ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

グレタさんのダボス会議

2020-01-22 11:19:21 | 日記
環境活動家グレタ・トゥンベリさんがダボス会議で討論のスピーチを行った。その内容は聞き飽きた感があるが、一つだけ、私が「ホントかな?」と疑問を持ったのは、グレタさんがメディア批判を行った件(くだり)である。

グレタさんは、「(メディアは))気候変動をめぐる客観的な情報を取り上げてこなかった」と批判し、さらに、「(私はこうした情報を)繰り返し訴えてきたが、メディアも権力者も一度もその意味を取り上げてこなかった」と批判を展開したのである。

これまでメディアは、「気候変動をめぐる客観的な情報」を、ホントに取り上げてこなかったのだろうか。そんなことはない、と私は思う。グレタさんが言いたいのは、むしろこういうことである。メディアは「気候変動をめぐる客観的な情報」を、たしかに取り上げてはきたのだが、しかし、「その意味」を取りあげてはこなかったのだ、と。

では、「その意味」とは何なのか。それは、「気候変動をめぐる客観的な情報」の、途轍もない重要性である。「気候変動をめぐる客観的な情報」は、新聞なら1面のトップで、連日、大々的に報じられるべきだ。そうグレタさんは思っているに違いない。

グレタさんには環境問題、地球温暖化問題しか見えていないのだろう。だからこの問題がさも重大な問題、最大の問題であるように思えるのだ。だが、何を重要視するかは、人によってさまざまである。環境問題よりも、むしろ経済問題のほうが重要だ、とみなす人もいるだろう(トランプ米大統領がこのタイプだ)。

関心の所在や価値観は、人さまざまである。中には、日本の政治状況こそが最大の問題だ、とみなす人もいるだろう。このタイプの人は、安倍政権のいい加減さが許せず、新聞が「桜を見る会」問題を1面トップで報じないのを、けしからんことだと思うだろう。日本の国際的地位に関心を持つ人は、逆に「安倍さんはなかなか良くやっているよ」と思い、安倍政権の功績を取りあげない新聞の姿勢を、「偏向だ」と断じるだろう。

価値を相対化することで、「何でもあり」と主張するのは、私の本意ではない。若いグレタさんが、成長とともにさまざまな問題にも目を開き、相対的なもっと広い視点から環境問題を見るようになることを、老婆心ながら祈っている。

むろん人はそれぞれの視点でしか世界を見ることはできない。それぞれの視点に応じて、世界は違った姿を見せる。グレタさんには、さまざまな世界の見方があることを知って欲しいのである。
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