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虎の巻というと、中学や高校の頃を想いだす。
筆者にとって虎の巻とは、教科書にある問題の解答などが書いてある参考書で、先生にはあまり見られたくなかった。
沖縄では虎の巻で通っていたが、地域によっては「あんちょこ」、「とらかん」とも呼ばれているらしい。
あんちょこは東京で良く使われているようだが、「安直(あんちょく)に答えが判る」のあんちょくが訛ったという。
又とらかんは、虎巻そのままの音読みから来ている。
この虎の巻と言う言葉は元々中国の兵法書から来ている。
中国の兵法では「孫子」が良く知られている。
が、虎の巻は「孫子」ではなく「六韜(りくとう)」の虎韜(ことう)の巻の日本語読みらしい。
中国の兵法の秘伝書には単なる兵法のみならず、今でいう外交の権謀術策も述べられている。
権謀術策と言えば筆者などは反射的にマキアヴェリズムという言葉を連想する。
マキアヴェリはその著書君主論で、君主は「良くない人間になりうること」を学ぶ必要があり、必要が命ずるときはそれを実行しなければならないと言う。
このマキアベリにも負けない外交の権謀術策が「六韜」には秘伝として述べられている。
その中で特に有名なのが次の部分である。
≪交渉の為に隣国から使者が来て、
もしその者が有能ならば何一つ与えず返せ。
交渉の為に隣国から使者が来て、
もしその者が無能ならば大いに与え、歓待せよ。
そうすれば、隣国では無能な者が重用され、有能な者が失脚する。
そしてやがては滅ぶ≫
これを読むと最近の冷え切った日中関係と二重写しになる。
膠着状態の雰囲気の中で、先月日本の二階経済産業大臣が中国を訪問した。
小泉首相を始め誰も会ってくれない日本の閣僚に中国の温家宝首相は面会の栄誉を賜ったのだ。
温首相が日本の閣僚と会うのは久しぶりのことで、中国側の対応の変化をうかがわせた。
昨年7月、二階大臣の前任の経済産業大臣の中川昭一は、「中日間の中界線」の日本側海域で、日本の帝国石油に採掘権を与える決定をした。
東シナ海の情勢はたちまち一触即発の状態になった。
1月14日、二階大臣は日本の石油企業向けて、中国の顔色をうかがったのか、東シナ海海域における天然ガス採掘の許可はできないと前任者の発言を取り消した。
二階経産相はかつて、中国の江沢民・前国家主席の講話を刻んだ石碑を地元に建てようとした媚中派だ。
二階経産相の就任を中国が好感し、日本に歩み寄る可能性もある、と期待する向きも国内にはあった。
だが、その後行われた実務者協議でも中国は日本の開発中止要求を拒否した。
現在もガス田とガス田をつなぐパイプラインの敷設を完了させるなど、着々と開発を進めている。
二階大臣を無能な閣僚と判断した結果だ。
中国は兵法秘伝書「六韜」の教えを現代の外交交渉に忠実に再現して見せた。
手強いと見る小泉首相、中川前産経相そして麻生外務相には面会を拒否し、御し易しと見た媚中派の二階に面会の栄誉を与えた歓待した。
中国メディアの「Eastday.東方新報]は兵法書に忠実に、次のように関係閣僚を論評した。
≪小泉は「固執」、麻生は「無責任」、二階は「理知的」≫と。
ところで二階大臣って中国の大臣?
それとも、中国に何か弱みでも握られているのか、写真とか。
嘗て中国の「女スパイ」との「親密交際疑惑」で話題になった橋本前首相と中国の胡錦濤国家主席が近く会談する予定だという。
胡錦濤は現役の日本の首相との面会は拒否している。
その一方で「女スパイ」でたらし込んだ媚中派の前首相は組し易しと読んだ。
「兵法書」の指南通り、中国の日本分断工作は着々と進んでいる。
げに恐るべきは、現代に生きる中国兵法秘伝の書。
◇ ◇ ◇
◆「Eastday.東方新報] (2006 -3 - 3 9:50 )
理知的に、実務で中日関係を改善
中日の政治関係は日本の小泉純一郎首相が靖国神社参拝に固執しているため、膠着状態に陥っている。麻生太郎氏は新任の外相として、その職務からして、努力して中日の政治関係の膠着状態を打開する方法と道を探すべきだが、就任以来、次から次へと無責任な発言をしており、中日関係をさらに悪化させている。
このような雰囲気の中で、日本の経済産業大臣の二階俊博氏は、中国を訪問した。昨年10月に小泉首相が五回目の靖国神社参拝をしてから、初めて訪中した自民党内閣の閣僚である。
喜ぶべきことに、今回の二階大臣の訪中は、この春の日、中日関係に暖かさをもたらした。
二階大臣は訪中期間に、中国の商務部長・薄煕来氏や関連部門の指導者と中日の東シナ海の天然ガスと経済協力などの問題について広範な討論を行った。温家宝総理と唐家旋国務院委員達は二階大臣と会見し、両国の関係と共通して関心ある話題についてお互いに意見をかわした。
なぜ二階氏の訪中が中日関係に暖かさをもたらすことができたのか。肝心な点は、同氏が理知的で、実務的な態度で中日関係に対応し、両国関係を改善する方法を探し求めており、火に油を注ぐこともなく、天下の混乱を望むこともないからである。
昨年7月、前任の経済産業大臣の中川昭一氏は、まだ論争がある「中日間の中界線」の日本側海域で、日本の帝国石油に採掘権を与える決定をした。東シナ海の情勢はたちまち一触即発の状態になった。
今年1月9日、中国の外交部のアジア局局長・崔天凱氏は、日本アジア太平洋局長・佐々江賢一郎氏と資源エネルギー庁長官の小平信因氏らと共に、東シナ海の天然ガスの開発について、「中日の東シナ海問題の非公式会談」を行って、双方はいくつかの原則的な共通認識が成立した。小平氏は日中双方共に開発するのがよい解決案だと語った。
1月14日、二階氏は中日両国の東シナ海の天然ガスの開発問題を協議する際、日本の石油企業向けて、深刻な論争がある東シナ海海域における天然ガス採掘の許可は決してできないと明確に表明した。さらに「国内のある人は、日本には道理があり堂々と採掘できると言うが、私はそうすべきではないと思う、そういう話にどんな意味があるのかと指摘した。中国と衝突しても、問題は解決できず、東シナ海の天然ガス開発問題については、中国と粘り強く交渉を行うべきで、双方の相違を解決してこそ、両国関係の発展に利益がある」と述べた。
二階氏の上述した立場は理知的で、歴史の流れに合っており、立場も実務的なものだ。このような立場から出発する限り、中日両国の利益にかなう解決方法を探し出せるかもしれない。
現在、経済のグローバル化はすでに各国の相互依存、相互協力の状況を絶えず深めており、平和、発展と協力は時代のテーマになって、他国を傷つけ孤立させようとすれば、きっと自国も損失を受けるのである。
このため、最近、アメリカの国務次官・ゼーリック氏は中日米三国が歴史問題についての「共通の対話」構想を提起した。アメリカ企業研究所が主催した中日関係のシンポジウムで、アメリカの前国務副長官は明確に、中日米三カ国は対話の体制を作り上げ、三カ国間の関係改善を希望すると発言した。また、日本が中日両国の信頼を促進させるために、もっと多くの措置を取るべきで、アメリカも米日同盟の強化を望むが、この過程は「中国に対してできるだけ透明であるべきで、中国の誤解を免れるようにする」ことを希望すると語った。
グローバル化の歴史の流れの中で、相互対話を通して、矛盾を解決することは理知的な態度であると明らかに強調している。
もちろん、中日両国には2千年の友好往来の歴史があり、50年の戦争の歴史もある。中日関係にはいろいろな曲折もあった。しかし、歴史が証明しているように、仲良くすれば両方に利益があり、仲が悪くなれば両方とも傷つく。中日両国間に、問題や意見の食い違いが起こることは避けがたい。だが、双方が歴史を尊重し、中日共同声明と中日平和友好条約の原則を守りさえすれば、必ず障害を排除し、矛盾を解決し、友好協力の事業を推し進めることができる。
このような背景の下で、もし堅持して対立立場に対抗するならば、現実的な対立を拡大して、その後の結果は考えるだけに恐ろしいのだ。明らかに、中日両国にとって、更に相互対話を通して、矛盾を解決することを強調しているべきで、これでやっと実務に励む態度である。
二階俊博大臣はその理知、実務に励む態度で中日関係に暖かさを与えてきたが、中日関係に徹底的に冷たい現状を回転して暖かさを取り戻させるのは、まだ小泉首相が根本的に中国に対して態度を転換して、まず靖国神社を参拝することを放棄するのだ。
(作者は上海社会科学院アジア太平洋所・副所長、交通大学環太研究センター・主任である )
(実習編集:楊麗俐)
◆読売新聞
[ガス田協議]「宥和姿勢だけでは前進しない」
中国が開発を中止せず、共同開発のめども立たないのなら、日本も、試掘に向けた環境を整えるしかない。協議の継続が開発の既成事実化につながってはならない。
東シナ海の天然ガス田開発を巡る日中実務者協議が、5か月ぶりに北京で行われた。日本は前回協議で、排他的経済水域(EEZ)の境界と主張する「日中中間線」にまたがる海域でのガス田共同開発を提案した。
中国は新たな提案を示したが、その内容は明らかにされていない。日本案とはかなりの開きがあったとされる。
中間線の中国側で進めるガス田開発についても、日本の開発中止要求に激しく反発し、「日本と争いのない中国近海で行っている」と、これまでの主張を繰り返した。
中国がEEZの境界を日中中間線だと認めるなら、開発海域は中国のEEZとなるが、中間線を認めない現状では係争中の海域だ。関係国に「合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力」を求めた国連海洋法条約に反する行為であるのは明らかだ。
日中両国は、対話による解決を図ることで一致した。だが、協議を重ねるだけで前進を図れるかどうか疑問である。
二階経済産業相は「試掘の道は取らない」と言う。二階経産相はかつて、中国の江沢民・前国家主席の講話を刻んだ石碑を地元に建てようとした親中派だ。二階経産相の就任を中国が好感し、日本に歩み寄る可能性もある、と期待する向きも国内にはあった。
だが、今回の協議でも中国は開発中止要求を拒否した。前回協議の後、ガス田とガス田をつなぐパイプラインの敷設を完了させるなど、着々と開発を進めている。宥和(ゆうわ)的な姿勢だけでは、事態の打開は期待できない。
今回の協議も、本来なら昨年10月に開くはずだった。中国は、小泉首相の靖国神社参拝というまったく別の問題を持ち出し、協議をここまでずれ込ませた。
中国の姿勢に開発の既成事実化を図る意図がうかがえる。日本も、当然の主権の行使として、日本側海域で試掘に向けた準備を粛々と進めるべきだ。
自民党は、試掘の際の安全確保を目的とした法案を今国会に提出する考えだ。民主党も先の国会で海洋権益関連法案を提出している。双方が歩み寄って、できるだけ多くの賛成で法案を成立させるのが望ましい。
主権と権益を守る日本の意志を明確に示すことが、国際ルールに反した行動を中国に自制させることにつながる。
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