さて、ちゃずさんに振られたので、
「大河ドラマとしての「平清盛」を考える」
というあたり、記事にしていきましょうかねー。
じゃあ、なぜ、今、「平清盛」という素材をチョイスしたのか。
まず、そこから考え始めてみましょうかねー。
もちろん、このネタをチョイスしたのは、震災前なわけですが・・・。
震災を一度、頭から取り払って、今の時代というものを考えると、リーマンショック以降、現在の欧州金融不安につながっているように、
よく言われる、
「時代の閉塞感」
というのは、自然に感じられてきたと思うんですね。
まあ、そこに、日本においては、震災ですからねー。
時代に対する不安感・・・安易に未来を信頼できない、という閉塞感ですよね。
そういえば、年金不安から政権交代が起こったとも言えますから、若者達も大人たちも未来を信用出来ない、そんな不安の中生きているのが、
今の日本と言っても、過言ではないですよね。
少なくとも、昭和30年代の高度経済成長期や、1980年代のバブル期へ向かう上昇気流の感じの流れには、ない。
大河の作り手の世代は、1980年代のバブル期を楽しんだ年代だろうと思うんですよ。
まあ、いろいろ言われますが、バブル期というのは、日々輝いていた。いろいろなモノが輝いていた時代です。
右肩上がりの景気を信じ、未来に夢を語ることが出来た。
今の時代とは、おもっそ正反対の時代です。
だから、と言って「バブルはいい!」という価値観を話しているわけではなく、
「未来に夢を語ることが出来た時代」
は、今に比べればよかった、と言っているんです。
であるから、
「今の時代だからこそ、将来に夢のある武将の物語をチョイスしようじゃないか・・・」
という風になるのは、これは、必須です。
現今の時代、未来に夢を語れない時代だからこそ、未来を自分の手で変えていった、偉人の話を大河に乗せたい・・・皆に楽しんでもらいたい・・・、
そういう制作側の思いが、「平清盛」という、自分の手で未来を変えていった雄々しき男の物語を、チョイスさせることになったのだと思いますね。
であれば、最も大事なことは、
「混沌の時代から、輝ける時代への変革」
ということになります。
「輝ける時代への変革」
これを「平清盛」ファミリーによって、具体的に、見せることが最も大事になってくるわけです。
つまり、平清盛は、時代の旗手として、変革の象徴として、位置づけられていく、そう見るべきだと思うわけです。
と、なれば、まず、最初は、
「今の時代が混沌の時代である」
ということが、まず、明確に描かれると考えられます。
平安時代末期、仏教的見地から言えば、末世です。
仏教の力が衰え、末法の時代を迎え、あらゆるものが、混沌としている時代です。
なんだ、混沌の時代、そのものじゃないですか。素晴らしい。
既存の価値観が、揺らいでいる時代だと言っていいでしょうね。
王朝にあっても、それまでの天皇家、公家の血こそ、最も高貴だった時代が、藤原氏の天下だった時代に陰りが見えてくる。
というより、天皇家そのものが、大きく揺らぐ。
まあ、白河法皇がいろいろやっちゃうわけで、まず、そこが揺らぐんですね。
そして、藤原家も人物が払底していく・・・もう、最後は悪左府頼長が出てきてしまう。
このひともいろいろやらかしちゃうわけで、そこに新興貴族の信西なんかも加わってくるということで、
まず、最初は、既存の価値観の崩壊、ということから、描かれていくと思います。
天皇家、藤原家の内部崩壊。その象徴になっていくのが、崇徳天皇であり、その敵となって、力を伸ばしてくるのが、後白河天皇ということになるわけですけどね。
だから、前半は、王朝の混乱、というのが、ひとつの大きなテーマになってくるでしょうね。
その中で、海賊退治など、いろいろ自ら積極的に動くことのできる平清盛、という存在が描かれるはずだ。
既存の価値観にしがみつき、日本を混乱に陥れている天皇家と藤原家、そして、新興貴族を背景に、
新しい価値観を持って、入っていく、平清盛という武家階級の対比が、描かれるでしょうねー。
もちろん、それらを背景にして、平清盛の成長物語がメインで描かれるわけです。
大きなクライマックスは、保元の乱、平治の乱ということになるわけですが、ここにつながるストーリーがどう描かれるかで、
この物語の評価を分けると思いますね。
天皇家と貴族階級の暗闘、その中に武力として参加する武家階級。
いわゆる、貴族階級の自己破壊なんですよ。このあたりはね。
ここで、貴族階級の価値というものが、大きく下落し、武家もちろん、清盛の時代がやってくる。
このあたりの、価値転換、価値破壊のダイナミックな感じをどれだけ出せるか、にかかって来るような気がしますね。ここで、どう描かれるか。
そして、その後、富と栄光を掴んでいく、輝ける平清盛像というのが、描かれていくんでしょうね。
「未来への希望物語」
これが、「平清盛」のメインテーマになってきます。
まあ、僕は混沌の時代ということを言いましたが、この時代、性的モラルが最も混沌としていた時代だと言えるんですよね。
その象徴が、息子の嫁に手を出しちゃう白河法皇であり、その子、崇徳天皇なんですよ。
ここにARATAさんですから、このひと大注目ですよね。
そして、もうひとり、おもっそのボーイズ・ラバーな人間が、悪左府頼長さんなわけです。
実際のこのひと、まあ、公家ですから自分の日記を残しているわけですけど、「台記」っつーんですけど、
こーれが、まあ、頼長のボーイズ・ラブの詳細が描かれているもんだから、全部は、公開できないとされているんですよ。
まあ、頼長も、日記を書きながら、その時の快感を蘇らせているんでしょうけど、僕は、このひとは、半分オネエタイプだったんじゃないかと思っているんですねー。
しかも、政敵と言われている人間ともバンバン寝ているわけで、僕はこれは、ある意味、安全保障を考えてのことだとは思いますが、
恋愛事情は非常に乱れていた印象がありますね。
つまり、この時代は、正義感で!というより、好き嫌いで!行動を起こしちゃうような、そんな時代だったんですよ。
なにしろ、天皇からして、モラル破りをへーきでやっちゃうような時代ですから、まあ、末世と言われても仕方ない、
混乱した時代です。
大河ドラマって、ボーイズ・ラブをイメージさせて、女性ファンを喜ばせるような趣向を取る時がありますから、
このあたりをどれくらい表現してくれるかってのも、この時代を表現する上では、ポイントになってくるような気がしますね。
女性は、そのあたり、楽しみに出来るんじゃ、ないですかねー(笑)。
まあ、しかし、新撰組副長さんが、オネエな表現はしないでしょうからねー(したらおもしろいけど(笑))。
「ヤダー、キヨモリ、そんなこわいこと、い・わ・な・い・で!」
なんて頼長が言ってたら、これはこれで、おもしろいんだけど(笑)。
今、朝やっているガッチャマンのベルクカッツェみたいなもんでしょうけどねー(笑)
ま、そういう意味では、悪左府頼長の人物造形は、楽しみですねー(笑)。
そして、やっぱり、白河法皇の悪事の犠牲になった、崇徳天皇を、ARATAさんがどんな風に演じるか、こーれは、おもっそ楽しみです。
なにしろ、崇徳上皇は、日本一の大魔縁ですからねー。
あの明治天皇が即位する前日、崇徳上皇の御霊を京都に帰したもうたんじゃなかったかなー。
それくらい恐れられている超のつく大怨霊ですから、そりゃ、NHKのスタッフさんも崇徳上皇の墓参りはしているんじゃないでしょうかねー。
そして、平家がいかに描かれるか、も楽しみですね。
ほら、いつも、源氏の敵的に、悪く描かれるのが、平家でしたからねー。
驕れる者久しからず・・・的に。
でなくて、新興の武家、平家がいかにして力を扶養していくか。
平家が勃興していく、サクセスストーリーとして、描かれていくあたり、楽しみですねー。
その中で、誰が、どのように動いていったのか・・・このあたりを具体的に見せてくれるのが、この「平清盛」でしょう。
そして、ライバルとも言える源氏・・・源義朝なんかは、過去、大河では、けっこうかっこよく描かれてましたけど、ヘタレな要素もありますからねー。
今回、玉木宏さんがどう表現するか・・・このひと、大河はけっこう出ているんですけど、印象が薄いですねー。
坂本龍馬役やったり、しているんですけどねー・・・今作では、盛り上がって欲しいひとりでは、ありますねー。
しっかし、マツケンの清盛・・・破天荒なかっちょいー清盛を期待しましょう。
男、清盛。強い男、清盛。そして、貿易で力をつける賢い清盛。
貿易で力をつけ、武家として天下をとった、織田信長の先駆者、平清盛を見てみたいものです。
そして、太政大臣に上り詰める最初の武家・・・そういう意味じゃ、秀吉の先駆者とも言えるんだな。
そのサクセスストーリーを、男たちの熱い物語を、存分に見せて欲しい。今はそういう気持ちです。
いやあ、楽しくなってきましたねー。
未来は明るい。希望は、大きくある。
震災後の、疲弊した日本に、明るい未来を見せてくれ!
それが、大河ドラマ「平清盛」に望む、第一のことでしょうね。