大河ドラマ「軍師官兵衛」感想 燃えよ戦国!軍配通信
「「男性大河ファン」の直感的で素直な感想」
●とうとう来たか本能寺の変!半年もの間楽しませてくれた、信長さんとお濃の方、お疲れっす!美男美女のラブストーリーは今、永遠に!で、秀吉物語が、今始まる!官兵衛、迫力の目がいい!
大河ドラマ「軍師官兵衛」レビュー、第二十七回軍配通信「本能寺の変」となります。どうぞ、よろしくお願い致します。
えー、大河ドラマの「本能寺の変」というエピは今までいろいろなカタチで描かれてきましたから、
その他の「本能寺の変」と比較しながら、
「なるほど、「是非に及ばず!」のセリフはやっぱ、必須だよな」
とか、
「なるほど、ここで、「人間50年・・・」の敦盛を入れてきたか・・・今回剣舞になっていて、かっこよかったじゃん」
とか、いろいろな感想を交えながら、愉しむことが出来ますねー。
まあ、だいたい光秀さんは、いろいろな表現があるんですけど、後方に控えていて、部下にすべて任せて、焦燥感を表現する場合が多いんですが、
萩原健一さんが光秀をやった時は珍しく、信長さんに自分の主張を直接ぶつける!という表現でしたねー。あれは「利家とまつ」でしたけど、懐かしいです。はい。
今回の光秀も、斎藤利三にすべてを任せ・・・信長の骸をなんとしても探させるパターンで、要はそこに光秀の自信の無さがあるわけですよ。
しかし、光秀も・・・冷静に考えれば、信長を殺すってことは、日本全国平定による、「和を以て貴しとなす」国家の再来路線を全否定する方法論ですからね。
自分がこれまでやってきた仕事に対する、全否定・・・過去の自分全否定なんですよ、これ・・・。
で、光秀の主張する、
「天皇を中心とし「朝廷」を有力武家が共同して推戴すれば、天下は治まる」
・・・なんて、そのカタチが既に時代に合わないからこそ、戦国時代になったと言うのに・・・だからこそ、信長の方法論が現実的になったと言うのに・・・。、
ま、でも、あれ、自分に対する気休めで、言ってるんだろうな・・・って思いますね。
どう考えても、日本全国的には「日本全国平定」による、全国統一路線で行くか、否かの二者択一の生き方を選択すべき時代だったのだから、
「信長は日本国民の為に全国統一を成し遂げようとしている」
という事は他の武将はわかっていたはずなんですよ。
決して織田家のみの繁栄の為に戦っているわけでなく、むしろ、公共工事に近い・・・その意識は誰にでもあったはずなんです。
そこに出てきた明智光秀は、自分が天下様になり、単に明智家のみの繁栄を願って信長を討った。
これは「和を以て貴しとなす」を最高正義とする日本人には、到底受け入れられません。
「和を以て貴しとなす」を実現させようと戦ってきた織田信長を討ち、明智家だけの繁栄を考えた光秀は、武士が絶対にやっちゃいけない、まさに「平家化」したんです。
だからこそ、周り中敵になることは「火を見るより明らか」・・・光秀に味方しようなんて人間は、モノのわかる人間であれば、出てくるわけがない。
ましてや、人材を見る目の確かな織田信長さんの揃えた精鋭達は、明智光秀の味方になんかなるわけがない・・・。
彼らの人生課題は、「いかにして、この日本に「和を以て貴しとなす」が普段から出来る国に成すか?」・・・これですからね。
これを否定した明智光秀は、皆の人生課題の実現を破壊した、「知識者」の「俺偉い病」の人間に成り下がった・・・皆の怒りを買うのは必定・・・そういう話なんですね。
しかし、今回の「本能寺の変」は、僕は好きでしたね。
まあ、今回のポイントは、やはりお濃の方が最後まで、共にいた事で、最後、殺陣まで、披露していましたから、カッコ良かったですねー。
「さすが蝮の娘!腹が座っておるわ!」
もう、このあたりのセリフにキュンキュンしちゃいますよ。
やっぱり、そういうどこまでも、信長の後をついていくお濃の方ってのは、昨今すごく少なかったので、逆に新鮮でしたね。
今回の信長さんもいつも通り、たったひとりぼっちでいつも生きてる表現でしたから・・・よくトップは孤独!みたいな表現がありますが、
実際は、出来るオトコは孤独じゃありません。
だって、それを支える女性達がいるからこそ、トップはトップとして輝けるんですよ。
トップが孤独とか言う人間はトップに永久になれないからこそ、嫉妬して悪口をいいたくなる、人生エキストラレベルの人間の言葉になります。
だから、トップの境遇など、予想すら出来ない・・・そういう人間達の表現です。
実際、信長さんを支えたお濃の方の表現がありましたけど、このお濃の方ほどの傑物な女性をリード出来るのは、この信長さんくらいしか、世の中にいない。
・・・そういう事実を信長さんもお濃の方も、理解しているからこそ、二人は夫婦として、そこに原点があるし、二人で支えあってきたとも言えるんですね。
それに、蘭丸を始めとした、一騎当千の若者達が、彼ら夫婦の最後を身代わりになって、助けたじゃないですか。
彼らこそ、未来の信長たらんとした気宇壮大な実力抜群のオトコ達だった・・・もちろん、ドラマ表現にはありませんでしたけど、多くの能力のある女性達にも、
信長、お濃の方夫婦は支えられていたと思いますよ。
だから、孤独なんかじゃない・・・いや、むしろ、リアル「信長の野望」を人生で体験出来るんだから、これ以上面白い人生はなかったと思いますけどね。
だから、信長さん、
「わが人生に悔いなし!」
的に言って、死んでいったじゃないですか!
いやあ、最後、頸動脈を切って・・・血の表現まであったのは、新しかったですね。
しかも、それで倒れるまで、描写した・・・これは新しかったし画期的でしたね。
あの血の噴き出る様が・・・改めて、信長さんも人間だったかと思わせて・・・我に返った感じで、新鮮でしたね。
昔、「秀吉」の渡哲也さん演じる信長さんが、頸動脈を切る感じで・・・炎の中に見えなくなっていくというパターンでしたが、その先まで描いた感じでしたかねー。
しかし、お濃の方・・・最後まで殺陣やってましたね。そして、「生き切ってください」と言い残して、信長にとどめを刺してもらうカタチ・・・。
でも、考えると、とどめを刺すって、自分の人生を信長に究極のカタチで差し出すわけだから、ある意味、信長の究極の愛情を最後に貰い受けた、
・・・そういう愛情表現でも、あったわけですねー。
「お濃、俺の妻は、おまえしか考えられなかった・・・」
なんて言っちゃって・・・ある意味、美男美女の最高のラブストーリーにも仕立てあげられていたんですねー。
いやあ、かっこよかったです・・・はい。
素晴らしい「本能寺の変」でした。堪能しましたねー。ほんと、ありがたい事です、ほんとにねー。
僕的には、死を決意した蘭丸達の最後の奮戦ぶりがよかったですね。
「あとはお任せをー!」
と言うのは、
「ご自害くだされ!」
の意味だもんねー。
いやあ、鬼気迫る、迫力で、よかったと思いますねー。
さて、一方で、光秀さんの表現もいいですよね。
彼は敗北することを予感しながら、信長討滅の義挙に身を投じた事は自分でわかっているんですよね。
そういうある意味覚めた表現になっていますよね。
信長を殺したところで、待っている未来は死・・・だから、一喜一憂しないし、常に不安を抱えている表現。
光秀からすれば、「本能寺の変」はひとつの仕事にしか過ぎなかったような表現ですよね。
その仕事を完成させるために信長の骸を必要としたに過ぎない。
まあ、だから、この後、安土城に行って、宝物を分配したりするんですけど、勝利の果実を現実的に味わいたい衝動があったんでしょうね。
それは取りも直さず、信長を殺したところで、何の高揚感も感じられない自分を知ったから、急に不安になったから、でしょうね。
生真面目な光秀が、信長の買い集めた宝物を家来に分けて・・・なんとか、高揚感を感じたかった。
・・・しかし、なんの高揚感も感じない光秀はさらに不安に苛まれるばかりだったでしょうねー。
そういう不安そうな光秀が常に表現されていて、小朝さんすげーなーって思いましたね。
さすが、表現することにおいては、若い頃から卓越していると評価を受けているお方ですよ。
しかし、今回目新しかったのは、荒木村重の息子に嫁いでいた自分の娘にお礼を言われていたシーンですかね。
このシーンをやるために、彼女は出てきていたんですね。
人は立場が違えば・・・いろいろな意見を持つモノなんですね。
そんな事を思いました。あのシーンを見て。
さて、中央で、そんな事が起こっているとは、つゆ知らず・・・黒田軍は、かつての御着の殿を見つけちゃうわけで・・・。
白髪頭になった小寺の殿は・・・最後、それらしく死んでいきましたねー。
齋様も、元服されて・・・官兵衛に後を託して死んでいく・・・なんか、お紺さんの名前を出されると、断れない感じですしねー。
というか、官兵衛にすれば、自分の若い時代を彩ったいろいろな思い出の中の住人として、殿がいて、お紺殿がいて・・・その自分を裏切れない思いなのかもしれませんね。
なんとなく、官兵衛の思いがわかるような・・・僕も若い時代を彩った人間には、甘い思いを持ったりもしますからね。
でも、現実は違う・・・その事も理解しています。ま、いろいろ痛い目に会っていますからね。
だから、人間成長するんですよ・・・人は成長している人間もいれば、劣化している人間も実際いますからね。
すべてのストーリーがハッピーエンドに向かうわけでなく、むしろ・・・。
そんな感慨を持ちましたね。御着の殿ストーリーは。
ま、その話は、本能寺の変の後の少しのアクセントって感じでしたけどね。
さて、そのあたりは、メインストリームの官兵衛の話からは、ま、お膳立てな話になるわけですよ。
長谷川宗仁からの使者が黒田官兵衛陣所に入り・・・黒田官兵衛そのひとと確認してから、「信長討ち死に」の書を渡す・・・まあ、お約束ですよね。
これ・・・官兵衛さんもその報に接して、混乱する表現が良かったですね。
さすがに官兵衛さんと言えど・・・信長横死の報には、そりゃ、混乱するわけですよ。なにしろ、織田信長の将来性を買って、どこまでも忠義を尽くしてきたのが、
この黒田官兵衛さんなんですから・・・。
でも、それでも、自分の中で、冷静に考えをまとめて、秀吉に献策する。
よくある話ですけど、一見、自分にとって、相当ネガティブな話に見える事が・・・実は超ポジティブな話だった・・・なんて事はよくある話なんですよね。
まあ、例えば、適当にでっち上げると、
「来月までに3キロ痩せないとクビ宣告」
「・・・でも、それって3キロ痩せることに全力を尽くせるし、その方法論を打ち立てるいい機会・・・そして実現すれば、信頼も確保出来る」
みたいな話ですね。
「信長公が死んで、織田家は瓦解状態・・・その情報を知れば、毛利は逆襲してくるだろうし、今まで、味方してきた勢力が敵に寝返るかも・・・」
というネガティブな不安から、
「いや、むしろ、信長公の敵、明智光秀を打ち取ることが出来れば、織田家筆頭として、信長公の後継ぎになれるかも」
「・・・その環境が整ったということは、これは秀吉公の天下様への道!」
というポジティブな未来を見据えたのが官兵衛なんですね。
だから、官兵衛も人間なんですよ。一度、その情報に接し、わかりやすく混乱している。
でも、一呼吸置いて、事態を整理し、情報を別の角度から眺め・・・自分たちに利する状況ではないか?と改めて情報を検討しなおしたからこそ、
官兵衛は理性的に秀吉に道を示すことが出来た・・・そういうことでしょうね。
まあ、僕らの人生にだって、似たような事は様々あるわけですよ。今までも、これからも、幾多となく・・・。
その時の為の予行演習として、今回のエピを捉えておく方が僕らの人生としては、プラスになるように思えますね。
しかし、最後、秀吉さんが、赤子のように官兵衛を求めたシーンは、なんか示唆的でしたね。
自分が窮地に陥っている時にこそ、手を差し伸べてくれる人間は尊い・・・逆にそういう状況を利用して、自分のみに利する行為を行う人間を日本人は嫌います。
前者が官兵衛であり、後者が光秀なんですね。
彼らは戦う前から、その勝敗が決まっていたと言うことです。
しかし、最後、安国寺恵瓊を呼びつけ、官兵衛は信長横死の事実を教えちゃいましたね。
さ、どんなストーリーに表現されているのか・・・今晩が楽しみになりますね。
このあたりの表現がドラマの楽しみと言えるでしょう。
いい意味で裏切って貰いたいものですねー。
官兵衛さんの賭け・・・それを楽しみにしましょう!
今週の喜び
まあ、本能寺の変で上手く信長さんを討ち取った光秀なわけですけど、彼は「知識者」の「俺偉い病」だったわけですよ。
日本の歴史のお約束の法則として、
「「知識者」の「俺偉い病」が日本にあるコミュニティのトップに就任した場合、そのコミュニティは失われる」
という大前提があるわけです。
まあ、「俺偉い病」の人間は自家の繁栄の事しか考えませんから・・・言わば「平家」化した明智光秀軍団は、よってたかって潰される運命だったんですよ。
誰も味方はしません。当たり前ですけどね・・・だからこそ、カネを誇示するしかなくなる・・・光秀が安土城の資金や宝物を奪ったのはこの理由が大きいでしょうね。
ただ、彼らは京付近を抑えているに過ぎない・・・軍資金も潤沢ではないし、もう、カタチとしては完全に風前の灯なんですよね。
光秀が頼みにしている公家や天皇家など、軍事対決に何の足しにもなりませんからね。
公家は軍事対決に勝った方に乗るだけですから・・・いつでも。
だから、この光秀のあり方って、平家を討てと公家に頼まれた朝日将軍、木曽義仲のあり方に酷似しているんですね。
平家を討った当時の木曽義仲は評価されるわけですけど、案外使えないと見切られると、今度は源頼朝に軍隊を派遣してくれと、公家から密書が行っている。
そして、木曽義仲は義経以下の鎌倉源氏軍に討滅されちゃうわけです。
織田信長・・・この人、平清盛フリークでしたけどね、面白いことに。この平信長を、公家は、清和源氏の流れの明智光秀に討てと頼むわけですからね。
つまり、明智光秀は、公家に使い捨てにされた、木曽義仲の再来と見ていいわけです。平家も織田信長も殺され・・・公家は美味しい汁は吸っているわけです。
後には使い捨てにされた源氏の武将の骸だけがある・・・公家はある意味、怖いですね。
「敵はすべて遠方・・・少しの時間はある」
と光秀が言ったところで、時間が経ってしまえば、大義名分のある敵側が圧倒的に有利なんですよ。
明智光秀には、大義名分が全くない・・・「天皇家を守ったのだ!」と主張したところで、武家の意識からすれば、天皇家は利用する相手にしか過ぎないでしょうからね、
武家の意識としては・・・それよりも「日本平定」の旗振り役を殺した明智光秀には恨み骨髄・・・そうなるのが自然でしょうね。
しかも、カタチとしては、明智光秀繁栄の為の個人的クーデターに見えるわけですから、日本人が受け入れるはずはありません。
つまり、どこまでも、「公の義の追求」が評価され、個人の繁栄の為に他に迷惑をかけては絶対にいけないところが、この日本なのです。
信長はどこまでも「公の義の追求」をしていた・・・その信長を「個人の繁栄」を追求した明智光秀が殺した・・・この事実に怒り狂うのが日本人です。
「平家」化した武将は、どこまでも、滅びるんです。この日本では。
それは、現代でも、まったく変わっていませんねー。
「公の義の追求」をすべき政治家が、「個人の繁栄」を追求してしまい、政治家の職を解かれる・・・そんな事例は枚挙に暇がありません。
全然変わっていないんですよ、現代と・・・なにしろ、「「和を以て貴しとなす」こそ、日本の最高正義」という日本のお約束は全然変わっていませんからねー。
さて、これから、面白くなってきますねー。
官兵衛と安国寺恵瓊がどう結託するのか?官兵衛の賭けとは何か?
明智光秀の心理はどう変化していくか?それがどこまで描かれるのか?
光秀敗死後の公家達は、どう描かれるのか?
そして、中国大返しは、ワクワクしちゃうでしょうねー。
とにかく、楽しい事、目白押しです。
そんな大河ドラマの醍醐味を夏と共に楽しんで行きましょう!
ではでは。
今週のあれ、どうなん?
いやあ、信長様の最後の奮戦かっこよかったねー。弓が切れて、槍を繰り出すけど、左腕切られちゃう・・・超お約束で、盛り上がりました!