映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

空からぎろちん

2008年09月26日 | 本(エッセイ)
空からぎろちん (講談社文庫 な 41-16) (講談社文庫 な 41-16)
中島 らも
講談社

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「空からぎろちん」 中島らも 講談社文庫

中島らもさんのエッセイ集です。
これは1995年に出されたものなので、話題としてはちょっと古いところもありますが、らもさんの個性満開。
パンチがあって楽しめる一作。
著者は大変多彩な方ですよね。
ミュージシャンでもあり、元コピーライター、そして作家。
私はあまり著作を読んでいないのですが、すごくユニークな人という印象があります。
しかし、2004年に52歳で逝去。
・・・大変残念なことであります。

さて、この本の中で、こんな文章を見つけました。
「私の文章の書き方」ということで、

一番いいのは、ビジネスの報告書を書くセオリーではないかと思う。
つまり一番最初に結果を書く。
次にどうしてそういうことになったのか、プロセスを書く。
最後にこれに対する自分の意見や、今後の対処の仕方なりについて書く。
これが一番伝わりやすい方法だろう。
ただ、エッセイの場合、原稿料をもらう以上、
それは広い意味でのエンターテイメントでないといけない。
(・・・中略)
だから、一編の文章の中に極力二つ、面白いフックを用意しておく。
冒頭に一つ目を置いて、これを漫才でいう「つかみ」にする。
二つ目を終り近くに出してこれは落語でいう「さげ」。
しかしなかなか思うように書けることはない。

ちょっと長くなりましたが、すごく良くわかります。
このように意識しているからこそ、この本は楽しく読めるのですから。
そして、できれば私もこの技を見につけたいものだと思います。
しかし、らもさんでもなかなかできないといっているのですから、遠いですねえ・・・。

ところで、この本の表題「空からぎろちん」。
中の多くのエッセイのうちに、これに係る話が出てくるのかと思ったのですが、
実はぜんぜん出てきません。
コピーライターの彼らしく、人をぎょっとさせ、人目につきやすい題名ということなのかもしれません。

満足度★★★★