落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

失神まつり

2005年10月22日 | movie
『月光の下、我思う』

でましたこれぞ台湾映画!といった感じの純文学映画。超ミニマル。カメラは現象をひたすら忠実に再現するだけ。観客にそれなりの「忍耐」を要求する作品ではあります(これも途中で何度か失神しかけた)。
でもだからこそ後半のどっひゃ〜〜〜!などんでん返しが効果的なんだな。ホンマどっひゃ〜〜〜ですわ。ビックリしたなーもう。
原作は李昂(リー・アン)という作家の小説だそーですが、もし邦訳があったら読んでみたいです。考えてみたらこの林正盛(リン・チェンシェン)監督の旧作『台北ソリチュード』も姉弟の許されざる恋愛感情の話だったから、もしかしたらこういう家庭内の恋愛ものとゆーモチーフに何かこだわりがあるのかな?
ヒロイン楊貴媚(ヤン・クイメイ)はさすがの存在感だけど、それに加えて若いキャストもとても魅力的。娘の恋人を演じた台湾のアイドル施易男(シー・イーナン)は「理想に燃える清廉潔白な小学校教師」という役柄にイヤというほどぴったりとハマッててすごくよかったです。娘役の林家宇(リン・ジャーユー)はこの作品のためのオーディションで選ばれた新人だそーだ。この子がまた超かわいい。キュートでフレッシュで、キュッと実のしまったサクランボをイメージさせるような乙女。
このふたりみたいな若者はもう日本にはどこ探したっていないだろうと思う。こういうキャラクターが出てくるところが台湾映画にぐりがどうしようもなく惹かれるところなのだ。痛々しいほど純粋でまっすぐでどこか不器用な、若さという檻に苦悩するいたいけな男の子や女の子たち。彼らをみているだけで胸が苦しくなるほどなつかしい。
今日観た4本のなかではぐりは個人的にはこれがいちばん好きかも。出来れば眠くない時に観たかったなぁ。

失神まつり

2005年10月22日 | movie
『ディバージェンス』
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眠くて眠くて死にそーだったのに、実際途中で何回か気を失いかけてたのに、それでもかなり楽しめました。
アクションがいいのよ。迫力あるし、ボリュームもたっぷりだし、ガンアクション・カーアクション・カンフーと取り合わせもいろいろで見てて飽きない。
ストーリーテリングもなかなかいい。娯楽アクション映画でありつつクライムサスペンスでもある。サイコサスペンスパートはいまいちうまく消化しきれてないような気もしたけど。
呉彦祖はホントいい役者になりました。完全に先輩ふたり(郭富城アーロン・クォックと鄭伊健イーキン・チェン)食ってましたねー。大陸人の殺し屋といえば『ワンナイト イン モンコック』と同じ設定だけど、こ?黷ェまったく180度違うキャラクターなのでむしろ彼の演技の幅の広さがくっきり出てて脱帽しました。相手役の寧静(ニン・チン)はかつ?ト『上海グランド』で張國榮(レスリー・チャン)と共演してた彼女ですね。あれから10年近く、ぐりと同い年だから既に三十路も半ばだけ?ヌあいかわらず可憐です。頭の形がすっごくキレイでスキンヘッドが似合ってたけど、それよりぐりは彼女の特徴的な声がたいへん気に入りま?オた。コケティッシュでとってもかわいい。
しかしそれにしても眠過ぎたので是非再トライしたいです。

失神まつり

2005年10月22日 | movie
『愛シテ、イマス。1941』

とってもおもしろかったです。わかりやすいし、ストーリーもよく出来てる。大味だけどね。けっこー皆さん失笑してたけどね。でも実は失笑するとこじゃなかったりとか。その「笑えるところ」が伏線としてあとあと生きてたりして。確信犯かも。
日本兵役を非日本人俳優が演じてたり、史実にあまり忠実でなかったり、確かにアバウトなとこはいろいろある。ぐりはフィリピンでの日本軍侵攻について知識はないけど、そういう素人からみてもおかしなところがそれこそいっぱいありすぎて、具体的に例を並べきれないくらいです。
しかし戦時下での「正義の曖昧さ」をきちっと正面から描いているという意味では意義ある映画だと思います。日本軍に対しても対日ゲリラに対しても平等な目線で戦争の虚しさを表現してる部分や、何もかも捨てて命をかけて愛に生きる主人公の姿には素直に感動しました。
この映画の無数のアラを挙げつらって笑いすてることは簡単だけど、それでは映画本来のメッセージを見失うことになってしまう。少なくともぐりの目には、しっかりしたメッセージ性のある力強い作品に見えました。だからこそ本国でも評価されてるんだと思う。
主役の‘女装の麗人’はキレイではないんだけどタレ目がなかなかチャーミングだし、演技は上手かったです。なりきってました。

失神まつり

2005年10月22日 | movie
『長恨歌』

原作は中国で最も影響力のある女流小説家のひとりといわれる王安憶の作品。中華圏ではたいへん有名な小説らしいです。
人気小説が原作の大作だけあって画質・音質といった仕上がりのクオリティはさすがに高い。張叔平(ウィリアム・チョン)の美術はやっぱサイコーっすね。クールっす。ブイブイいっちゃってます。素敵。
しかし前半のどーにも段取り的な進行はぐりはもひとつ好かん。編集も落ち着きないし、どうも画面全体に決定力が欠けている感じがする。後半のあのしっとりとした關錦鵬(スタンリー・クァン)らしさが前半にはみられないのはこはいかに。
カメラワークとライティングは今回まったくイケてなかったです。何がいけないってことはないけど芸がない。ミョーに説明的でNHKのドラマみたい。監督の撮りたい世界を撮影監督がちゃんと把握してんのか、監督はこの画づらで納得してるのか。ほぼ全編が室内の設定なので、画面にひろがりがなくてどうしても退屈になりやすいのは仕方ないとしても。
鄭秀文(サミー・チェン)は老け役がめちゃめちゃハマってた。逆に十代のパートはちょいキツかったっす(汗)。十代にゃみえないよね。欲をいえばもうちょっと色っぽさがあった方がよかった。このヒロイン像に求められるべき“香るようになよやかな女らしさ”みたいなものが、微妙に足りない。演技力というスキルの問題というよりは、彼女の人としてのキャパの問題かもしれないけど。
物語の比重は後半、サミーが胡軍に捨てられてからの方がずっと長いのに、後半生のふたりの恋人呉彦祖(ダニエル・ウー)と黄覚(ホァン・ジュエ)は印象うっすい!胡軍の「不在の存在感」の重みが利いてました。ダニエルのトホホなだめんずぶりはまた今回もあっぱれでしたけども(笑)。
噂では梁家輝(レオン・カーファイ)がいいらしいとゆーことでしたが、アレは役がおいしかったんでは。まぁでも上手いよね。