Web Master's Room

バイク乗りのちょっと寄り道、思った事…

もうひとりのキリン

2008-08-03 08:19:50 | 今日の出来事・・・
高速道路を140kmで走っていた。
パニアを両サイドに積んだロングツーでの帰りでの事である。

それ程速い訳でもないが、それでも車の流れより20km程速い訳だ。
だからすぐに前の車に追い着き、そして後方に流れてゆく。
長い間バイク乗りをやっていると
このスピードが一番いい事を体が知っている。
一番判断しやすいスピードで一番疲れにくいスピードなのだ。
無理してアクセルを開くより結果的には早く帰宅できるのだ。
だから必要以上にシフトチェンジやアクセルを開ける事もなく
固まった様に追い越し車線の前方だけを見つめて走っている。

しばらく走ると走行車線の車の後ろに一台のバイクを発見
普通に走る車について走っているのですぐに追いついた。

赤い忍者。

リアシートにコンテナボックスを積んではいるが
かなりいじってある事ぐらいはすぐにわかった。
ロングツーなのだろう。
コンテナボックスはかっこいいとは思わなかったが
“結構やるな”と思った。

追い抜く瞬間同じ臭いを感じたので、左手で軽く挨拶をして抜きにかかる。

するといっきに加速して後ろに張り付く姿がサイドミラーに映った。
きたか…。
ノーマルより明るい青白い光線はやはりいじってある証拠である。

だからといって自分のペースを崩す訳ではない。
淡々とスピードメーターは140kmを刻むというよりそこから動かない。
彼も一定の距離をおいて後に付いて来る。
離れる訳でもなく仕掛けてくる訳でもなく…。
二人の周りはどんどん変わるが二人の間には時間が止まったかのようだった。
走行距離だけが加算されていく。

なぜか楽しい…。
初めて走るのにあうんの呼吸のようだ。
前を走る私に敬意さえ感じさせるのだ。
いったい彼は何処まで行くのだろう。
このままずっと走っていたい…。

もうすぐ休憩予定のPAだったのでどうしようか考えていた時
彼がいっきに加速して左から抜いていった!
“ほらね、ホントは速いでしょ”って言わんばかりに。
でもすぐに減速して後ろに流れていった。
私との距離はみるみる離れてやがて確認できなくなった。

それはきっと彼流の挨拶だったのだろう。

ランデブーは終了し、
私は予定のPAにバイクを止め後ろを振り向いて待っていたが
彼が現れる事はなかった。

もし話す事が出来たらきっといい仲間になれたに違いない。
いつもよりゆっくりコーヒーを飲んでPAを後にする。

走り続けていればまた何処かで逢えるでしょう。
たとえ違う場所で違うバイクに乗っていても
すれ違えばきっと彼だと解る、そんな気がした。