狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

『鉄の暴風』の取材背景 梅澤隊長“生死”の誤記 

2009-01-22 07:11:37 | ★集団自決

よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします

沖縄タイムスが3月から夕刊を廃止するとのこと。

夕刊廃止後は月額購読料は値下げになるはずだが、現行の3260円からいくら値下げしたか。

①970円

②670円

③170円

答えは文末に。

                    ◇

一昨日のエントリーで『鉄の暴風』の執筆者・太田良博氏の「誤記」の弁明について書いた。

その弁明記事を全文紹介して欲しいとの要望があったので、沖縄タイムス記事より、該当部分を抜粋引用する。

 

沖縄タイムス 1986年8月15日「文化面」

『鉄の暴風』の取材背景

戦後四十一年にあたって

梅澤隊長“生死”の誤記 - 太田良博

「解せぬ真相表明の遅れ」

(略)

その慶良間の戦闘だが、『鉄の暴風』のなかの座間味の戦記で、同島の隊長であった梅澤少佐に関する部分には誤記があった。 「不明死を遂げたと記録された、その梅澤元少佐が、現に生存していることが、あとでわかったのである。 『鉄の暴風』のその部分(同書四十一ページ末尾)は、1980年7月15日刊行の第九版から削除してあるが、その誤記の責任者は、じつは、当時、沖縄タイムスの記者であった、この私である。 ここで、梅沢氏と沖縄タイムス社には深く詫びるほかはない。しかし、あの誤記は、故意によるもの、あるいはネツ造によるものではない。 そのことは、自分の良心にちかって言える。 あれは座間味の戦争体験者の座談会をそのまま記録したものであって、梅沢隊長の消息については、あの「誤記」のような説明を私はうけたのである。 正直なところ、梅沢隊長が降伏したことを島の人たちは知らなかったらしい。 ただ、「誤記」のようなウワサがあったようである。あの小さな島で、しかも、当時、一番重要であった人物が、その後どうなったかも知らないほど、島の人たちはすべての情報から遮断され、孤立した状況のなかにおかれていたことがわかる。 『鉄の暴風』執筆当時、私としては、島の人たちでさえ知りえなかった事実をさぐり出すほどの余裕は、当時の私にはなかったのである。「生きている」のに「死んだ」と報じられたことを梅沢氏は抗議しているようだが、「おれは死んではいない」「投降したのだ、そしてこの通り生きているではないか」という意味の抗議なのだろうか。
それにしても、と私は思う。 というのは『鉄の暴風』の初版が出されたのは1950年の6月15日である。 あれから三十余年間、タイムスが自主的に「誤記」の部分を削除するまで、梅沢氏は自分の所在さえ知らせていないようだし、「誤記」訂正の申し入れもしていないという。 
『鉄の暴風』の版元が自ら削除してから6年も過ぎて、なぜいまごろから「真相」を明かすのだろうか。 その辺の梅沢氏の心情は不可解というしかない。(略)(沖縄タイムス 1986年8月15日)

                    ◇

人の生死に関わる誤記をしておきながら、随分と逆切れした弁明ではないか。

何よりも「梅澤隊長“生死”の誤記」とカッコつきで「誤記」としているが、この弁明文には肝心の「誤記」の原文は書かかれていない。

『鉄の暴風』の原文にはこう「誤記」されている。

梅澤少佐のごときは、のちに朝鮮人慰安婦らしきもの二人と不明死を遂げたことが判明した

このデタラメ記事を書いたことを太田氏は次のように弁明している。

>あれは座間味の戦争体験者の座談会をそのまま記録したものであって、梅沢隊長の消息については、あの「誤記」のような説明を私はうけたのである。 

>正直なところ、梅沢隊長が降伏したことを島の人たちは知らなかったらしい。 ただ、「誤記」のようなウワサがあったようである。

それにしてもただのウワサだけをネタにして、「朝鮮人慰安婦と不明死」とよくも想像力たくましく書けたものだ。

それも新聞社が発刊するドキュメント戦記と銘打っているのだから呆れて言葉を失う。

さらに言わしてもらうと、単に「不明死」と誤記しただけならまだ単純ミスと譲歩もしよう。

だが、「梅澤少佐のごとき」とか、「朝鮮人慰安婦と・・」とか、悪意に満ちた不必要な表現は一体何だ。

これでは戦記というよりまるで個人攻撃の怪文書ではないか。

このようなウワサ話の集大成が『鉄の暴風』ではないのか。

>あの小さな島で、しかも、当時、一番重要であった人物が、その後どうなったかも知らないほど、島の人たちはすべての情報から遮断され、孤立した状況のなかにおかれていたことがわかる。

すべての情報から遮断された状態で『鉄の暴風』を書き上げたということは、その内容の真実性は筆者は責任を負わないということに他ならない。

ということは、『鉄の暴風』の内容は米軍が一方的に持ち込んだ情報やウワサ話の類がそのすべてであったということを証明している。

>『鉄の暴風』執筆当時、私としては、島の人たちでさえ知りえなかった事実をさぐり出すほどの余裕は、当時の私にはなかったのである。

まさに、語るに落ちるとはこのことだ。

太田記者が『鉄の暴風』を書いた姿勢がこの一文に現れているではないか。

執筆当時の太田記者は事実を探り出す余裕はなかったのだ。

それでは太田記者は一体何ゆえ事実を探り出す余裕がなかったのか。

豊平、牧港のベテラン両記者をさし置いて、ろくに記者としてのトレーニングも受けないままに『鉄の暴風』の執筆を委ねられた新米記者の太田氏には、事実を探り出す経験も素養もなく、記者としての基礎トレーニングさえ受けていないのだから、勿論余裕なんて持ち合わせていなかったのだ。

>「生きている」のに「死んだ」と報じられたことを梅沢氏は抗議しているようだが、「おれは死んではいない」「投降したのだ、そしてこの通り生きているではないか」という意味の抗議なのだろうか。

あのような侮辱的な「誤記」をされたら誰だって抗議をするのが当然でああろう。

「梅澤氏と沖縄タイムス社には深く詫びるほかはない」と、ふてくされたように一応侘びてはいるが、太田氏は梅澤氏に抗議されたこと自体が気に食わないようだ。

それに太田氏が沖縄タイムスに詫びるより、沖縄タイムスと太田氏が連名で梅澤氏に詫びるのが本筋ではないか。


>それにしても、と私は思う。 というのは『鉄の暴風』の初版が出されたのは1950年の6月15日である。 あれから三十余年間、タイムスが自主的に「誤記」の部分を削除するまで、梅沢氏は自分の所在さえ知らせていないようだし、「誤記」訂正の申し入れもしていないという。

太田氏が梅澤氏に取材していたのならともかく、自分の知らない間にウワサで記事を書かれ出版されているのだ。

梅澤氏が太田氏に自分の所在を知らせることがあるはずはないではないか。


>『鉄の暴風』の版元が自ら削除してから6年も過ぎて、なぜいまごろから「真相」を明かすのだろうか。 その辺の梅沢氏の心情は不可解というしかない。

梅澤氏が「真相」を明かすということに逆切れする太田氏の心境こそ不可解ではないか。

ということは、『鉄の暴風』では「真相」は明かされないまま放置されていると言いたいのか。

一々細部を取り上げるまでもなく、太田良博氏は逆切れした結果、「『鉄の暴風』の取材背景」について意外と正直に告白してしまっている。

「戦後四十一年にあたって」というタイトルで気が緩んだのか、取材というよりウワサ話をかき集めて書いた吐露しており、

事実をさぐり出すほどの余裕は、当時の私にはなかったのである」と完全に『鉄の暴風』がデタラメだったと著者自ら語っているではないか。

著者も認めるデタラメな『鉄の暴風』を、資料的価値があると認識して下した大阪地裁判決やその事実認定を引き継いだ高裁判決がいかに事実とかけ離れたものであるか自明である。

【付記】1:35

『鉄の暴風』から梅澤氏の「不明死」を削除した1980年7月15日発行の同書には「重版に際して」と題して、次のような沖縄タイムスの弁明が載っているが、梅澤氏に対する一言の謝罪も述べられていない。

・・・戦後三十年余年の歳月を経過するなかで、沖縄戦に関する新しい事実の発見や資料の発掘もすすんでおります。 しかし、第二版刊行の際に削除した数行の字句および、今回、明らかな事実の誤り訂正したほかは、すべて初版のとおりにしました。・・・1980年7月1日 沖縄タイムス

たったこれだけの「誤記」削除の告知で、三十余年も梅澤氏を侮辱した本を発売し続けた弁明に変えているのだ。

一行の謝罪もなく。

それはともかく、「今回、明らかな事実の誤り訂正したほかは、すべて初版のとおりにしました」というが、これが事実なら『鉄の暴風」の「不明死」を削除したほかの部分は、すべては初版のとおりの「ウワサ話の集大成」だということになる。

                   ◇

夕刊廃止による沖縄タイムス購読料(月額)の値下げ額。

答え⇒③170円

沖縄タイムス夕刊は月額で、たったの170円だったのか。

 

よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします


 

コメント (8)    この記事についてブログを書く
« 続・行政ぐるみの脱法行為!... | トップ | タイムス夕刊廃止と不発弾被... »

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
5円程度 (ヒロシ)
2009-01-22 08:39:41
一日5円程度なわけですね。
以前は一枚の紙を折っただけの4面紙でしたよね。
今では紙面が増えていますが内容はほとんど無いようです。(笑)
配達の人件費を考えると夕刊代はマイナスで、読者(?)にお金を払って取ってもらっていたわけですね。
それにしても残った朝刊一部が100円というのは高いですね。
読めば読むほど亡国への道をたどる恐怖新聞にお金を払っているから沖縄県の寿命が縮むわけですね。
Unknown (涼太)
2009-01-22 19:14:57
狼魔人様

もう一つの「自決命令」、赤松さんの命令説も曽野綾子さんが、完膚なきまでに論破しています。
いわく、自決を命じた将校会議の決定を、「知念少尉は軍人の身を慟哭した。」と表現されています。曽野さんの取材に、知念さんは「そんな会議も命令も無かったし、私に一切取材も無かった。」と答えています。そのことを曽野さんが太田氏にぶつけると「知念は本当のことを言っていない。」と発言し、曽野さんは「取材もしないで人の心に踏み込むとは、太田さんは病気か。」とまで言われています。座間味の件にしろ、渡嘉敷の件にしろ、そう言われても仕方ないでしょう。
もともと、アメリカのプロパガンダのために発行された本ですから、名誉毀損の条件「公共性」「公益性」「真実性」いずれの条件も満たしていません。
そんな「鉄の暴風」を読んで大江氏が「沖縄ノート」を書いた。
裁判では、逃げまくるしかないでしょう。

追伸
夕刊廃止ですか。経営苦しいんでしょうね。
全面廃刊も近いでしょう。
「デマの暴風」の終焉ですね。
Unknown (ジリノフ小沢)
2009-01-22 22:59:17
夕刊廃止って簡単に言っていますけど、新聞配達員への補償は無いでしょうね…。ただでさえ低収入に甘んじている販売員を簡単に切り捨てだなんて…。

派遣切りを批判しているのにてめぇらは配達員をモノ扱いかとw

一方の琉球新報はどうなんでしょう?

いつも休刊日で談合している仲でしょうから追随しそうな気が…
Unknown (狼魔人)
2009-01-23 13:57:08
ヒロシさん

今からでも遅くないから「まともな新聞」に戻れると思うのですが、無理でしょうね。

結局読者はジリ貧でしょう。



涼太さん

地裁、高裁とも事実認定では予断と偏見に満ちた判決でしたが、最高裁が法律審だけというなら、原告側は勝訴だと思います。



ジリノフ小沢さん

記事内容だけでなく、夕刊廃止も談合ですね。

私の知人でもこれを機に新聞購読を止めるという者がいます。

新聞に反省はないのでしょうね。
梅澤戦隊長と従軍慰安婦 (ni0615)
2009-01-24 19:31:42
梅澤さんが米軍の上陸直後の戦闘で戦傷したあと、介護を買って出たのが従軍慰安婦であった女性の一人です。彼が米軍に投降するまで一緒に壕で暮らしていたことは、梅澤さんも手記の中で認めています。

つまり島民にとっては、梅澤戦隊長は「従軍慰安婦と一緒にいた人」、として記憶に残っていたわけです。

一方、梅澤戦隊長とは別の将校の一人が、また別の従軍慰安婦である女性と、部隊の投降前に心中したという事実があるのです。

島民にとっては将校というのは小隊長であっても「隊長さん」です。

おそらく「隊長さん」ということで、太田良博さんへの島民の証言が、その将校と梅澤さんと、混同されてしまったのではないかと想像されます。

間違いには間違いの理由というものがあるのです。

なお間違いの元となった、その心中した将校のことは、太田さんは後から知ったとしても、敢えて弁明の中に入れなかったんでしょう。世間で騒がれると遺族に気の毒だとおもったのでしょうか。

以上は、座間味島の従軍慰安婦に関する本を読めば書いてある事実です。
Unknown (狼魔人)
2009-01-25 08:06:30
ni0615さん

ほほぅ、太田氏は心中した「兵隊さん」の遺族のことは心配しても、30数年の間梅澤氏の名誉・人権は踏みにじっておいて、抗議したら逆切れですか。

随分とダブスタな優しさを太田記者は持っていたのですね。

なお、「兵隊さん」と朝鮮人慰安婦が単なる兵士と慰安婦の間を越えて恋愛関係にあったことは、当時の座間味住民や兵隊の中では誰も知らない人はいなかったと生存者は言っています。

それを承知であのような「梅澤のごとき・・・」という噂話をそのまま『鉄の暴風に書いた』太田記者を、弁護すればするほど墓穴を掘りますよ。
Unknown (ni0615)
2009-01-25 15:07:21
狼魔人さん

>なお、「兵隊さん」と朝鮮人慰安婦が単なる兵士と慰安婦の間を越えて恋愛関係にあったことは

「兵隊さん」一般ではなかったと聞いています。「将校さん」の特権で、いわば現地妻だったそうですよ。
ウワサを信じちゃいけないよ! (狼魔人)
2009-01-25 18:34:28
ni0615さん

太田記者がコケたら『鉄の暴風』もコケテしまう。

ソレが心配で、太田記者の援護に必死のようでご苦労さんですが・・・。

>間違いには間違いの理由というものがあるのです。

その通りです。 ウワサをそのまま記事にするという新聞記者として失格の行為をした太田記者。
その記者としての資質に間違いの理由があるのでしょう。

いくら弁護しても「ウワサを書いた」とご本人が言っている以上『鉄の暴風』は『ウワサの暴風』といわれても仕方ないでしょう。

コメントを投稿