「実学」なるものの意味について考えてみたい。
とはいえ私は、なにも小難しいことを考えようとしているわけではない。
Wikipedia で「実学」を調べると、アリストテレスや福沢諭吉といった名前が出てくるが、私が今「実学」という言葉で思い浮かべているのは、そういう大仰なものではなく、ごく普通の意味の学問、つまり「社会生活に実際に役立つ学問」のことである。
「日本の大学では、理科系と文科系で扱う学問分野が異なるが、理系は人文・社会科学を含まないために概ね全て実学とされている。逆に文系の中でも法学や経済学などは実学とされる。」
Wikipedia はこう解説するが、この釈義に従えば、「哲学」や「倫理学」や「文学」や「美学」、つまり、総じて「人文学」は「実学ではない」とされることになる。
では人文学は、どういう意味を持つのか。「社会生活に役立たない」学問だから、人文学は無意味だ、ナンセンスだ、ということになるのだろうか。それとも、社会生活に役立たなくても、人文学はそれなりの意義を持つのだろうか。
なぜ私はこんなことにこだわるようになったのか。それは先日、次のような記事を目にしたからである。
「筑波大が人文系組織を統合・再編する計画を進めていることについて、阿部俊子文部科学相は6日の閣議後記者会見で『具体的に相談を受けていない。今後大学から相談があった場合、内容に応じて適切に対応する』と述べた。」
(毎日新聞6月6日配信)
どういうことか。
筑波大の改組計画について、毎日新聞はこう伝えている。
「筑波大が、三つある人文系の学類(学科)を2029年度に統合し、その上部組織である学群(学部)も改組する方針であることが、関係者への取材で判明した。中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は、少子化を理由に大学など高等教育機関の再編・統合が必要とする答申を2月にまとめており、国立大における先駆けになる可能性がある。」
(同前)
どうやらこういうことであるらしい。
少子化の影響で、今や多くの私立大学が定員割れを起こしている。
たとえば「京都ノートルダム女子大学」では、国際言語文化学部の定員充足率が51.1%、現代人間学部の定員充足率は56.4%と、定員に充たなかった。そのためこの大学は学生募集停止に追い込まれたという。
「国際言語文化学部’」といい「現代人間学部」といい、人文学系の学部を今風に化粧直しした学部のようだが、それでも今どきの若者には人気がなく、定員割れ起こしてしまうのだ。
筑波大学の経営陣は、おそらくこうした風潮を知って危機感をいだき、「我が筑波大学も、人文系の学群(学部)はいずれ定員割れを起こす可能性がある。いや、それは必至だ」と考え、そうならないように、一刻も早く縮小の方向で改組・再編したほうが良い、と前のめりの判断をしたのだろう。
でも、人文系の学問はなぜ若者たちに人気がないのか。
(つづく)
とはいえ私は、なにも小難しいことを考えようとしているわけではない。
Wikipedia で「実学」を調べると、アリストテレスや福沢諭吉といった名前が出てくるが、私が今「実学」という言葉で思い浮かべているのは、そういう大仰なものではなく、ごく普通の意味の学問、つまり「社会生活に実際に役立つ学問」のことである。
「日本の大学では、理科系と文科系で扱う学問分野が異なるが、理系は人文・社会科学を含まないために概ね全て実学とされている。逆に文系の中でも法学や経済学などは実学とされる。」
Wikipedia はこう解説するが、この釈義に従えば、「哲学」や「倫理学」や「文学」や「美学」、つまり、総じて「人文学」は「実学ではない」とされることになる。
では人文学は、どういう意味を持つのか。「社会生活に役立たない」学問だから、人文学は無意味だ、ナンセンスだ、ということになるのだろうか。それとも、社会生活に役立たなくても、人文学はそれなりの意義を持つのだろうか。
なぜ私はこんなことにこだわるようになったのか。それは先日、次のような記事を目にしたからである。
「筑波大が人文系組織を統合・再編する計画を進めていることについて、阿部俊子文部科学相は6日の閣議後記者会見で『具体的に相談を受けていない。今後大学から相談があった場合、内容に応じて適切に対応する』と述べた。」
(毎日新聞6月6日配信)
どういうことか。
筑波大の改組計画について、毎日新聞はこう伝えている。
「筑波大が、三つある人文系の学類(学科)を2029年度に統合し、その上部組織である学群(学部)も改組する方針であることが、関係者への取材で判明した。中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は、少子化を理由に大学など高等教育機関の再編・統合が必要とする答申を2月にまとめており、国立大における先駆けになる可能性がある。」
(同前)
どうやらこういうことであるらしい。
少子化の影響で、今や多くの私立大学が定員割れを起こしている。
たとえば「京都ノートルダム女子大学」では、国際言語文化学部の定員充足率が51.1%、現代人間学部の定員充足率は56.4%と、定員に充たなかった。そのためこの大学は学生募集停止に追い込まれたという。
「国際言語文化学部’」といい「現代人間学部」といい、人文学系の学部を今風に化粧直しした学部のようだが、それでも今どきの若者には人気がなく、定員割れ起こしてしまうのだ。
筑波大学の経営陣は、おそらくこうした風潮を知って危機感をいだき、「我が筑波大学も、人文系の学群(学部)はいずれ定員割れを起こす可能性がある。いや、それは必至だ」と考え、そうならないように、一刻も早く縮小の方向で改組・再編したほうが良い、と前のめりの判断をしたのだろう。
でも、人文系の学問はなぜ若者たちに人気がないのか。
(つづく)
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