おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

マイ・フレンド・フォーエバー

2024-07-21 07:06:05 | 映画
2019/1/1より始めておりますので10日ごとに記録を辿ってみます。
興味のある方はバックナンバーからご覧下さい。

2020/1/21は「ハドソン川の奇跡」で、以下「波止場」「華岡青洲の妻」「花とアリス」「HANA-BI」「母なる証明」「バベットの晩餐会」「バリー・リンドン」「春との旅」「晩春」「反撥」と続きました。

「マイ・フレンド・フォーエバー」 1995年 アメリカ


監督 ピーター・ホートン
出演 ブラッド・レンフロー ジョセフ・マッゼロ
   アナベラ・シオラ ダイアナ・スカーウィッド
   ブルース・デイヴィソン ニッキー・カット
   エイブリー・イーガン レニー・ハンフリー

ストーリー
エリックは母親のゲイルと二人暮らしで、離婚した父にはなかなか電話ができずにいた。
エリックの母は冷たく、食事をしても冷凍食品という毎日が続いていた。
ある日、隣に男の子とその母親の二人が引っ越しをしてくる。
隣の少年は、HIVに感染しているデクスターだった。
最初はエイズを避けるエリックだったが、エイズが空気感染しないことを知り、遊び相手が欲しかったエリックはデクスターと遊ぶようになる。
デクスターのエイズは進行していて、疲れやすく、長時間遊ぶことは出来ない。
エリックはそれを気にせず、川下りに誘ったりして一緒に遊ぶ。
エリックはデクスターをどうにか治療できないかと、大量のキャンディーや、チョコバーを買い、独自の治療法を試していく。
いろんな葉っぱを煎じて、デクスターに飲ませて、葉っぱの効果をノートにつけるのが日課になった。
アザミ草を飲ませた夜にデクスターは毒草中毒になってしまった。
デクスターの母・リンダがエリックから検証したノートを受け取り、何も言わず急いで戻っていった。
幸いなことに、デクスターの命に別状はなかった。
エリックは、『沼地の植物からエイズに効く薬を発見!』というルイジアナの研究者の記事を見つけ、デクスターと一緒に、400キロ先のニューオリンズまで旅に出る事を決める。
途中、船を見つけるが、船がなかなか進まず、デクスターの薬は後3日分しかなくなってしまった。
エリックはお金を盗み、違うルートで進むことを決める。
中断した旅の後、デクスターは感染症を引き起こして入院していた。
毎日のように遊びに行くエリックだったが、デクスターの症状は徐々に悪化していく、


寸評
難病物として特に目新しいものはないが、ユーモアも交えて深刻になり過ぎず、予測される感動も与えてくれる良心的な作品になっている。
興味を引いたのは二人の母親の存在である。
二人ともシングルマザーなのだが、デクスターの父がいない理由は不明である。
描き方は単純だが、エリックが自分の母親よりもデクスターの母親に寄り添っているのが含みを持たせている。
食事の提供シーンで二人の母親の違いを視覚的に示して、デクスターの母親への肩入れを見せる。
デクスターの母親はエイズ感染をした子供を抱える人の代表であり、エリックの母親はエイズに偏見を持つ人の代表である。
エリックは自分の母親よりもデクスターの母親の方に愛情を感じているように見える。
デクスターは亡くなったが、母親はエリックに「たまには訪ねて来てね」と言う。
多分、エリックはこの後、何かにつけてこのオバサンに報告したリ相談したりするのではないかと思う。
エリックの母親に「今度あの子に手を上げたら殺す」と告げたのだから、エリックに対する愛情は実の母親よりも、この時点では深くなっていたのだろう。
今も上手くいっている関係とは思えないが、ますます親子の関係が上手くいかなくなっていくように思う。
それほどエリックとデクスターの母親との間には信頼関係が生じていたように思えた。

エイズに感染しているためにいつも一人で遊んでいるデクスターと、クラス仲間から嫌がらせを受けているエリックが親しくなるのは映画的に当然の成り行きだが、エリックがデクスターのエイズ治療に挑戦するのはユニークだ。
治療としてキャンディーやチョコバーを試すのは子供らしいが、その辺りにある植物の葉を煎じて試してみるのが可笑しいのだけれど、一方で子供なりの真剣さも感じさせる。
デクスターが毒草中毒になっても、デクスターの母親はエリックを責め立てるようなことをしていない。
描き方として単純すぎるとは思うけれど、喚き散らすエリックの母親とは対照的で人格者なのだ。
貯金をキャンディー購入に使い果たしたデクスターに罰として外出禁止を命じていたが、エリックが誘いに来ると許しているから、彼女はデクスターに対するエリックの存在を認めていたのだろう。
ニューオリンズ行で体調を崩したデクスターが入院することになっても、エリックが病院を訪ねてデクスターと会うことを許している。
息子の死を感じているが、その淋しさを人前では見せず一人で泣く。
その姿にエリックは本当のデクスターの母親を見たのだろう。

二人が病院で繰り返すイタズラには笑ってしまうが、それは看護師さんが怒るのもわかるイタズラで褒められたたものではない。
その後で医師が看護師に「患者に対して死ぬという言葉を使うな」と注意しているシーンには、細やかな演出を感じさせ、全体的に丁寧な描き方をしているのには好感が持てる。
デクスターが亡くなってからのそれぞれのシーンはいいと思う。
エリックの靴は伏線がはられていたが、いつも自分が一緒だという気持ちの表れだろうし、エリックの靴は目指したニューオリンズに到着出来なかったけれど、今度は無事に行けよという思いだったのだろう。


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