けさの朝日新聞に、次のような見出しの記事が載っていた。
《クアッド共同文書、ロシア非難入らず インド、同調しなかったか ウクライナ侵攻》
この記事を見て、「ええ?どうして?インドがロシアの蛮行を見過ごすなんて・・・」と、怪訝に思った人もいるのではないだろうか。
だが、これは決して不思議なことではない。インドとロシアとの間には友好な関係があり、この関係は一朝一夕に築かれたものではないからである。
ちょうど3ヶ月前、本ブログで私は次のように書いた。
「国際社会にはいくつかの拮抗点が存在する。力のバランスを保ちながら、押し合いへし合いせめぎ合い、今にも破綻するように見えながら、綱引き状態のまま微妙な揺らぎを見せる、そういう拮抗点が存在する。
アメリカを中心とする西側諸国と、インドとの関係が微妙な揺らぎを見せはじめた。中国の覇権に対抗するべく形成された、四カ国(日米豪印)の協力の枠組み。この枠組みは『クワッド』と呼ばれ、インドはその一角を占める存在だった。
ところがこの関係が、微妙に揺らぎはじめた。」
(2021/12/6《拮抗点のインド》)
私が気になったのは、インドを訪問して、アメリカに靡(なび)きはじめたこの国を自分の側に引き戻そうとする、プーチンの腹の中である。このブログ記事の終わりに、私は次のように書いた。このときには私は、この綱引きがウクライナ侵攻のための布石だとは思わなかった。
「ロシアはアメリカに対抗し、大国・インドをめぐる綱引きを開始した。インドは突如、米露のバランス・オブ・パワーの拮抗点になった感がある。
さてさて、今後はどうなりますことやら。」
NHKの伝えるところによれば、国連総会のロシア非難決議に反対したり、棄権したりした国は計40か国にのぼったという。反対したのはロシア、ベラルーシ、北朝鮮など5か国、棄権したのは中国やインドなど合わせて35か国だった。
これらの40カ国それぞれに対して、プーチンは抜け目なく布石を打ってきたに違いない。プーチンが北京五輪の開会式当日、中国を訪れ、習近平国家主席と会談を行ったことは記憶に新しい。
はてさて、今後はどうなりますことやら。
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