Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
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彼との対話(2)ー悪役ー

2016-01-28 01:00:00 | 雪3年4部(彼との対話~健太との対決)
「どうしてオレが?」






まるで突き放すかのようなその亮の言葉に、思わず目を丸くする雪。

しかし亮は自身の態度を変えることなく、その理由を淡々と説明し始めた。

「おい、オレがもう店辞めたってのは知ってんだろ?一度辞めたらフツーもうグッバイだろーがよ」

「はい?いえあの‥それは分かってますけど‥私が言いたいのは、少しの間でも‥」

「あーもういいよ。つーかお前んちの店な、給料安すぎんだよ」



降って湧いたようなその亮の言葉に、雪は驚きのあまり言葉を失った。

「な‥」「だから新しいバイトも見つかんねーんだって」



「ぶっちゃけ、あんな雀の涙ほどの給料で誰がもう一度働きたいと思うよ?

お前だってイヤだろ?」




ペラペラと喋る亮は、まるで今までと別人のようだった。

というか、辞めた理由が給料云々だなんてまるで寝耳に水なのである。

「いきなり‥どうしちゃったんですか?

河村氏、時給のことで抗議したことなんてなかったじゃないですか」




「てか最初にそれを了承して、オッケー出したのは河村氏でしょ?!それに最低時給は軽く超えてますよ?!

しかも今までバイト抜けてピアノ弾きに行ってたのも、配慮してたじゃないですか!」




「私は、うちの店のバイトは悪く無いって思うんですけど!」

「いや配慮もクソも‥」



正当な雪の抗議。

しかし亮はそれを聞いても、面倒くさそうに答えるだけだ。

「はー‥現実が分かんねぇガキだなぁ。

社長がどんだけクソだったとしても、とにかく金払いが良い所はサイコーよ」




「なぁ?」



亮はそう言いながら、雪の目の前に自身の顔を寄せた。

思わずビクッと身構える雪を、舌打ちをしながら見下ろす亮‥。



雪は相変わらず戸惑っていた。

しかし亮はそんな雪の様子に構わず、先ほどから続けるその主張を尚も口にする。

「つーか給料が低いから辞めんのはオレの勝手だろ?どーしてお前がケチつけてくんの?イミフだっつーの」



「つーかお前、仕事続けろって頼みに来た人間の態度にゃ‥」

「私がただバイト続けて欲しいって言いに来ただけだと思います?!」



雪は亮の方を真っ直ぐに見ながら、遂にその本音を口にした。

今までと違うその態度を受けて、思わず亮は黙り込む。



雪は声を上げながら、彼が自身や赤山家から背を向けるその理由を知ろうとした。

「本当に分からないんですか?!」



「どうしてわざとそんな冷たい態度取るんです?!」



そう叫ぶ雪を、亮は半身を残したまま振り返ってじっと見ている。

雪はずっと心に抱えていたその疑問を、不器用なくらい真っ直ぐに彼にぶつけた。

「私ともそうですし、うちの家族ともそうです!

社長と従業員じゃなくて、人と人との立場で話をしてるんじゃないですか!」


「あーったく!ひつけぇなぁ!!」



すると今度は亮が、大きな声で雪の言葉を遮った。

亮は元来の自信過剰な態度を全面に出して、赤山家への答えを口にする。

「おい、オレも自分が人気者だってのは自覚してんだ。

お前ら家族が勝手にオレに入れ込んじまうのは分かるが、オレのせいじゃねーよ。

オレはそれ分かって上手くやってんの。今までもこれからもな」




亮はうざったそうに溜息を吐きながら、わざわざ敬語でこう問うた。

「つーかアンタ、何が不満なんすか?」



「今何て‥」「あーもういーわ」



問い返す雪の言葉にも取り合わず、一方的に別れを告げる亮。

「オレ行くわ。新しい仕事あるし、もうそっちには戻んねーから。

二度とグチグチ言いに来るんじゃねぇぞ。面倒くせぇからよ」




「あーあ今日のレッスンはパーに‥」



そう言って去ろうとした時だった。

冷静なまでのその声が、亮の後方から聞こえて来たのは。

「そんな言い方しか出来ないんですか?」



亮は後ろを向いたまま、そのリンと響く声を聞いた。

「何かあったんでしょう?」



強い眼差しで亮を睨む雪。意図的に隠された真実を、探り当てようとする言葉が続く。

「父さんも、母さんも、蓮も!

皆河村氏が居なくなるの寂しく思ってるのに!」








亮の脳裏に、赤山家の面々の顔が浮かんだ。それでも彼は動かない。

「理由も何も言わないで、新しいバイトも探さずに突然辞めるって店を出て!」



「どうしてバイトだけじゃなくて、縁まで切るような態度取るんですか?!」



雪は家族の思いと共に、胸の中に満ちる感情のままに言葉を続けた。

「河村氏は私たちに対して、何の感情も無かったんですか?!」



すると一つの単語が、亮の胸に響いた。亮は無意識に、その言葉を口にする。

「感情?」



雪はそれを肯定しながら、今まで彼と構築したその関係性を改めて言葉にした。

「そうです。喧嘩したわけでも何か問題があったわけでもない。

あんなに上手くいってた関係を、こんな風に断ち切る必要は無いじゃないですか。

父も母も行ってほしくないって本気で思ってるんですよ!」




「どうしてこんなことになっちゃったんですか?」



怒気を含んだその言葉が、だんだんと哀愁を帯びたトーンに変わる。

亮は何も口にしないまま、ただ雪の言葉を聞いている。



「私だって‥」



「蓮と同じく、河村氏のこと家族みたいに思ってたし‥。

河村氏だって‥本当の家族とまではいかないだろうけど、

うちに愛着感じてくれてるんだろうなって思ってましたよ」




雪の言葉の節々から滲み出るのは、寂しさだった。

「そうじゃなかったんですか?」



何も言わずにただ背を向けた彼に対して覚える寂しさ。

まるで伸ばしていた手を振り払われたかのような、圧倒的なそれを。



しかし雪は確信していた。

そう感じているのは、自分だけじゃないということを。

「本当になんとも思ってなかったんですか?」







真実を突きつける雪の言葉を聞いて、亮は思わず振り返った。

演じていた悪役の仮面が、その言葉の前に剥がれていく‥。



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<彼との対話(2)ー悪役ー>でした。

話し合い続きますね~。

亮の給料云々を主張する悪役キャラは、雪の発した「感情」という言葉の前に崩れそうです。

押し込めていたその気持ちが、どうここから発展するのか‥?!


次回は<彼との対話(3)ー虚偽ー>です。

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