私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

風立ちぬ

2013-08-04 19:24:56 | 映画鑑賞
大正から昭和にかけて、空に憧れ飛行機を作るという夢だけを追いかけた男堀越二郎の物語。

飛行機を作ることだけにしか興味がない彼が偶然列車の中で出会った女性菜穂子。彼女に出会ったことで、彼には飛行機以外に彼女を大事にするというもう一つの選択肢が出来たが、彼の世界はそれだけでいっぱいなのだ。
自分の作った飛行機で海軍がどこかの大国と戦争をするかもしれないと薄っすらと分かってはいても、彼にはそれを止めることはできない。止める術もない。何よりもそのために夢を諦めるという選択肢が彼の中にはないのだ。
そして彼女を大事に思ってはいても、彼女の病気を治す術を彼は知らない。もちろん時代も彼女の病気を治す術を彼に与えてはくれないのだ。
彼に出来ることは自分の夢である飛行機を作ることと、横たわる彼女の手を握ることだけだ。
戦争に加担するかもしれないからと飛行機を作ることを止めることなく、彼女の病気に悪いかもしれないとタバコを吸うのを止めることなく、彼はただただ自分が出来るそしてやりたい飛行機を作るということだけに没頭していく。

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退屈に思う人もいるだろう。私も他人に「お薦め!」と声を大にして言うのはちょっとはばかられる。ただ私は結構面白かった。一つの事に没頭する姿は滑稽かもしれないが、崇高にも思えたし、自分が作った飛行機が一機も戻ってこないことを知っていながらも飛行機を作り続けるその姿は悲しくもある。

そういう想いは伝わってきたような気がするので。

二郎役の吹き替えが話題になっているのはよくわかった。最初から最後まで棒読みだ。ただ、演技が上手い人がやったらかなりわざとらしい雰囲気が残っただろう。愚直にやり続ける姿にはあの棒読みがいいと監督が判断したのだから仕方ない。しかし棒読みなのは確かだ・・・・

監督の自己満足なのでは?という議論もネット上ではあるようだが、他人の目に触れるということに対する責任感というのは伝わってきた。主義主張は非常に感じられるが、自己満足だけのために作ったというには、あまりにも壮大なお話である。

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ジブリ映画らしく、エンディングには「おわり」という文字が出てきたが、映画の内容と「おわり」という平仮名にはかなりの距離があると思われる。子供には何がなんだか分からない話だろう。

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