大学ラグビー、関西復権を 「ブランド化」で選手流出防げ(産経新聞) - Yahoo!ニュース
産経新聞 4月24日(金)14時46分配信
■6年ぶり代表編成 NZ学生代表と26日対戦
ラグビーの関西学生代表が26日に花園ラグビー場で開催される「関西ラグビーまつり」(関西協会主催)のメーン試合で、ニュージーランド学生代表(NZU)と対戦する。関西大学リーグの精鋭たちを集めた選抜チームが編成されるのは6年ぶり。背景には、「東高西低」と言われて久しい大学ラグビー界で、“関西復権”を目指す思いがある。(月僧正弥)
◆王座逃して30年
早大、関東学院大の2強時代を経て帝京大の独走が続く現在、関西勢の影はすっかり薄くなっている。
大学日本一を決める全国選手権大会の優勝は、同志社大が史上初の3連覇を達成した1984年度が最後。以来、30年も王座から遠ざかり、決勝に進出したのも86年度の同大、2011年度の天理大の各1度だけ。ここ8年にいたっては4強に進出したのも、このときの天理大しかない。
また、大学ラグビー界では08年度まで毎年、関東、関西(九州含む)の学生代表がそれぞれ「東軍」「西軍」に分かれて戦う東西学生対抗試合が開催されていたのだが、最後の3年間は102-14、89-24、72-5で東軍の圧勝。シーズン終了後で幾分真剣味に欠けているとはいえ、実力差を理由に廃止になったというのもうなずけるスコアだ。
◆関東は環境充実
日本ラグビー界の勢力図を見ると、高校までは関西が圧倒的に強い。平成以降の全国高校選手権では25大会中、関西勢の優勝は16回。うち5回の決勝が関西決戦で、逆に決勝に進出していないのは4回だけだ。
が、大学になると、すっかり逆転する。その理由として、関係者の多くが指摘するのが、有望選手の“関東流出”だ。
関西の高校生たちが関東を目指すのは、国立競技場で行われてきた早明戦など華やかな舞台への憧れ▽日本一を目指す近道▽推薦入学制度の充実-などの理由が挙げられる。プロとしてトップリーグ(TL)入りを目指す選手が増えた近年では、整った環境の中でより自分を鍛えたいという思いも見逃せない。乱暴に言ってしまえば、有望な選手ほど関東の大学の方が魅力的に映るのだ。
◆海外遠征も視野
だからこそ、関西復権のためには、高校生をつなぎ止める魅力作りが欠かせない。今回の試合の実現に尽力した関西協会の坂田好弘会長(72)が思い描くのは、関西学生代表の“ブランド化”だ。「関西の学生の目標となるようなチームにしたい」と話し、今後、定期的に海外のチームとの国際試合を組んだり、海外遠征なども視野に入れる。
国際試合の経験は選手個々の成長につながり、TL入りを目指す上での良いアピールの場となる。「学生時代の最高の思い出に」という選手もいるだろう。「代表に選ばれたい」という意欲がリーグを活性化させることは間違いない。
今回のNZU戦のメンバーは昨季の関西大学Aリーグの各試合からセレクターが選出した計40人の候補による選考試合を5日に行い、最終決定された。監督を務める大西健・京産大監督は「FWはスクラムなどセットプレーで相手に対抗でき、バックスはボールを動かせる選手を選んだ」と説明。将来のオールブラックス(NZ代表)候補を含む強敵に速さでどこまで勝負できるか。“新生”関西学生代表の奮起に期待したい。なお、NZUは5月5日に秩父宮で関東学生代表とも対戦する。
確かに、高校ラグビーにおける大阪勢の強さは、花園で全国大会があるとはいうものの、目を見張るものがある。
しかし、大学は確かに「皆」、関東に行ってしまう。
これはやはり、早明戦というステータスの高い一戦があるということもあるが、一つには、関東の大学のほうが、勝つためにはどのようにすればいいか、ということを念頭に置いた、戦略性がある、ということがいえる。対して、関西の大学は行き当たりばったりのようにしか見えない。
よって、「ちゃんとした環境」でやる、という前提に立つと、現状では関東の大学のほうが数段優れている、と言わざるを得ない。
それが証拠に、現在、大学選手権6連覇中の帝京大学だが、実は、著名といえる高校から入ってくる選手はそんなに多くない。なのにどうして勝ち続けられるかというと、野村克也が「
無形の力」と言っているけど、そうしたものが受け継がれているのではないか。だから帝京は、連覇中だけを見ると、プレースタイルが大きく変わった年度というのはほとんど見受けられない。
しかし、逆にいえば、入れ替わりが毎年行われる大学ラグビーでそうしたことを継続できるというのは、ある意味凄いことである。となれば、帝京の天下はまだ続くのかな、と思う次第。
ところで、日本代表はラグビー選手であれば、誰もが目指したい、と思っているはず。
ということがあるから、高校生の多くは関東の著名大学を目指すんだろうけど、ちょっと待て、と言っておきたい。
実は、関西に「お買い得な大学」がある。
京都産業大学だ。
とはいっても、京産大出身者が日本代表選手を多く輩出しているかというと、そうではない。これまで10数人程度だ。
じゃ、どこが「お買い得」なのかというと、京産大から日本代表に選出された選手の多くは、キャップ数が10を超えているのである。
ラグビーを知らなくても名前だけは知っている、という人も少なくないであろう大畑大介や、PG、GKの「世界的名手」だった広瀬佳司が代表的な選手だろうが、他にも、田倉正憲、吉田明などの元選手のほか、田中史朗、伊藤鐘史、山下裕史などといった現役代表選手も10を超えている。特に、伊藤は30を過ぎてから代表となった遅咲き選手であるにもかかわらずだ。
つまりは、関西大学リーグの優勝からさえも遠ざかっている現状の京産大なのに、日本代表に選出された選手は、ほとんど主力級選手となっているのである。
これは特筆すべきことである。
要するに、大学ラグビーは関東でないとダメ、という先入観もあるのではないか。
そうではなくて、では、将来性を考えるとどうなのか?、という話になると、京産大のような存在は無視できまい。
もっとも、京産大の練習は相当にハードらしいので、「あそこは練習がきついから・・・」という選手は向いてないんだろうな、多分。