ベルリンで、富裕層の顧客から多額の資金を預かり運用を手掛けるマット。ジムでの早朝トレーニングの間でもビジネスの打ち合わせを欠かさず、流ちょうなセールストークで顧客が資金を引き揚げようとするのを阻止する。妻や子ども達との間はうまくいっているとは思えないが、彼にとってはビジネスが好調であることが一番の重要事項なのだ。
そんな彼の一日は、「車に爆弾を仕掛けた」という1本の電話で、最悪の1日に様変わりする。
フライト・ゲームでは飛行機に乗った保安官、トレイン・ミッションでは電車の中で謎のミッションを持ち掛けられる元警察官。密室の中で謎を解きつつ闘う男を演じてきたリーアム・ニーソンに与えられた新しい密室は所有している新しい高級車の中だ。
裕福なビジネスマンと言っても、特別なスキルなど持ち合わせていない男が、息子と娘を乗せた車を走らせるしかない状況に追い込まれる。手がかりは犯人が掛けてくる電話だけだ。目の前で簡単に爆破され燃え上る車に、シートから離れれば爆発するという犯人からの通話はただの脅しではない事を悟るも、手がかりも逃げ出す術もない。
子ども達に疎まれる存在だった父親が子ども達を守る為に電話を駆使して情報を得ようとし、爆破を避ける為にアクセルを踏み続ける。逡巡する余裕はなく、犯人の指示の元、ベルリンの街を駆け抜ける間に自分が爆破に関係する容疑者になっている事を知っても、車から降りることもかなわない。
これらすべてが91分という時間の中にギュッと盛り込まれているのだ。緊張感が途切れる事はない。