私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

福田村事件

2023-09-03 19:48:08 | 映画鑑賞

1923年9月1日に発生した関東大震災。その5日後の9月6日。香川讃岐からの薬売りの行商団のうち9人が千葉県東葛飾郡福田村で自警団に殺害される。疑心暗鬼になった村人たちが、行商団を略奪や放火をしていると噂されている朝鮮人と誤解したからだった。

未曽有の地震に、東京では建物は倒壊し火災が発生する中でデマが飛び交い、それはあっという間に関東近県に伝播し、内務省の指示により各地で自警団がされた中での出来事だった。

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地震が起こる前の福田村の様子が非常に丁寧に描かれる。在郷軍人会を中心とする村の保守的な面々とデモクラシーを語る村長との微妙な力関係。家族を守る、村を守る。そんな思いの元に形成されている村人たちの密な関係は、ともすればそれに同調しない人々を異端児扱いする雰囲気に流されがちだ。そして違う思いを持つ人間を探しだす事は、残りのメンバーの結束を高める事にも繋がっているのだ。

「自分たちが被害を受けない為、自分たちを守る為に」という思いから始まった行動は、あっという間に大きな波になる。いつの間にか、自らが被害者にならない為に人を殺める事には意味があるという大義名分が出来上がり、自分たちが加害者になっても収まる事はないのだ。その形のないうねりは、恐ろしいパワーを持つ。疑義を唱える者の小さな声はあっという間にかき消される。

大きなうねりが出来てしまった後では遅いのだ。ただ、その大きなうねりはあっという間に簡単に出来上がり、出来上がってしまったら、それそのものが得体の知れないパワーを持ち独り歩きするのだ。

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私は「自分が被害者になったらどうしよう・・・」という恐怖は感じても、「自分が加害者になってしまったらどうしよう・・・」という心配はした事がなかった。自分がいかに傲慢だったか思い知らされる。恐怖を前にし、デマが飛び交っていたら、正しい判断を下せる人間でありたいとは思うが、そんな自信は一つもない。

当時の唯一のメディアである新聞もデマを広げる事にいとも簡単に加担する。それも恐ろしい。

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【追記】

東出昌大、ピエール瀧、コムアイ、水道橋博士・・・・やや癖強めのキャスティング・・・

 

 

 

 



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