落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

藍色夏恋

2004年12月17日 | movie
『藍色夏恋』
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劇場公開時になんだか気恥ずかしくて観れなかった台湾の青春映画をやっとチェック。

とっても良い映画です。
誰にとっても愛おしく懐かしい思春期を、爽やかに瑞々しく、淡々と描いた佳作。
17歳の高校生たちのひと夏の物語、と云っても特にドラマチックなことは何も起こらない。登場人物もどこにでもいる普通の子ばかり、とりたてて不幸な人間も悪意のある人間も出て来ないし、はっと驚くほど個性的な人物もいない。
でもそれが良いのだ。ごくごく普通の少年少女の、平和でありきたりだけど、でも本人には決して二度とめぐって来ない日々。それを、大事に大事に、抑えたなかにしなやかにストレートな表現で丁寧に描いている。何も変わったことなんかなくても、青春はただそれだけでまばゆい。
キャストには演技経験が全くない人もいたようですが素人くささはあまり感じられず、むしろとてもナチュラルな演技に見えて好感が持てました。きちんとしたワークショップとリハーサルの賜物でしょう。
台詞が少なく間を大切にした演出がいかにも台湾映画らしく、映像や音楽など世界観は岩井俊二や大林宣彦の作品を彷佛とさせます。こういう映画ってもう日本じゃつくれないだろうなぁ。
強いて欲を云えば、ヒロイン克柔の親友・月珍への想いをもっとしっかりと描いてくれれば、物語によりコシが出たんじゃないかと思います。その点だけはちょっとあっさり済ませ過ぎじゃないかなと思えなくもない。

士豪役の陳柏霖(チェン・ボーリン)はとても可愛かったです。ああこういう子いたね~高校時代にさぁ・・・みたいな、健全そのものの少年役が似合ってました。こんな子も今の日本の俳優にはいないんだろうな。