石段を踏み外した老女を連れて、彼女の掛り付け医に行く。
またまたレントゲンを取った。右下の肋骨にひびが入っていたため、
寝返りが出来ないくらいお腹が痛かった。薬は飲まないで安静にするようにとのことである。
今夜は眠れ、お腹がすいたらよいのだが。様子は明日聞くことにする。
医院に3時間ばかり座っている間に、来院の人々をゆっくり観察した。
本を読むより、人と雑談するより、客観的に高齢者の光景を眺められて面白い。
それは自分への戒めにもなる。
近所の医院なので、知った人もいる筈であるが、この医院を利用したことがないので、
どなたとも顔見知りにはなっていない。
大きな声で新年の挨拶から始まる。会う人ごとに痛い所悪い所を、微に入り細入り説明する。
ひとしきりお喋りした後、「今日はどうしんさったんかいのー!」で振り出しに戻る。
そうかと思えば、「頑張りましょうのー!」「用心しまひょうのー!」と言い抱き合って、涙、涙、涙。
移動はゆっくり杖をつきながらである。私が座っている前を通られる時には、
私が立ち暖かい奥の方に入って貰う。私の前で転ばないでねと不安になる。