映画と本の『たんぽぽ館』

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神は見返りを求める

2022年07月22日 | 映画(か行)

やっぱり見返りは欲しい

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イベント会社で働く田母神(ミロツヨシ)は、
ユーチューバーのゆりちゃん(岸井ゆきの)と、合コンで出会います。
自分のチャンネル再生回数が全く上がらないことに悩むゆりに、
田母神は「見返り」を求めず、製作を手伝うようになります。

それで少しだけ再生回数アップはしたものの、
もともと若くはないしセンスも良くない田母神なので、
一定以上の効果は現れません。
それでもゆりは楽しく、見返りも求めようとしない田母神を“神”と思います。

しかしある時から、ゆりは人気ユーチューバーの助力を得たり、
実力のあるアドバイザーがついて、急激に人気上昇。
すると急に田母神の“ダサさ”が目につくようになり、ジャマに思えてきます。

そのことに気づいた田母神は突如豹変して“見返り”を求め始める。
するとゆりの振る舞いも別人のようになって、恩を仇で返しはじめます。
2人はYouTube上で、醜い公開バトルを繰り広げるように・・・。

 

田母神は始め本当に、単に親切心でゆりちゃんの手伝いを始めたのでしょう。
見返り、すなわち金銭も、体も求めない。
いえ、ゆりちゃんの笑顔、自分への感謝の気持ち、
が見返りだったというべきかもしれません。
そのことで田母神は自己有用感を持つことができた。

ところが、いきなり不要と言うよりむしろ邪魔者にされて、彼は怒るわけですね。
冗談じゃない、今までの親切の見返りを返せ!と。
そういう気持ちの変化は、まさしく自然。
彼の気持ちもよ~く分かりますとも。
でも結局彼はゆりちゃんのことを思うよりも、
ゆりちゃんに親切にする自分が好きだったのでしょう。
そういうことが露呈してくるから、面白い。

この2人が互いを罵倒し会うシーンは、なかなか壮絶です。
しかしこれはほとんど、長年連れ添った夫婦の夫婦喧嘩。
一時期にせよ気持ちが寄り添ったことがあるからこそ、
その裏切りを許せなく感じるのかも知れません。
でも、そんないい時期のことを思い出せば・・・。
ね。

 

若葉竜也さんの、いかにも親しげにあなたの味方ですとアピールするために、
別の人の悪口を言うというや~な感じの男の役、ナイスでした。

 

<サツゲキにて>

「神は見返りを求める」

2022年/日本/105分

監督・脚本:吉田恵輔

出演:ムロツヨシ、岸井ゆきの、若葉竜也、吉村界人、柳俊太郎

 

態度豹変度★★★★★

満足度★★★★☆

 



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