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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

博士と彼女のセオリー

2015年03月17日 | 映画(は行)
広大な宇宙の片隅の一瞬の出来事でありながら、人生は貴重で美しい



* * * * * * * * * *

ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病を抱えながら、
現代の宇宙論に多大な影響を与える研究に励んだ天才物理学者、
スティーブン・ホーキング博士と、博士を支える妻ジェーンの物語。



スティーブン(エディ・レッドメイン)はケンブリッジ大学在学中に、
詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、恋に落ちるのですが、
その直後にALSを発症し、余命2年の宣告を受けてしまいます。
ジェーンはスティーブンと共に生きることを決め、
二人で難病に立ち向かうことになりますが・・・。



もちろん実話なので、非常にリアルなラブストーリー。
ジェーンが、スティーブンと共に病と戦う覚悟を決めたのは、
もちろん真実の愛によるもの。
だけれども、夫の介護と子育てに、次第に疲弊していってしまう。
普通ならこんな時に妻を支え時には優しく包み込んでくれるのが夫。
けれどそれは望めない。
でも私は「始めからわかっていたことじゃない」なんて、
決して言えません。
時の流れの中では無理からぬこと・・・、
むしろそうならないほうがおかしい。
だから彼女が夫の代わりにそのような慰めを得ようとすることに、
全く嫌悪は覚えません。



しかし、スティーブンも妻のそんな気持ちをわかっているんですね。
彼の家のあれやこれやのヘルプ役として男性を受け入れることは
妻のためにも、どうしても必要だ。
そんなスティーブンの諦めや無念さ、
そして悲しみが彼の眼の色から伺えるのです。


エディ・レッドメインがアカデミー賞の主演男優賞を獲得したのは、
何もALS患者としての演技がリアルだっただけではない。
そのような中でも、ふとした目や口元の動きで
その感情がくっきりと伺える、
そういう確かな演技力こそが認められたと言っていいのでしょう。


でも授賞式では、かなりハイテンションになってましたね、
エディ・レッドメイン。
やはり「レ・ミゼラブル」のノーテンキなマリウスくんの方が、
実物の彼に近いようです。


2年の余命宣告を受けながらも、
今も73歳でご存命のホーキング博士。
正直、彼の理論は私などには全くわからないのですが、
ブラックホールと時間のこと、宇宙の始まりのこと・・・、
そんなことが理解できる能力があったら良かったのにと思います。


最後の方に、思い出のシーンのあれこれを、
時間を遡りながら描かれている部分があります。
若く希望に燃えていたあの頃の映像が、
なんと美しいこと。



人の人生は、ホーキング博士の説く宇宙の時間のスケールから比べたら
ほんの一瞬のことかもしれないけれど、
でもだからこそ美しく尊いのだなあ・・・と感じ入りました。

「博士と彼女のセオリー」
2014年/イギリス/124分
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー・コックス、エミリー・ワトソン、サイモン・マバーニー

リアルな愛の姿度★★★★☆
満足度★★★★☆


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