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新聞報道は「南オセチア衝突」と報じているが、これは戦争である。
戦争の発端ほど当事者の意見が食い違うものはない。
お互いに「相手が先に手をだした」と相手の非を訴えるのは歴史が教える。
各紙の第一報を見ると、
「グルジアからの独立を目指す親ロシアの南オセチア自治州を攻撃し、それに対して南オセチアを支援するロシアがグルジアに反撃した」
といった内容。
つまり「先に手を出したのはグルジアだ!」
悪いのはグルジア?
ロシア軍機、グルジア基地爆撃 全面戦争の可能性 朝日新聞 - <NOBR>2008年8月8日</NOBR> 【モスクワ=星井麻紀】グルジア軍は8日、同国からの分離独立を目指す親ロシアの南オセチア自治州に進攻し、大規模な攻撃を始めた。ロイター通信などによると、これに対してロシア軍機がトビリシ郊外のグルジア空軍基地を爆撃するなど報復攻撃し、軍事衝突が拡大している ... |
これは、グルジア出身の黒海とロシア出身の露鵬が土俵上で戦うのとはわけが違う。
両関取の勝負は勝ったり負けたりもあるだろうが、
軍事大国ロシアと小国グルジアとの戦いは、
横綱と序の口の取り組みのようなもので、
どう考えてもグルジアに勝ち目はない。
案の定、グルジアが停戦を提案するが・・・
⇒グルジアが停戦提案、州都から軍撤退 ロシアは攻撃続行 (01:50)http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080811AT2M1001M
10082008.html
ロシアがこの絶好の機会に、おめおめと引き下がるわけはない。
やはり停戦拒否!
⇒グルジア軍撤退、ロシアは停戦拒否 黒海で海上封鎖(8/10) http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080810AT2M10016100
82008.html
ロシアの態度をみると新聞の第一報をそのまま額面どおり受け取れない。
プーチンは、グルジアが動き出すように「仕向けて」いたのだ。 日本を締め上げて開戦に追い込んだルーズベルトを連想する。
結局プーチンの思惑通り動いたグルジアが、
今頃「停戦通告」をしても、
ロシアは、
「もう、どうにもとまらない!」(by 山本リンダ)
南オセチア衝突:グルジアが停戦通告 露拒否「攻撃は続いている」
【トビリシ小谷守彦】グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州での軍事衝突は10日、ロシア軍がグルジアの首都トビリシ近郊を空爆するなど戦線が拡大した。グルジア外務省は同日、サーカシビリ大統領の決定に基づきグルジア軍が戦闘を停止し、紛争地域から撤退したことをロシア側に通告し、停戦交渉の開始を呼びかけたと表明した。インタファクス通信によると、ロシア外務省筋は通告があったことを認めたが、「グルジア軍は攻撃を続けている」と停戦に応じない意向を示した。
南オセチアの州都ツヒンバリ周辺では10日もロシア、グルジア両軍の激しい戦闘が続いた。グルジアのテレビはトビリシ近郊の戦闘機製造工場が10日朝、ロシア軍に空爆されたと報じた。夜にも再び近くで空爆があった模様だ。またインタファクス通信は、グルジアの黒海沿岸にロシア海軍のミサイル巡洋艦などが展開し、グルジアへの武器流入を防ぐ海上封鎖を準備していると報じた。カラシン露外務次官は同日の会見で艦船展開の事実は認めたが、船舶検査など海上警備の強化が目的と述べた。
ロシア外務省は10日、南オセチアの戦闘による死者は2000人以上と発表。グルジア政府はグルジア側死者は約300人としている。ロシアのラジオ局は10日、グルジア側から戦闘を取材していたジャーナリスト2人が死亡したと報じた。
ツヒンバリでは一時グルジア軍が撤退を開始したとの報道が流れたが、グルジア内務省はロシア軍による州都制圧を認めたものの、グルジア軍は州都周辺にとどまり反撃を準備しているとして撤退報道を否定していた。
一方、同じくグルジアからの独立を求めるアブハジア自治共和国でもグルジア軍と独立派の戦闘が本格化し、アブハジアに駐留するロシア平和維持軍に増派部隊が派遣された。独立派政府のバガプシ大統領は同日、10日間の「戦時状態」を宣言し、グルジア軍支配地域のコドリ渓谷に特殊部隊1000人を派遣したと述べた。
毎日新聞 2008年8月11日 東京朝刊
◇
プーチンがグルジア攻撃を抜かりなく準備しながら、北京オリンピックの開会式に臨み、その席で平然とグルジア攻撃の指示を出していた様子を、「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 (平成20年8月11日)が詳しく解説しているので、全文引用します。
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ロシア、グルジアへの軍事攻勢はアブハジア独立支援だけか?
隠れた意図はジェイハン・ルートの頓挫と原油高騰の維持ではない
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ロシアはグルジア攻撃をぬかりなく準備してきた。
そもそもコソボ独立に反対し、されどオセチア独立に賛成し、チェチェ
ン独立は武力で弾圧し、ユーゴスラビア解体のときに何も出来なかった恨みを晴らすかのように、グルジアをぺしゃんこになるまで軍事攻勢をかけようとしている。
親米派のサアカシビリ政権があぶない。
英米はこぞって即時停戦を呼びかけ、グルジアは五輪からの選手撤退を検討し、欧州のメディアは五輪そっちのけ、1面トップ・ニュースはグ
ルジアである。
ロシアは資源戦略の一環として複雑な思惑を秘めた軍事作戦を採っている。
第1に北京五輪の虚をついた。
プーチンは何事もないかのような笑顔をつくって北京五輪の開会式へ出席し、胡錦濤やブッシュと握手し、その笑顔を変えないで、グルジア攻撃を命じていた。鉄面皮。
第2は米国が手も足も出せない窮状を知っていて、その隙に乗じた。米国はイラクで泥沼に陥ってしまい、台湾問題でも北京に譲歩するほどの外向的ていたらく、グルジアを救援するために米軍を派遣することはあり得ない。
イランの核武装が着々と進んでいても英米の制裁にモスクワはまったく
乗らない。この点では北京と黙契があるかのようだ。
第3にグルジアへの積年の恨みを晴らす絶好の機会なのである。
一昨年、グルジアは200年ぶりに真の独立を恢復し、ロシア軍は撤退を余儀なくされ、その屈辱の裏返しが年初のオセチア、アブハジア両傀儡政権の事実上の承認だった。
外向的に国家承認ではなく、国内国のまま既成事実をみとめ、ロシアの傀儡大統領を「元首」扱いしだした。
戦争準備は出来ていた。
基本的なプーチンの資源戦略は石油高騰を維持し、ガスのカルテルを策定し、さらにウランのカルテルを組織化し、そのためには中央アジアの資源を、ロシアを経由しないルートの建設を徹底的に妨害することにある。
西側が建設を始めたブロッコ・パイプラインに対抗してブルーストリー
ムを並列させて同時に建設し(満鉄に平行した東清鉄道をみよ)、その
拠点をベルギー、ウィーンに競わせて、むしろEU内部の結束ががたが
たに揺らし、ドイツへの資源供給に脅しをかけ、そしてジャイハンルー
トへの妨害である。
ブロッコ・ルートはルーマニア、ブルガリアを巻き込み、EUの団結を
削減し、バルト3国は供給を絶たれて悲鳴を挙げている。
ジェイハンルートとは、中央アジアからアゼルバイジャンのバクー →
グルジアを経由し、トルコを西から東へ横断してトルコ南岸のジェイ
ハン港へと至る長大なパイプライン。すでに1日80万バーレルを運ぶが、トルコ内ゲリラの襲撃で5日間ほどストップした脆弱性を秘めている。
このパイプラインがグルジア領内を通過している。
ロシアの副次的な狙いは、これであろう。
◇
「平和の祭典」の観客席から戦争の指示を出されたら、中国の面子も丸つぶれだが、プーチンの力を借りるまでもなく、
既に、中国は「国内問題」で面目は丸潰れで、「平和の祭典」の跡形もない。
やはり、北京オリンピックは「虐殺のオリンピック」の名がふさわしい。
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