ラジオ番組の企画の「夏休み」の思い出というテーマに、離婚する1か月前に母子で1カ月間の旅行したことで応募し、準優勝をもらった千鶴。母とはそれっきり会っていない。この放送を聞いた、母の知り合いが番組に連絡し、千鶴と会うことになったが、別れた夫・弥一から度々お金を要求され、断ると暴力を振るわれていた千鶴はそのまま母の住む「さざめきハイツ」に転がり込みます。母がなぜ自分を捨てたのかを知りたい、その思いと共に、自分の不幸は母の責任であると母を責め立てるものの、母は若年性認知症を患い、シェアハウスのように同居している他の二人の女性と母の世話を焼くことになります。母の当時の思いを訊き出せれるのか、母と娘のわだかまりは消えるのか、千鶴は自立できるのか…。
「あなたの人生はあなたのものだ。誰かの悪意を引きずって人生を疎かにしちゃ、だめだよね。」
真の親子関係を結べるには言葉が大切であり、それは思わぬ行動から結果を生みます。
こちらも今年の本屋大賞ノミネート作品です。
『星を掬う』(町田そのこ著、中央公論新社、本体価格1,600円、税込価格1,760円)