東京新聞
私説・論説室から 2006年12月3日
『飢えで滅びた国はない』
「それを言っちゃおしまいよ」。北朝鮮の金正日総書記がファンだというフーテンの寅さんならこう言いそうだ。朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」(十一月二十七日)の「軍事優先は祖国繁栄の偉大な旗」と題する論文のことだ。
「無敵の銃こそ祖国繁栄の第一の財宝である。銃が弱くて滅んだ国は多くても、飢饉(ききん)になって滅びた国はない」
十月初めに核実験をやって気分が高ぶっているせいだろうが、国民が飢えても核・ミサイルというのはおだやかでない。しかもここ十年ほど外国からの助けで食糧をまかなっているというのに。
さらに、金総書記が唱える「先軍政治」のためには「三大覚悟((1)飢えて死ぬ覚悟(2)撃たれて死ぬ覚悟(3)凍えて死ぬ覚悟)」を持てと言う。精神をしゃきっとしろというつもりだろうが、棄民政策を自分で認めたようなものだ。「言われなくともすでに飢えで二、三百万人が死んでるよ」「いまでも十分に飢えて、凍えそうだ」という恨めしそうな声が聞こえる。
「核保有国になった歴史的な偉業を永遠に輝かせよう」「核保有国をおこした絶世の名将金正日将軍、万歳!」
核実験後、平壌市内には威勢のいい横断幕や看板が立てられた。しかし、ぴかぴか光る核弾頭を付けたミサイルの発射台を栄養失調で青黒い顔つきの人々が見上げるという図はいただけない。
いつの世も一番偉い人の最も大事な仕事は国民に食わせることだ。最高指導者や独裁体制を「決死擁護」するために国があるというのはおかしいよ。それに『腹が減っては戦ができぬ』って言うじゃねぇか。寅さんもそう言うに違いない。 (小林一博)
「腹が減っては戦は出来ぬ」は日本だけのことか。
飢えて、凍えて死にそうな国の若者に、飽食の国の若者が、
戦って負けた!
日本、北朝鮮に屈し敗退 アジア大会サッカー
日本-北朝鮮 後半、北朝鮮に勝ち越しを許し、ぼうぜんとする平山(11)、谷口(16)ら日本イレブン=カタール競技場(共同)
アジア大会サッカーは男子2次リーグ最終戦を行い、F組の日本は北朝鮮に1-2で敗れ、準々決勝に進めなかった。北朝鮮が勝ち点7で首位となり、日本は同6の2位。他組の2位に勝ち点6で得失点差が日本を上回るチームが2チーム以上あるため、敗退が決定した。
日本は0-1の前半、一柳(東京V)が同点ゴールを決めたが、後半にも直接FKを決められた。(共同)
(2006年12月07日 01時41分)
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