落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

中華兄貴特集

2004年12月02日 | movie
『ミレニアム・マンボ』
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日本では去年春頃公開されたようですが、ぐりはずっと楽しみにしてた作品でありながら見逃しました。っつーか公開してたのすら知らなんだ(爆)。なんでやろ。
やっと今回レンタルでチェックしましたが、監督も云ってるように過去に題材を求めて来たそれまでの作品とはかなり雰囲気が違います。舞台は現代の台北で主人公も現代の若者だし、音楽はハウス(っつーの?かっこよかったっす)だし。ただ基本的に全編ワンシーンワンカットの長回し、台詞を決めこまない即興演技で物語を積み重ねていくと云うスタイルはそのままです。ええ感じや。
この作品でぐりのお目当てはそう、兄貴・高捷(ガオ・ジェ)です。実は初めて『悲情城市』でお見かけてしてから「かっこええわ♪」とか思ってました。つくづくおっさん臭い人が好きやなわし。58年生まれってことは今は46歳かぁ。立派なおっさんですね。よし(?)。
今作ではガオ兄貴かなり美味しい役どころです。ヒロイン・ヴィッキー(舒淇スー・チー)は働きもせずドラッグに溺れては遊んでばかりの恋人・小豪(段釣豪トゥアン・ジュンハォ)との関係に悩み傷つき、勤め先のバーの客・捷哥(高捷)のもとに走る。捷哥は穏やかで包容力があり、彼女の話をじっくりと聞いてから「オレに出来ることは何だ?」と訊ねる。ええなあ。元彼・小豪がとことんどうしようもないアホンダラで、ヴィッキーとの生活の長い描写がつらいだけに、こんな素敵なアニキの登場がもうもう超効果的なんだよーーー。ヤクザだからなんだってんだ。もんもんなんか怖くないぜ。拳銃ぐらい持ってたって別にええやんか(爆)。
作中でヴィッキーが訪れる北海道・夕張のシーンがいくつかありますが、実はこのロケがあった2001年の映画祭時、ぐりはこの夕張にいました。ロケが来てるのも知ってて、どっかで会えないかなぁと期待したものの結局会えず。夕張って市街地が物凄く小さいので、会えても不思議はなかったんだけどねえ。画面に映ってたドカ雪の夕張の風景が懐かしかったです。
南国から来た撮影隊はさぞ寒い思いをしたでしょー(最低気温はー30度)。ド田舎で不便なこともいっぱいあったろうし(何しろ携帯もロクにつながらないんである)、「時間が足りなかった」と云う苦労がしのばれます。
舒淇はやはり良い女優ですね。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の次回作『最好的時光』にも出とられるそーですが、頑張って大女優になってもらいたいものです。


中華兄貴特集

2004年12月02日 | movie
『東宮西宮』
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共産主義国である中国では同性愛は犯罪行為にあたる。東宮西宮とはそんな中国北京のゲイが集まるクルージングスポット・紫禁城公園の公衆トイレのこと。
ある夜、公園をパトロールしていた警官・小史(胡軍フー・ジュン)は若い作家・阿蘭(司汗シー・ハン)に出会う。派出所へ連行され尋問された阿蘭は、一晩をかけて長い独白を始める。

同性愛をモチーフに支配者と被支配者との関係の不条理を描いた問題作。中国国内の作品としては初めて同性愛を真正面から取り扱ったことから国際的な話題を呼んだ。
97年の映画だから、撮影当時胡軍まだ二十代です。だがやはり“若者”には見えない貫禄。イヤ体格がではなく芝居と云うかキャラが(汗)。顔は今とあんまり変わりません。ボディの方は少しスレンダーかもしれない。
ぐりはこの作品を劇場公開時に2度観てます。初見は試写で、2度めが一般の劇場ですね。確かこの年のカンヌでいろいろと話題になってて、前からかなり気になってた作品でした。
実際観てみて非常にインパクトのある映画でした。まず映像が美しい。洗練されている。あともとが戯曲と云うだけあって台詞も流麗です。聴いてるだけで気持ち良くなって来る。作中喋ってるのはほとんど阿蘭なんだけど、演じる司汗の声も良い。どうもこの人はもともと職業役者ではなかったようなんですが素人臭さが全くない、圧倒的な存在感のある人です。決して美男子ではないんだけどねえ。ただ後にも先にも他の映画に出たと云う話は聞かないので、これをきっかけにプロの役者になったりはしなかったようですが今頃はどこでどうされておられるのでしょー。
劇場公開時は気づきませんでしたが、阿蘭の独白の中の回想シーンに出て来る相手の男を全て胡軍が演じているそーで、意識して観るとなるほどシルエットとかカラダの一部しか映ってなくても「おお、おっさんやないけこのプロポーションは」と思わず顔がにやけてしまう。台詞がなくても顔がロクに映らなくてもきちっとしっかり演技してるとこがさすが胡軍です。
あれほど印象的だと思ってた映画ですが、記憶とは不思議なもので再見してみると内容のほとんどを覚えてませんでした。『藍宇』を観て胡軍のフェロモンにノックアウトされた今となっては、なんだかんだと感慨深い一本です。