ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

監視カメラ

2013-03-01 | Weblog
ロシアの隕石落下を写した映像には驚いた。光や轟音に気付いてからレンズを向けても遅い。ごく短い時間の現象だけに、決定的瞬間を意図して写すことはできません。
 あの映像を偶然キャッチしたのは、屋外の固定式監視カメラ。それから車載のカメラだったのですねえ。交通事故を起こした時、車中のカメラが勝手に撮影した映像が、身を守る証拠になります。また警官がいちゃもんを付けてワイロを要求した時も、動画が動かぬ証拠になる。いたる所に取り付けられた監視用カメラが、100年に一度ともいう決定的瞬間をとらえたわけです。

 京都駅近くで深酒し最終電車。最寄りのJR桂川駅のバスは終了しており、タクシーの世話になりました。つい先日のことですが、その車の助手席窓サンバイザーあたりに、携帯電話を倍ほどにした縦長な箱が付いている。運転手さんに聞くと「わたしたちがいま話していることは、すべて録音されています。また外の景色も車内もカメラが撮影しています」
 これには驚きました。ロシアは特別なのだと思っていたのですが、日本も同様だったのですね。何か事故や事件があれば、このレコーダーを調べるそうです。交通事故もタクシー強盗も警察官の横暴も、運転手さんや乗客のプライバシーもすべて記録されているのです。飛行機のコクピットにもボイスと映像の両用レコーダーが必要かもしれません。

 この1月には埼玉県でスイス在住のセレブ夫妻の遺体が土中から発見されました。マスコミ報道は風化しつつあるようですが、裏の世界がからんだ事件といわれながら、真相は一向にみえてきません。犬好きだった夫妻があまりにもいたましい。
 ところでこの事件が一応解決したのは、やはり防犯カメラのお陰です。まず銀座のホテルを出て犯人の車に乗り込む夫妻の姿が、屋外のカメラに写っていました。また車のナンバープレートも鮮明に読みとれた。この車は埼玉県に向かったのですが、幹線道路に取り付けられている監視カメラのNシステムで、車の移動経路は正確に把握された。車を特定したことから所有者と借りた犯人が確定したのです。日本国中、いたる所でわたしたちは見張られています。

 遠隔操作ウイルスの真犯人だとして、猫好きの容疑者が逮捕されました。これまで無実の4人が何者かの遠隔操作を受け、冤罪で逮捕されていただけに、ネコ男とか呼ばれている彼は真犯人かどうか、やはり疑わざるを得ません。どうも高度なコンピュータ知識を彼は持ち合わせていないという情報もあります。またも冤罪なら、わたしたちは捜査陣を許してはいけません。
 江ノ島の猫のみぞ知るですが、チップ付き首輪がポイントです。容疑者が問題のネコと戯れたのは確かですが、その時にはまだ首輪は巻かれてはいないのです。彼はネコ好きで、ほぼ毎週バイクで島を訪れていたそうです。
 江ノ島には監視カメラが35台も設置されています。ところが彼がバイクで去った3時半まで、ネコの首輪は確認されていない。おそらく夕闇の迫るころか夜間の行為で、暗くてカメラでは認識されない時間帯。あるいはカメラが設置されていない場所だったのでしょう。彼が島から帰る姿はやはりNシステムではっきりしています。3時半までに付けられたという証拠がなければ、またPC内に遠隔操作の痕跡が発見できなければ、彼も誤認逮捕になってしまいます。度々の捜査の不手際は許されるものではないでしょう。
 なお国際的な犯罪や極秘行動なども、夜間に実行されます。偵察衛星が宇宙から常に監視しているからです。しかし夜は天空からは見えません。北朝鮮でも軍隊などの移動はいつも夜間。ミサイル運搬も然りです。闇は最新式遠隔カメラにも大敵なわけです。

 近ごろ、盗撮カメラのことがよく話題になります。猫男さんも逮捕前、警察からリークされたTV局に日常生活を盗撮されていました。それも複数社が四六時中です。本当の犯人だったら気付いて証拠隠滅を計るでしょう。いや冤罪なら、とてつもない人権侵害です。
 盗撮ですが、小学校の教員が校舎の女子トイレに、超小型のキーホルダー式カメラを仕掛けていたのが、また発覚しました。なんとも情けない。男性の入れないスペースの入り口天井には、きっとその内に外向き監視カメラが取り付けられ、こそっと入室する男をマークすることでしょう。当然ですが、夜間も照明はつけるべしです。
<2013年3月1日 南浦邦仁>


<追報 3月2日>「弁護士ドットコム」は3月1日に次のように報じました。タイトル「遠隔操作事件の弁護人『ハイジャック防止法で立件』報道を批判」。遠隔操作の威力業務妨害立件をあきらめ、ハイジャック防止法に切り替えるのであれば許せません。それは非道な暴挙で、自らの大失態である誤認逮捕を隠そうとする許せない極悪犯罪です。明日3月3日が注目されます。以下、ドットコムからの引用です。

パソコンの遠隔操作事件では、2013年2月10日に被疑者の男性が威力業務妨害罪で逮捕された。だが、勾留期限が3月3日に迫っている現在、取り調べは止まったままと伝えられている。このような中、弁護人を務める佐藤博史弁護士が3月1日午後、被疑者が勾留されている警視庁東京湾岸署の前で記者会見を行った。
同日、1時間ほど被疑者と接見した佐藤弁護士によると、依然として取り調べのない状態が続いているという。「呼び出しは受けるが、『出ることを拒否します』ということで、取り調べは全くなされていない」。また、佐藤弁護士に対して被疑者は「3月3日にはここを出られると思っている」と語ったとのことだ。
●「一番肝心なことが報道されていない不十分な記事」
一方、佐藤弁護士は取り囲んだ記者たちに向かって、今朝(注3月1日)の日本経済新聞の報道に対する批判を口にした。その記事は「警視庁などの合同捜査本部が、被疑者が関与したとみられる昨年8月の航空機爆破予告について、ハイジャック防止法違反(航空機の運航阻害)容疑での立件を検討している」というものだ。
「日経の記事では、本件(威力業務妨害罪)で起訴されるかどうかという一番肝心なことがことがまったく報道されていない。はっきり言って、非常に不十分というか、取材不足というか、意味のない記事だと私は思う」
このように佐藤弁護士は厳しい口調で指摘した。
ハイジャック防止法違反で有罪となった場合、1年以上10年以下の懲役が課せられることになる。この罪で立件され、有罪となれば、威力業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)よりもさらに重くなるということを意味する。
佐藤弁護士は、「今回の事件で、さらに再逮捕されるようなことを、この時期に根拠もなしにいたずらに書くことには厳重に抗議する」と日経新聞に伝えたことを明かした。また、佐藤弁護士がこの報道を被疑者の男性に伝えたところ、相当なショックを受けていたという。


<再び追報 3月4日記> 昨晩NHKテレビでわたしが見たのは19時のニュースだったようです。「毎日jp」記事を転載します。興味深いのは容疑者がずっと要求しているのは、取り調べの可視化です。監視カメラを部屋に付けてくれと叫んでいるのです。あまりにも皮肉です。

「PC遠隔操作:片山容疑者再逮捕 ハイジャック防止法違反」
毎日新聞 2013年03月03日 16時22分(最終更新 03月03日 21時14分)
片山祐輔容疑者=東京都江東区で2013年2月11日午後、梅村直承撮影 拡大写真(省略)

 パソコン(PC)遠隔操作事件で、警視庁などの合同捜査本部は3日、誤認逮捕された大阪府の男性のPCから2件の犯罪予告を書き込んだとして、IT関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)をハイジャック防止法違反(航空機の運航阻害)と偽計業務妨害の疑いで再逮捕した。警察が誤認逮捕した事件での立件は初めて。合同捜査本部によると、片山容疑者は「身に覚えがありません」と否認しているという。
 再逮捕容疑は、昨年8月1日午後1時20分ごろ、ウイルス感染させた男性(43)のPCを遠隔操作。成田発ニューヨーク行きの航空機に「爆弾を持ち込んだ」とのメールを日本航空のホームページ(HP)に送信し、引き返させたとしている。
 また、同じPCから昨年7月29日午後9時45分ごろ、大阪市のHPに「ヲタロードで大量殺人する」と書き込み、警戒を強化させたとしている。
 男性は片山容疑者が作成した無料ソフトをネット掲示板からダウンロードした際、ウイルスに感染している。捜査関係者によると、このソフトやウイルスのソースコード(設計図)が、神奈川・江の島の猫の首輪に付いていた記憶媒体から見つかったという。
 東京地検は3日、愛知県の会社のPCから殺人予告を書き込んだとされる威力業務妨害容疑について処分保留とした。【小泉大士、喜浦遊】
◇「不当逮捕」弁護人が警察批判
 「不当逮捕だ。大阪の事件では誤認逮捕しているのに、警察は恥の上塗りをした」。片山容疑者の弁護人を務める佐藤博史弁護士は、報道陣に再逮捕を厳しい口調で批判した。
 佐藤弁護士は、最初の逮捕容疑が処分保留となったことに触れ「証拠がないということ。検察は正しい判断に一歩近づいた」と指摘。片山容疑者も3日の接見で「処分保留になってよかった。再逮捕は落ち着いて迎えることができた」と話したという。
 佐藤弁護士によると、片山容疑者は「私がウイルスを作るのは不可能」と一貫して容疑を否認。一方、合同捜査本部の幹部は「客観的な証拠はそろっており、有罪は揺るがない」と自信を見せる。
 弁護側は取り調べの録音・録画を要求。先月19日以降、聴取を拒否しており、再逮捕後も、片山容疑者は「録画がされなければ、応じません」と拒んでいるという。【松本惇】


<3月8日>次々追加です……。花水木法律事務所ホームページ(3月8日付)から転載します。映画をみていますと米CIAでは、顔や手指の部分写真から探索している人間を特定できるそうです。逃げようがありませんね。

タイトル「監視カメラによるデジタルサイネージ」
株式会社日立ソリューションズは3月4日、監視カメラと顔認識技術を利用したデジタルサイネージソリューションの提供を開始すると発表した。
概要は、店舗の入り口に設置されたカメラで客を撮影して、性別や年齢層を判定するなどして、顧客の関心にあったイベントやキャンペーンの案内などを電子看板に表示するというものである。
たとえば、20代の女性が店に入ると、正面のモニターに、20代の女性に向けたセールの案内が表示される、というものである。
デジタルサイネージの未来形と言えば、映画「マイノリティ・リポート」の一場面が有名だ。これは、町中に設置された虹彩認証装置が個人を特定し、たちどころに店舗の壁面に広告を表示する仕組みである。逃亡中の主人公は、行く先々でデジタルサイネージから名前を呼ばれてしまうため、追っ手をまくために、目玉を闇医者に交換してもらうことになる。
さて、日立ソリューションズの発表は、もちろん、映画ほど先進的な仕組みではない。顔認証と行っても、性別と10歳刻みの年代を判定されるくらいのことなので、プライバシー権侵害の問題は発生しない。撮影した顔画像を録画してマーケティング等に使用する場合には、プライバシー権の問題が発生するけれども、顔画像は録画しないようである。
もっとも、顔画像は録画しなくても、来場者一人一人を特定するほどの分析値を保存し、リピしたときに分かるようにする、というのは、氏名等まで特定しなくても、プライバシー権侵害の問題は発生しうる。
また、この種のデジタルサイネージは、行き過ぎると一種の「お節介」になる。たとえば、ある種の女性が行く先々で「大きいサイズの婦人服売り場」を案内されたり、ある種の男性が養毛剤の広告ばかり見せられたりする場合だ。このとき客が感じる不快感は、今のところ法的問題とは認識されていないが、将来的には、検討の余地があるかもしれない。







コメント (4)