父が亡くなって二十日近く経ちます。
お参りくださった方々に、道で会ったときにお礼を述べますが、みなさん一様に、「お寂しいでしょう」と言われます。
曖昧に応えますが、正直寂しさは感じていませんでした。
歳を取ってから躯が衰弱し徐々に弱っていき、最後は寝たきりなって亡くなりましたから、その間の準備ができていたともいえますから、寂しさはなかったはずです。
ですが、これはたぶん、自分と同じ境遇になった片は皆さん同じだと思うのですが、やはり寂しさを感じるようになりました。
懐かしく思い返されるのです、元気だった頃のことを。
何気ない仕草など、思い出されます。
そうなってきました。
昨夜は夢にまで見ました。
玄関口に立っていまして、足を引きずるように外へ向かおうとしているのです。
父の隣には、面白いことに、先日亡くなった近所の方が、車椅子に乗っておられました。
その方と一緒に外へ出かけようとしているのです。
それを居間から眺めながら、ちゃんと歩けるのだろうかと、汚い話ですが、下を汚さないだろうかと少しだけ心配していました。
しかしすぐ思い直し、もう汚すこともないんだ、ちゃんと歩いて行けるんだと、安心したのです。
そこで目が覚めました。
もう二度と会えないのだと、今頃になって、思い知らされるのです。