狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

同病相ハゲまし合おう

2006-05-26 07:50:09 | 県知事選

昨日は「ハゲタカ・ファンド」の事に触れたが、元々鷹は日本では大名の鷹狩などでも見られる通り日本人にとってその精悍さ故好感のもてる鳥類として愛されてきた。

ところが、その鷹の頭部がハゲて「ハゲタカ」となると、とたんにイメージが急降下する。

ハゲタカとは死肉、・・いや、腐肉に群がるキタナイ生き物の代名詞となりその道では悪名高いハイエナさえ尻尾を巻いて逃げ出す昨今の悪名ぶりだ。

死肉に群がるのは生きるためでありハゲタカだけの専売ではない筈だ。

この云われ無き差別は偏(ひとえ)に単に頭頂部がハゲているそれだけの理由なのだ。

これを差別と云わずに何と言おう。

丹頂鶴も頭頂部がハゲておまけに露出した地肌が赤い色をしているというのに日本国中であの愛され様だ。

丹頂鶴の立ち寄る国立公園の話を聞いたことがあるが、「ハゲタカの群がる国立公園」の話は寡聞にして聞かない。

ハゲが差別されるのは動物だけではない。

中学生の頃ディズニーの「ファンタジア」という映画を見た。 クラシックの名曲をカラーのアニメと当時の人気指揮者・ストコフスキー指揮するフィラデルフィア管弦楽団の音楽が評判の音楽映画だった。

その中にムソルグスキーの「ハゲ山の一夜」があったのを今でも鮮明に覚えている。

夜な夜な「ハゲ山」に集まる魑魅魍魎、それをディズニーが見事なアニメで表現し、悪や恐怖をムソルグスキーの音楽が増幅させていた。

当時クラシック音楽に興味を持ちはじめていた筆者にはかなり恐ろしげに見えた。

やはり山もハゲるとムソルグスキーやディズニーにも差別されるのか。

ハゲてなく木がうっそうと茂った深山だったら出てくるのもきれいな「妖精」だったり「眠れる森の美女」だったりするのだろう。

鳥も山もただハゲていると言うだけの理由で斯くも差別されるのである。

                  ◇

まだ20代の紅顔の美青年の頃、何時もの酒席で怪しげな「学説」を披露したことがある。
 
「老いて髪のフサフサした者はガンになる。 ハゲた者は脳卒中になる」。
 
若い頃は平気で放言していたこの「学説」も齢60半ばにもなると妙に真実味を帯びるので気軽に放言し辛くなった。
 
事実、図らずも三年前、筆者は「脳卒中」でその「学説」の一部を身を持って証明する羽目に陥った。
 
商売がら毛生薬、発毛剤のたぐいをこれまで数多く売って来た。
 
その宣伝文句だけは立派だが、無責任にもその商品を買って髪が生えた人間を一人も見たことがない。

かく言う私自身、親の遺伝と諦めて、そのたぐいの毛生薬を使った事が無い。
 
プライバシー保護の為特に名を秘すが、友人のT君(バレバレ?)などは日本製では飽き足らず、「中国4千年の歴史が造った」とか「中国人民解放軍が開発した」とかの怪しい文言に惑わされて「中国製毛生薬」を試していた。
 
同君の使用結果は本人の頭部を見て確認するとして、作家の故遠藤周作さんが同じ中国・毛生薬の使用経過を雑誌に掲載しているのを昔読んだことがある。
 
これも結論は晩年の遠藤先生の頭部の様子で一目瞭然だが、雑誌での先生の嘆き節が笑わしてくれた。
 
何しろ大分昔の事ゆえ正確な記述は覚えていないが、大体次のような顛末だったと思う。
 
いわく「例え効果は無くとも、水のように無臭・無刺激であればまだ許せる」。
 
「毎日塗布する際の、悪臭、それに初め痒くて、掻くとそこに薬が染みて痛くなる」。
 
「遂には傷が出来てそこが化膿してしまい、更に薬がそれを悪化させる悪循環」。
 
「頭部から発する異臭に、家族は側に寄り付かなくなった」。
 
「最後はカサブタが取れて残り少ない毛まで抜け落ちる始末」。
 
「水道水でも塗っていたほうが無害なだけ、まだましだった」。
 
友人のT君も大同小異の使い心地であっただろう。
 
ハゲに悪い人はいないとか、ハゲにガンなしなどと慰められても、ハゲてない方がいいに決まっている。
 
親の因果が子に報いではないが、親の遺伝子を正直に受け継いだ人間にとって歳相応に年々進化、いや退化する現象であり、ごく自然な生物学的現象である。

人間往生際が肝心で、去る髪を追わずの心境で悟りの境地に至り、神、いや髪のみぞ知る天命と甘受し、従容と脱毛の行方を見守るしかない。


「滅び行く大草原」と言うディズニー映画が昔あったが、半ば砂漠化した頭髪を見るたび「砂漠は生きている」と強がってみたり、なまじ中途半端な枯草が茂るより、いっそツルッパゲになったほうがよっぽど清々すると思ったりする時もある。
 
床屋にいくたび、「髪の量が少ないのだから、料金を負けてくれ」と哀願する。
 
だが、「切るべき毛を探すのに苦労する」といつも却下される。

人生、諸行無情で、髪もホソ毛,・・・じゃない、神も仏も無いのがこの世の常と悟るべし。

K君などは悟ってしまたのか、ゴルフをするのにも帽子を被らずにプレーしたらしい。

結果は悲惨で、沖縄の強烈な太陽は陽射、・・いや、容赦なく保護毛無き彼の頭皮を直撃し脳ミソが沸騰する危機に瀕したとの事。

それでも雨が降る時は防護毛が無い分だけ人よりいち早く水滴の頭皮への到着を感知できる利点があると豪語していた。
 
ハゲは男性ホルモンが多いためになるので、男にとってこれは勲章のはず。
 
大体昔から精力的な男性はハゲと相場が決まっている。
 
ハゲは大いに誇るべきことであって、なんら後ろめたいことはない筈である。
 
とは云っても同年代でありながら、いまだに頭髪がふさふさしている嘉味田や新里のような男を見ると、なんで髪様、いや神様はこんな不公平なことをされるのかと思うモノは私だけではない筈だ。
 
最近、若い人の間にスキンヘッドが流行するのは「偽装若ハゲ」と云うそれなりの根拠がある。
同時に、精力的に見せたい、たくましくみせたいという願望もあるのだろう。
 
その点ダンディー彦麻呂のスキンヘッドによる変身は大正解だった。
 
これ以上の「偽装ハゲ」は無いからもう見破られる恐れは無い。
 
世の光頭族よ、自信をもってハゲまし合おう。

そういえば羽毛田・宮内庁長官はお元気だろうか。
お顔を見たい方は→http://d.hatena.ne.jp/kouji96/20060113


 


 

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