ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

京のカ

2009-10-31 | Weblog
 「京都の力」とは、変なタイトルをつけたものです。実は「ちから」ではなく、「カ」すなわち「蚊」の雑話です。京都には今日も、蚊がたくさん居ます。
 本日は晦日。明日は十一月朔日。晩秋どころかまもなく初冬でしょうに。日中の気温は毎日、21度から25度の間です。25度は夏日です。
 いたるところで、季節遅れの蚊たちが、ワゥ~ン、ウィ~ンと飛び交っています。何も京都市中だけでなく、西日本各地で彼らは猛威をふるっているのでしょう。
 昨日、所用で上京区の大谷大学に行ったところ、構内の駐車場でいきなり、蚊の一撃を受けてしまいました。玄関脇の守衛さんに聞きましたが、「蚊取り線香をまだ焚いています。やっぱり、地球の温暖化なのでしょうね。その内、除夜の鐘音を聞きながら、アースノーマットかベープマットに眼をやる。そんな大晦日が近いうちに来そうです。この冬、雪はほとんど降らないでしょうね」
 仕事で京滋の各地を車で走り回っているわたしですが、雪用のスタッドレスタイヤはもう無用の重物、反故同然になってしまうのでしょうか。
 雪国といえば、わたしの業務テリトリーの北限は彦根と比良。滋賀県の湖東と湖西です。どちらも京洛と比べて、平均気温は数度低い。
 ところで一昨日、彦根には蚊がいたのです。驚きました。あまりに健気に思い、叩き潰すことなどできませんでした。本来、わたしは気が弱いのです。殺人どころか殺蚊もできぬ人間です。釈尊の教えに忠実なのかもしれませんが。
 さて比良は名の通り比良山系・武奈ヶ岳山麓の地。この山は深い降雪で有名です。かつて何度か厳寒期に山頂まで登ったことがあります。春夏秋もすばらしい山ですが、冬山は魅力に富んでいます。しかし危険な岳です。尾根道は凍っており、アイゼンなしでは歩けません。また山の西斜面は豪雪の雪国。日本海を越えてきた雪雲がこの山系にぶち当たって、すごい雪を落とすのです。しかし尾根を境に、一方の東面は雪量が少ない。
 この冬は、暖冬で雪が少ないだろう。久しぶりに登ってみようかなと、脚力の落ちたいま、思ったりしています。
 ところが比良で聞いた話には驚きました。「地元の古老は、この冬には大雪が降るといっています」。意外なお声に戸惑ってしまいました。理由は「比良山麓では、近ごろカメムシが異常なほど大発生しているからです。昔から比良の麓では、屁こき虫が豪雪予報の指標です」
 確かに近くにはカメムシが群集していました。帰ってから事典でみると、この虫は別名をヘコキムシ。腹部に臭腺があり、悪臭が強く、クサカメともヘクサムシともいう。果樹や野菜などの草果汁を吸い盗る害虫とあります。
 カメムシの仲間は種類が多く、わたしがみた虫がいったい図鑑のなかのどれなのか、正確な名がわかりません。一匹持ち帰って確認すべきでしたが、オナラに辟易してしまい、拉致する勇気がわきませんでした。
 さて地元に古来より伝わる豪雪予報は、的中するのでしょうか。もしその通りなら、人間の昔からの経験則のすごさ、いやヘコキムシのすごい予知能力、人智をこえた超能力に脱帽敬礼します。
 その際には、昆虫図鑑と虫メガネを手に訪れ、敬愛のこころで越冬「屁こき虫」の種別を特定しよう。また失礼な俗虫名を「雪読み虫」とか「豪雪予兆亀虫」とかに、変更申請したいとも思う。長寿だった蚊たちを偲びつつ、愛車のスタッドレスタイヤとともに向かおう。カメムシさん、再会を楽しみにしていますよ。
<2009年10月31日> [177]

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