今回は、以前より多くの皆様からリクエストのあった、
純正律チューニングも選択肢に入れていました。
純正律は12平均律に比べ音が遥かに共鳴するかわり、
そのチューニングはひとつのキーにしか対応出来ない難点を備え持ちます。
バッハやベートーベンのクラシック古典派以前のヨーロッパでは、
グレゴリウス聖歌に代表される、純正律に合わせた古楽器が存在していました。
それはすべての調に対して、それぞれ一台のピアノが必要とされる様な物と認識して頂けると解りやすいと思われます。
とにかくその台数を整理する為に、
「ピアノ・フォルテ」が誕生しました。
これはピアノの正式名称ですが、
12平均律が生まれ、その時を期に撥弦楽器(弦をはじく)より、音量も調整できる打弦楽器(ハンマーで弦を叩く)としてのピアノが誕生しました。
今回の収録曲は5種類のキー(調)。
この事を十字屋さんに相談させて戴いたところ、
なまめかしい話ですが、各チューニングには2万円かかると言う事でした。
それだけで10万。そして最後に元のピッチ戻す為には、
チューニングだけで、計12万。
現実的な話で申し訳ございませんが、
それを聞いて、あっさりと一回のチューニングする事も諦めていました。
そんな時に、今回のチューナー(調律師)の方が現れる。
松「純正律のチューニングの様な事って可能ですか・・・。」
チューナー「はい!あれですね。」
「ベーゼンはそういう意味では、充分適応力がありますので。」
松「キースのケルンみたいな・・」
チューナー「私も大好きな一枚です。」
松「本当に可能ですか・・」
チューナー「あそこまで行くと音が狂っていると思われる方もいますので、でも・その一歩手前までのチューニングは可能です。」
「ピアノには、高音にはひとつの音に3本の弦が張られていて、
それぞれを微妙に狂わせる事で、純正律の響きを再現する事が可能です。」
「ただ・これはイメージの話で、確実にそれが実現出来るかどうかは、
やってみた後でないと私も解りません。」
松「是非・それで宜しくお願い致します!」