Web Master's Room

バイク乗りのちょっと寄り道、思った事…

久しぶり

2011-07-26 09:48:56 | ツーリング

教会のステンドグラスを和風にしたらこうなるのかな
耕吉の湯の湯船の風景。

擦りガラスの向こうには一本の幹と夏草の淡い緑
いかにも日本の夏ってな感じだろうか。
以前ぼんやりここから外を眺めていると
腰の曲がった老婆が突然窓の外に現れびっくり
「湯加減はいかがですか?」っと尋ねられた事があった。
あまりに突然で本当に妖怪でも現れたかの如くであったのを思い出し笑ってしまう。

でも本当にここは時間がゆっくり流れている。
薄く白く濁った硫黄泉は湯ノ花が底に沈殿している。
自分の足が底に着くとその足型が現れる。
しばらく誰もまだここに入ってない証だ。
ゆっくり時間と湯を独り占め。

壁を挟んで向こうは女湯。
誰もいないと思っていたがお湯をかける音がする。
湯桶を置くとカランといい音が響き渡る。
喋り声は聞こえないので向こうもきっと一人きりだろう。
こちらにもいますよって事で湯を体に掛け流す。
もちろん向こうの様子はうかがい知れない。
聞こえてくるのは湯の流れる音と湯桶の音だけ…。
ここは私が先に上がる事にする。
どうぞゆっくりしていってください。

行く宛てはなかったがご無沙汰している涅槃像には挨拶をと思ったが
ミルクロードからでも拝見する事ができなかった。
久しぶりの再会が恥ずかしいのか怒っているのか。
西の空が黒くなっているので早々に帰路に着く事にした。

それでも蕎麦街道の看板に吸い寄せられるように国道から狭い山道を走っていく。
行く場所はいつも同じだ。“花郷庵”
昼時間にはまだ早かったが2~3組の先客がいた。
窓際の小さなテーブルに陣取りこれまたいつもの舞茸蕎麦を注文する。
先出しの梅干とたくあんを頂きながら外をぼんやり見ていると雨が降り出した。

そんな気がしてバイクは軒先にリアバックは外して手元にある。
軒先から滴が一つまた一つと落ちては乾いた地面を潤していく。
少し気温が下がり風が吹いた。
「エアコン入れたので窓閉めますね」と言われ私の窓が閉められる。
もちろん悪気が合っての事では無いがもう少し風を感じていたかった。

蕎麦を食べきる前に雨は止んだ。
また蝉の声が響きだした。
20011 夏。