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丹沢、源流の白いヤマメ。話すことと話さないこと。

2017年07月28日 | 渓流・本流2017
昨日は丹沢の某源流を目指して林道を歩くこと3時間。下山にも2時間以上かかる。いつもの重役出勤だったから、歩いている時間より少しだけ長く釣っていられるかな、そんな源流行き。

一昨日の午後に雨雲が通過して一帯にざっと降らせたらしいから、淡い期待を抱いて歩いたけれど、目的の流れは平水からも少し落ちて渇水気味ぐらいだった。それでももちろん、超渇水よりはずっといい。それにしても最近は降れば滝のような豪雨、降らないと長いこと日照り続きという気象が当たり前になってしまった。山肌から地中深くまでしっかり潤わせ、しばらくの間は山が保水されるためには一日中だったり、夜通しシトシト降り続くような長雨が不可欠なのだけれど、こんなよい雨がめっきり少なくなってから久しい。

久しい、といえばここのところ体調を崩していた妻が、この日は久しぶりに丸一日同行してくれた。ヒグラシが鳴き始めればしばしその合唱に耳を傾け、あいつらは飛び去る際におしっこをひっかけるというけれど、あれは本当におしっこなのか、とか、林道のど真ん中で鎮座ましますヒキガエルに出くわすたびにおいっす、などと山の住人への挨拶を欠かさずの林道歩きは、まあのんびりとしたものだ。

林道横、急峻な山肌をニホンシカが慌てたように駆け上っていく。いくら4本あるからといって、彼らあの細い脚でどうしてあんなに力強く、俊敏なんだろうとひとしきり。だってあいつら草しか食べてないんだぜ。俺たちは肉も魚も食べるのにこの運動神経、能力の差はどうなのよ。というと妻が、まあ少なくとも私のほうが脚は太いわ、だって。だね。

彼らのように山肌を一気に駆け上がってみたい。さっと尾根を抜け、急な斜面を下った先には前人未踏な谷があって、そのひそやかな流れにはきっと大きなイワナがウジャウジャいてさ。イワナたちに朝の挨拶をすませ、のどを潤したのちにはふたたび、いつものように急峻な山肌にすくっと立って、なんとも緩慢な歩みで林道をゆくニンゲンどもを透き通った眼で見下ろすのだ。

そういえば先週末にガイドで来た際に、河原の砂地に前夜か早朝かというほどかなり明瞭なクマの足跡を見つけたことを、歩いている最中に思い出した。しばし考えたけれど、妻にこのことは内緒にしておくことにした。魚の反応は良かったのだけれど、そのエリアには入渓しないこととし、あらためて獣臭には気をつけよう、少し見通しの悪い場所では必ず大声を出そうと念押しした。

妻のことだ、話をしたら山も川もきっと楽しめない。実際、獣臭の話をしたものだから彼女、そののち河原で鼻をクンクンさせながらしきりに言っていた。なんだかケモノ臭がしない?と。やはり世の中、なんでもすべて口にすればいいというものでもないようだ。





イワナは忘れたころにぽつり、といった調子だった。
高水温に渇水と元気のない親イワナをしり目に、イヤリングが走る走る。すでに厳しいが、この夏はこれからどうやらさらに厳しくなりそうだ。なんとか生き延びてくれるだろうか。

何本か沢を変えてみたけれど調子が出ないので、沢筋を一本隣に変えて再入渓してみた。





ようやく丹沢らしいヤマメが顔を出してくれた。小さめに丸く整い、側線に並んだパーマーク。その下に散らばる多くの小丸。
砂に埋もれてしまった流れ込みから、FSに一発で出てきてくれた。やはりどうしてか、渇水などでタフな溪にFSは強い。

それにしても面白い小丸だ。分度器をふたつ並べて、その半円状になぞったかのような。丹沢の原種の血を引くヤマメは小丸が多く、小判のような目につく、大きなパーマークを持たないとされているためか、美しくないなどという釣り人もいるようだがはたしてそうだろうか。よく見るとその並びは十分に美しいし、興味深い。

源流の白い砂地に棲む、白っぽいヤマメ。パーマークもかなり薄い。夏ヤマメと呼ぶにはスレンダーかもしれないけれど、沢のそれらしく美形で、サイズだけじゃないってこと。



この一匹でなんだか嬉しくなっちゃって、あとはすべて妻が先行した。残念ながらイヤリングが触りに来ただけで釣れなかったのは、獣臭を気にしすぎたせいだったからかも。

自分のペースで歩き、釣ることは到底かなわないからイライラすることもある妻との釣りだけれど、これはひとえに俺の修行不足。いつかもっと歳をとって過日を振り返るとすれば、この日のどこか一場面が切り取られることはあるのだろうかと、ふと思った。

ケモノ臭がしたのはアナタが昨日風呂に入らなかったからだわ、下山中の妻が笑いながら言った。俺も何か言い返して笑った。
白いヤマメも確かによかったけれど、切り取られ思い起こすのはヒグラシ大合唱の中で柔らかく笑うそんな横顔なんだろうな、きっと。

下山中にコンクリの上で大きなヤマカガシがとぐろを巻いていたのに気が付かず、踏みつけそうになったところを妻が先に気が付いた、慌ててよけた。

魚のこと考えてボケっと歩いているからよ。うん、あたり。またふたりで笑った。

タックル
ロッド:レヴェルトラウト5.0MT(2017ver) 2000番にナイロン5lb
ミノー:ソリスト50MD2 FS(フラットサイド)、同MD2、ソリスト40DD


Photo&Report by 小平

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