【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

イスタンブールで活躍した人々

2007-08-16 13:00:37 | 歴史

松谷浩尚著『イスタンブールを愛した人々ーエピソードで綴る激動のトルコー』中公新書、1999年。
              イスタンブールを愛した人々―エピソードで綴る激動のトルコ (中公新書)

  「19世紀半ばのクリミア戦争から第二次世界大戦の終結まで・・・オスマントルコ帝国の崩壊・滅亡から新生トルコ共和国の国造りまでの約1世紀のトルコの歴史」(p.iii)を12人の人物を通して概観した本です。

 登場するのは、「ナイチンゲール」「シュリーマン」「ピウエル・ロティ」「山田寅次郎」「乃木希典」「大谷光瑞」「芦田均」「橋本欣五郎」「トロツキー」「アガサ・クリスティー」「ブルノ・タウト」「キケロ」。

 ボスポラス海峡で区切られたヨーロッパとアジアの両岸にまたがるイスタンブール。政治的も、地理的にも微妙な位置にあるこの都市の歴史は紆余曲折、さまざまな人物がここで仕事をし、活躍しました。

 取り上げられた上記の日本人がトルコと深く関係していることは知りませんでした。また、シュリーマン以外の西欧人とこの都市との関係などこれまで知る由もありませんでした。

 日本とトルコとの外交関係についてもそうです。その意味で、眼からウロコがおちる想いで読みとおしました。

 あわせてトルコの近現代史が細部にわたってきめ細かく描かれています。民間人として日本とトルコ両国の架け橋となった山田寅次郎、不朽の大著『君府海峡通航制度史論』を著した芦田均、イスタンブールに国外追放され、そこで『ロシア革命史』『わが生涯』を書いたトロツキー、日本での3年間の滞在の後、トルコに飛び、イスタンブール大学で教鞭をとりながら、多くの建築物を製作し、この地で客死したブルノ・タウト、トルコ建国の父、ケマル・パシャ(アタチュルク)等、興味つきない話題がいっぱいつまっていました。

 著者はイスタンブール領事をつとめた経験をもち、イスタンブール大学でPh.D(博士号)を取得しています。他の追随を許さないトルコ(イスタンブール)通のように思いました。

おしまい。