おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

パッチギ! LOVE&PEACE

2024-10-01 07:36:10 | 映画
2019/1/1より始めておりますので10日ごとに記録を辿ってみます。
興味のある方はバックナンバーからご覧下さい。

2020/4/1は「ポセイドン・アドベンチャー」で、以下「火垂るの墓」「鉄道員(ぽっぽや)」「ほとりの朔子」「炎のランナー」「麻雀放浪記」「毎日が夏休み」「幕が上がる」「マッシュ M★A★S★H」「マッチポイント」と続きました。

「パッチギ!」は2020-1-18で紹介しています。

「パッチギ! LOVE&PEACE」  2007年 日本

  
監督 井筒和幸                   
出演 井坂俊哉 中村ゆり 藤井隆 西島秀俊
   今井悠貴 キムラ緑子 でんでん ソン・チャンウィ
   ラサール石井 風間杜夫

ストーリー
1974年、アンソンは、病気を患った息子チャンスのために京都から東京へ引っ越してきた。
そしてある日、駅のホームで因縁のライバル近藤と大乱闘しているところを気のいい国鉄職員の佐藤に助けられ、以来家族ぐるみで親しくなり妹キョンジャにほのかな思いを抱く。
一方、芸能プロダクションからスカウトを受けた妹のキョンジャは、狭い世界を飛び出したいという思いとチャンスの治療費を稼ぐために芸能界入りを決意。
やがて先輩俳優の野村と出会い、迷いながらも野村に惹かれ始めていく。
一方、チャンスの病状は次第に悪化し、日本では助かる見込みがないことを知らされる。
アンソンはアメリカでの治療にかかる莫大な費用のために、佐藤を巻き込みたった二人で危険な仕事へと突っ走って行くが・・・。


寸評
好評だった1作目の出来を2作目が上回るのは至難の技で、ボクはそんな例は「ゴッド・ファーザー」しか知らない。
この作品もどうも前作ほどのめり込めなかった。
一体その理由は何だったのかと考えてみると、一つは彼らの違法性に有るのではないか。
大型ゴミをあさって持ち去るのはまだ許せても、漁業権を無視して傍若無人に振舞う姿や、漁船を使っての犯罪行為は許されるものではない。
それが必死さの表現とすれば少し違うのではないかと思った事が一つ。
それと中村ゆりのキョンジャをめぐる、西島秀俊の野村と藤井隆の佐藤の関係の描き方の薄さにも不満が残った。
テーマ音楽の重要性も薄れているし、どうも全体が散漫になりすぎているような感じを受けた。
それらの少し残念な印象は前作の感動に対する期待値が大きすぎた事に起因しているのかも知れないが・・・。

テレビだとピーッと消去音が入りそうな差別用語を使いながらも在日朝鮮人の生き様を描いているが、彼らの苦悩はボクにはあまり伝わってこなかった。
どうも日本人にはアジア蔑視のようなものが有って、外国人といっても欧米人に対する見方と中国や朝鮮半島の人々に対する見方が違うという事実が現存しているのではないかと思う。
その在日朝鮮人の問題がこの作品からではなく、1作目でキョンジャを演じて売り出した沢尻エリカさんの事務所が、今回のキョンジャ役を辞退したらしい事の方に感じてしまうのは、あまりにもうがった見方なのだろうか?
抜擢された中村ゆりさんも頑張っていたが、沢尻エリカさんの存在感には及ばなかったと思う。

中学の同級生に台湾出身者がいるのだが、彼等の中国に対する思いと、朝鮮半島の統一を夢見る人たちの思いは随分と違うのだなあと思った。
在日の人達の間でも北系と南系の人達の間には確執があるようだが、しかしこの映画でも表現されているような祖国統一に対する思いは共通認識としてあるようだ。
その歴史的経緯の違いも有って、台湾の人たちの中国への思いと随分違うのだなと感じたことが一番残った事だった。
戦争シーンが度々挿入されるが、それらは日本軍による朝鮮人の虐待というよりは、どんなことがあっても生きなければならないという、生への強い意志の表現に思えて、そのことでチャンスを励ましていたように感じた。
だから全体としては、在日差別への抗議と言うメッセージよりは、家族への愛情メッセージの方が素直に入ってきた映画だった。
ハチャメチャさから言えば、「岸和田少年愚連隊」の方が好きだな。