、わかってくればどんどん引きこまれる。
タイトルが「三度の埋葬」だから、死んだ男がメルキアデス・エストラーダという名前で、彼が3回埋められることは観客は先刻承知だ。しかも彼は最初の登場シーンでは既に半ば腐乱した死体になっている(後で生前のシーンも出てくる)。登場人物の運命は始めから開示されているのにここまで観客をひきつけて放さない原動力は、おそらく主人公ピート(T・L・ジョーンズ)のミステリアスなキャラクター設定によるものだろう。全体に説明の少ない映画だが、彼がどういう人間なのかという部分に関してはさらに一切それがないのだ。
この物語で語られているのはただ唯一、たったひとりの男の死の重さだ。人種に関わらず、当人の来歴や社会的地位に関わらず、死は死なのだ。どんな死も平等に重いのだ。言葉にすればごく当り前のことなのに、映画はそんな当り前のことさえ現代の人間は忘れかけてはいないか?と我々に鋭く問いかけている。ヘタをすればただ説教くさいだけの人権譚になってしまいそうな題材を、サスペンスタッチのロードムービーに仕上げたのはまさに正解だろう。
来年に劇場公開も決まっているそーだ。超オススメの映画です。


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2005年10月25日 | movie
『モンゴリアン・ピンポン』

ね、眠かった!
イヤ映画は面白いのよ。けどまた寝てなかったからさ〜昨日家に帰ったの4時前だったもんさ(つまり今朝)。一昨日は徹夜だし。
物語の背景は内蒙古。だから風景がスゴイです。もうね、めちゃめちゃ壮大。地平線が画面をすぱーーーっと横切ってて、真ん中辺りにぽつーんと人がいたり、家が建ってたり、そういう物凄い風景を舞台に物語が展開する。空が果てしなく広くて、夜空に浮かぶ巨大な月がまぶしい。
主人公はこれから小学校に上がる子どもたち。かぁーわいんだなこれがさぁ。ティーチインで監督もいってたけど、どの子もとっても賢そうで、素直そう。
なんだけど、物語の展開がすごおく淡々としてるので、これは寝不足のぐりにはちょい厳しかった。上映中に何回かこっくりしてしまったよ(涙)。
しかしそれにしてもこういう映画が、それもビックリするほど若い監督の手でつくられてる中国ってやっぱりスゴイと思う。だってスターは出て来ない原作が有名とか実在の人物や出来事がモチーフになってる訳でもない、つまりきれいさっぱりなんのネームバリューもない=観客動員が見込まれない映画なのに、クオリティはかなりしっかりしている。お話はよくできてるし、カメラワークもキマッてるし、画質も綺麗だし、編集もいいし音ももちろん同時録音。手がかかってる。
こういう映画ってたぶん今じゃ中国やイランでしかつくれないと思う。そしてそれは立派な国の文化であり財産でもあると思う。そこだけは毎度羨ましい国だと、真剣に思います。