映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

(500)日のサマー

2010年01月12日 | 映画(か行)
時には花咲かない恋もある・・・



* * * * * * * *

運命的出会いとか、ドラマチックな恋、
そういうものを信じ夢見ているトム(ジョセフ・ゴードン=レビット)。
彼は社長秘書のサマー(ズーイー・デシャネル)に一目惚れ。
これはこの2人の500日間の恋の物語。
・・・ところがこの作品、
冒頭でナレーターが
「最初に断っておくが、これはラブストーリーではない」と、
きっぱり宣言するのです。
・・・さてどうなりますことやら。



トムに比べて、サマーの方は現実的。
トムの熱意にほだされて、つきあい始めるものの
うっとりロマンチックにはなれないサマー。
ムードに流されないサマーが大人なのか。
ロマンチックを夢見るトムが子供なのか。


500日としっかりカウントされているのを見ても解るとおり、
これは終わりのある恋の物語。
トムの視点で語られるのですが、
私たちはトムと共に
サマーに対して何かもどかしい思いを味わうことになるでしょう。
映画のラブストーリーは、
思いが通じるハッピーエンドが約束されているものですが、
実生活では、そうとは限らない。
いや、うまくいくことの方がまれかもしれません。
トムの苦い思いがリアルに伝わってきます。
トムはグリーティングカードの制作会社に勤めているのですが、
本当は建築家になりたかった。
このサマーとの出会いと別れを通して、
本当に自分のやりたいことを見つめ直し、再出発につなげるのです。
だからこれはこれでいい。
こうして彼は、現実をしっかり見つめることの出来る大人の男に近づいていくんですよね。



さて、この作品の作りがなかなかおしゃれです。
場面が普通に時系列通りでなく、シャッフルされて映し出されます。
つまりこれはトムの心の揺れを中心に描かれている。
トムの理想の思い込みと現実が左右の画面で同時に映し出されたり、
いきなり背景がモノクロのイラストになったり。
それがけっして鼻につかず、
都会的センスが感じられる小気味のよい作品です。




余計なことではありますが・・・
映画を見る限りではトムは十分にステキなんですけどね。
サマーがのめり込めなかったのは何故でしょう?
本当にやりたいことがありながら現状に甘えてしまっているトムが物足りなかったとか・・・・。
運命の恋にあこがれるなんて、子供っぽいと思ったのか・・・。
女性には現実的なところもありますからね・・・。
でも、そこまで現実的になっちゃうというのには
相当の修羅場を経ているか、かなりの年齢か・・・。
いえいえ、単に好みに合わなかっただけ、ということにしておきましょう。
ビビビと来るものがなかった、と。
う~ん、かなり贅沢。
ちょっとナイーブそうな彼、私は好きだけどなあ・・・。
(私が好きでも、しょうがないんだってば!!)


監督:マーク・ウェブ
出演:ジョセフ・ゴードン=レビット、ズーイー・デシャネル、ジェフリー・エアンド、クロエ・グレース・モレッツ


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2 コメント

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CUTE!! (マカロン)
2010-01-27 21:53:42
なんて女子力アガル↑映画なんでしょ~!大好きです。作品の全てがキュートだけど、ストーリーはビタースィート。恋はいつも切ないんですよねぇ…。
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大人の味 (たんぽぽ)
2010-01-28 22:11:30
>マカロンさま
ありきたりにハッピーエンドでないところがいいですよね。
現実はハッピーエンドの方がまれ。
理不尽な振られ方でも、人は再度立ちあがることができるんだなあ。
ビタースイート。大人の味ですね!
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