狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

産経新聞と「台湾の声」との「カイロ宣言」論争。

2006-12-21 22:14:34 | 県知事選

中国が台湾の領有権を主張する根拠を、1952年のサンフランシスコ平和条約による日本の領有権放棄に求める。

だが同条約では日本は台湾の領有権は放棄しているが、中国に譲ったと明記されているわけではない。

日本降伏の根拠となる「ポツダム宣言」にも日本が放棄した後の台湾の地位については触れられていない。

だが中国はポツダム宣言の「カイロ宣言の条項は履行され、また、日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国並びにわれらが決定する諸小島に局限される」と言う八条に目をつける。

そこで中国は戦時中の1943年11月、米、英、中三カ国で行われたカイロ会談で発せられたとされる「カイロ宣言」に台湾領有の根拠を求めた。

「カイロ宣言」とはアメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズヴェルト、イギリス首相ウィンストン・チャーチル、中華民国主席の蒋介石によってカイロ会談が行われ、その内容を踏まえて11月27日に署名、12月1日に発表された声明文。

主要な内容は以下の通り。

①米英中の対日戦争継続表明

②日本の無条件降伏を目指す

③日本への将来的な軍事行動を協定

④満洲、台湾、澎湖諸島を中華民国に返還

⑤奴隷状態に置かれている朝鮮の独立

⑥第一次世界大戦後に日本が獲得した海外領土の剥奪

ここに示された日本の領土に関する取り決めは、1945年のポツダム宣言に受け継がれる。

そしてそれがそのままサンフランシスコ条約に引き継がれていると言うのが中国の台湾領有の根拠である。(上記③条項)

                    *

11月27日の産経新聞に次のような記事が掲載された。

63年前の同じ日に署名されたとされる「カイロ宣言」についての記事である。

同記事の「この日、日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針を決めた文書に署名した。」と言う部分にメルマガ「台湾の声」が噛み付いた。

                   ◇

産経新聞 2006年11月27日

20世紀のきょう

 カメラ技術が飛躍的に発達した20世紀。植民地の独立や王政打倒の革命、吹き荒れた共産党革命とその終焉、さらに2つの世界大戦や核の脅威など、世界を震撼させた多くの出来事がカメラマンたちによって印画紙に写し取られました。また後世を揺るがすような大作を仕上げた文豪や芸術家たちの姿も…。100年前、数十年前の世界ではこの日、どんなことが起こっていたのでしょうか。スナップ写真で振り返ります。

カイロ宣言(1943・11・27)

 第二次大戦連合国側のルーズベルト大統領、チャーチル首相、蒋介石主席の米英中首脳がカイロで会談。この日、日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針を決めた文書に署名した。

                    ◇

上記産経記事に抗議した「台湾の声」。

◆産経新聞(11月27日)は次のような報道を行いました。

「カイロ宣言(1943・11・27) 第二次大戦連合国側のルーズベルト大統領、チャーチル首相、蒋介石主席の米英中首脳がカイロで会談。この日、日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針を決めた文書に署名した。」
http://www.sankei.co.jp/c20/200611/c20061127000.htm
しかし「カイロ宣言に署名した」というのは事実ではなく、台湾を日本から奪うための中国の政治宣伝です。産経新聞に記事の訂正を行うことを求めます。
                  *
 
【産経新聞への公開質問状】誤った「カイロ宣言」報道の訂正を求める
 
産経新聞御中

本日(11月27日)の朝刊13面「20世紀のきょう」欄で「カイロ宣言」とあり「この日、日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針をきめた文書に署名した。」と説明があります。
1.御社が確認を取られているならば、その署名つき文書の写真を見せていただけませんか?
なぜこのように疑問視するかといえば、署名つきの同文書の映像がどこにも出ていないからです(署名のないタイプ原稿は映像があり、国会図書館もこれを出しています)。
また、台湾の沈建徳氏の研究や、政府への文書公開請求に対し、中華民国政府も、米国政府もこれを提示できないでいます。そのような公文書は存在しないことを示しています。
日本でもインターネット上で、同文書への疑問が多数提起されているのをご存知ありませんか?
2.また、文中、「日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針」とありますが、これは誤りです。無署名の原稿では「右ノ目的ヲ以テ右三同盟國ハ同盟諸國中日本國ト交戰中ナル諸國ト協調シ日本國ノ無條件降伏ヲ齎スニ必要ナル重大且長期ノ行動ヲ續行スヘシ」とされています(英文を末尾に貼り付けます)。正しくは「日本の無条件降伏を目指して行動を取るなどの方針」と書くべきです。
3.「同宣言」が有効であるとすれば、台湾に対する中国の軍事侵攻に米英日が異を唱えにくくなります。また貴紙の記述では、わが国が無条件降伏を要求され、それを(ポツダム宣言を通じて間接的に)受け入れた、ということになり、国家が解体されかねなかったのを存続させてもらっていることになります。貴紙が自虐史観の宣伝をするとしたら残念です。
署名の有無およびその内容について、貴紙は事実を報道するのですか?それとも中国の宣伝にお墨付きを与えるのですか?
4.以上の理由から「この日、日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針をきめた文書に署名した。」とする貴紙の報道について、訂正報道を求めます。
11月27日

台湾の声編集部
"With these objects in view the three Allies, in harmony with those
of the United Nations at war with Japan, will continue to persevere
in the serious and prolonged operations necessary to procure the
unconditional surrender of Japan."
 
                    ◇
                    

【「カイロ宣言」の嘘】産経新聞からの回答と本誌の再質問

公開質問状に対し、産経新聞から以下のような「回答」があった。
このような「回答」は断じて許容できるものではない。
本誌編集部では再度質問を行った。再質問の内容を合わせて掲載する。

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産経新聞社からの「回答」

 11月27日付産経新聞朝刊の特集面に掲載された「20世紀のきょう」欄の「カイロ宣言」に関する記事についてお尋ねがありましたが、回答は以下の通りです。

 当該記事につきましては、国立国会図書館のホームページにある記述を参考に致しました。ちなみに、カイロ宣言についての記述は、「対日方針を協議するため1943年(昭和18年)11月22日からエジプトのカイロで開催された米英中首脳会談を受けて、同月27日、フランクリン・ルーズベルト米大統領、ウインストン・チャーチル英首相、蒋介石中国国民政府主席が署名し、12月1日に発表された。(中略)カイロ宣言の対日方針は、その後連合国の基本方針となり、ポツダム宣言に継承された」とあります。

 記事の目的は「カイロ宣言」の発出日を簡単に紹介することにありました。
加えて、宣言の原文にも日本国の無条件降伏を目指す旨がうたわれており、記事の訂正には応じかねます。

 「カイロ宣言」の署名をめぐっては様々な議論があることは存じておりますし、弊社としても注意深くフォローしていくつもりです。ご理解いただければ幸いです。

平成18年11月29日

産経新聞社総合企画室
広報部長 高山 克介

産経新聞社読者サービス室
email: u-service@sankei.co.jp

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以下は、本誌の再質問。

産経新聞社総合企画室
高山 克介 広報部長

ご指摘のホームページを見たところ、

1.これは「宣言」原本の写真ではありません。

2.この文書は、communiqueと言及され、statementと題されており、宣言(proclamation)ではありません。「声明」と訳すべきであり、「宣言」というのは誤訳だと思われますが、貴紙で「宣言」として報じたのは、何か他に根拠があるのでしょうか?

3.報道発表に関する指示である同文書には署名どころか「署名がなされた」という記述すらありません。「以下の一般的声明が発せられた」としか書いてありません。

“President Roosevelt, Generalissimo Chiang Kai-shek and Prime
Minister Mr. Churchill, together with their respective military and
diplomatic advisers, have completed a conference in North Africa.
The following general statement was issued:”
“「ローズヴェルト」大統領、蒋介石大元帥及「チァーチル」総理大臣ハ各自ノ軍事顧問及外交顧問ト共ニ北「アフリカ」ニ於テ会議ヲ終了シタリ左ノ一般的声明発セラレタリ”

4.ご回答では「日本国の無条件降伏を目指す」ことが写真に示された米政府文書に書かれているとありますが、記事では「日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針」と書き換えていますね。「原文」のどこに「要求する」と書いてありますか?ご回答にあったように「日本の無条件降伏を目指すなどの方針」とすべきだったのではありませんか?ご回答で文言を変えていることは、記事の記述が間違っていることを態度で認めていることにほかなりません。

5.お返事では、「国会図書館の記述を参考にした」とありますが、貴紙は立法府関連のホームページに載っていたからといって、原本の映像がなく(上記第一点)、同文書で引用されているのが宣言ではなく声明である(上記第二点)という不審点を無視し、上記第三点に関して裏も取らずに、当方が上記第四点で示したように、根拠なく歪曲ないし改竄して掲載したということが、お返事を通じてよく分かりました。

6.当方の問題提起に対して何ら有効な反論を行えなかったにも拘わらず「記事の訂正には応じかねます」とのご回答は到底受け入れられるものではありません。

7.貴紙は、ちゃんと裏を取って報道し、読者から疑問の声があったときに真摯に真実を追究し、誤りは誤りと認める責任ある自立したメディアですか?
今回の回答からは、あたかも小役人が他の機関に責任転嫁し、自らの責任から逃れようとしているようにしか感じられません。

8.再度、検証を行い、紙面、および貴社ホームページに掲載された当該記事の訂正を行うよう、強く求めます。

台湾の声編集部


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産経新聞(11月27日)は次のような報道を行いました。

「カイロ宣言(1943・11・27) 第二次大戦連合国側のルーズベルト大統領、チャーチル首相、蒋介石主席の米英中首脳がカイロで会談。この日、日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針を決めた文書に署名した。」

しかし「カイロ宣言に署名した」「日本に対して無条件降伏を要求するなどの方針を決めた」というのは事実ではなく、台湾を日本から奪うための中国の政治宣伝です。
産経新聞に記事の訂正を行うことを求めます。

(次号に続く)


 



 
 
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