タン!
A大学の構内に、萌菜隊長が降り立った!
「ははは!勉強ばかりしている哀れな子羊達め!私が食事を与えてやろうではないかっ!」
そう言った萌菜隊長の元に、哀れな子羊達がわさわさと集まり、皆涙ながらに隊長に感謝するだろう‥!
「ってなハズだったのに‥」
チーン‥
現実では、萌菜は携帯を片手に一人寒空の下であった。
萌菜は何度目かの携帯チェックをしながら愚痴をこぼす。
「太一、あのガキ返信遅いっつーの。雪は‥」
見ると、雪からのメールが届いている。
萌菜が心を弾ませながらそれに目を通すと‥。
ごめん!私今日はグルワの集まりがあってダメなのTT
今度おごるから!ほんっとにごめん!
あえなく撃沈‥。
チッ!
萌菜はくさくさしながらアテもなく構内を歩き始めた。
「おのれ~驚かせようと思ったのに~」
「今日はそういう星回りの日‥」
その時だった。
向こうに、見覚えのある女の子が見えたのは。
伊吹聡美。
萌菜は彼女の姿を見て、思わず声を上げた。
「おお!」
「ハッロ~!」
そう言って近づいて来る萌菜に、聡美はビクッと身体を強張らせた。
しかし萌菜はお構いなしに、フレンドリーな態度で話し掛けてくる。
「やっ!こんなとこで会うとは!おひさ~」
「あ‥どうもです‥いや‥こんにちは‥あたし太一から連絡貰って‥」
「おっ!アイツちゃんと連絡したんだ?」
するとその萌菜の言葉を聞いて、聡美が目を丸くした。
「え?」
その聡美の反応の意味を、瞬時に理解する萌菜。
「‥ああ、」
「今日は皆で集まって遊ぶってことにしたくて、太一にアンタにも連絡してって頼んだんだ。
ダイジョブ?気まずいことない?」
”気まずいことない?”その問いの真意が、聡美の心に深く刺さる。
「あ‥」
聡美はそれ以上言葉を続けることが出来ずに、ただそのまま固まった。
萌菜はそんな聡美の様子に気づかずに、軽い調子で言葉を続ける。
「てか太一ってガキのくせに何気にジラしたりするんだよねぇ~。
生意気なのが魅力っての?」
「あ、そうだ。アンタもファッションに興味があるんだよね。
アパレル関係のお店考えてるんだっけ?」
「ちょうど太一も仕事してることだし、一緒に来てみ?
遊びに来たついでに色々話もー‥」
萌菜がそこまで言葉を続けた時だった。
それまで黙り込んでいたその女の子が、急に話し出したのは。
「‥太一と」
「ん?」
萌菜はにこやかに、その続きを促す。
けれど聡美は引き攣った表情のまま、ただ下を向いていた。
「太一と萌菜さんは、すごく良く似合ってる」
さすがにこれには、萌菜も違和感を覚えた。
萌菜は聡美の肩にもたれかかっていた手を外し、若干キョドりながら首を傾げる。
「へ?」「あ、いやその‥萌菜さんはすごくカッコ良いし‥
背も高いし、大人っぽくて‥太一にもすごく良くしてくれるって思う‥。
あ‥あたしが言うのもおこがましいけど‥」
言葉を続ければ続けるほど、震えて行く声。
「だから‥太一のこと‥」
潤んでいく、瞳。
「よろ‥しく‥」
そこからあふれてこぼれる、彼女の恋心‥。
その涙の粒が落ちるのを、萌菜はスローモーションでも見るかのように目にしていた。
しかし気がついた時には、聡美は彼女に背を向け、そそくさとその場を後にする。
「あ‥あれっ‥ゴメン、風邪引いたかな?!もう行くね!」
「えっ?!」
呼び止める萌菜の声に、振り返りもしない聡美。
「ちょ、待ってよ!あの‥砂糖‥じゃない、聡美ちゃん!」
そのまま走って行ってしまった聡美の背中を、萌菜はあんぐりと口を開けてただ眺めていた。
え なに 今の‥
これはまずいぞ、と本能が告げている‥。
「わ‥私‥やらかしちゃっ‥た‥?」
萌菜は青い顔をしながら、その場で一人声を上げた。
あの涙の理由は、あの言葉の意味は‥。
えええ?どうしよ?!えええ
そしてそんな萌菜のことを、離れた場所から見ている一人の男が居た。
彼は勿論、先ほどの萌菜と聡美のやり取りも目にしているのである。
太一は目も口もポカンと開けながら、ただその場に突っ立っていた。
あの時聡美が流した涙の理由が、彼の心を支配して行く‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<涙の理由>でした。
聡美、泣いちゃいましたね~
そして今まで私、こんな流れだと思ってたんですが‥↓
萌菜、太一から聡美への恋心を相談聡美→太一への恋心を奮起させる為に故意に太一と仲良くしてみせる
という感じかと思ってたんですが、なんと全くの無自覚だったんですね‥。
そして最後の太一の驚いた顔これは一波乱ありそうですね~~
次回は<噛み合わない真実(1)>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は化けてしまうor文章が途中で切れてしまうので、
極力使われないようお願いします!
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A大学の構内に、萌菜隊長が降り立った!
「ははは!勉強ばかりしている哀れな子羊達め!私が食事を与えてやろうではないかっ!」
そう言った萌菜隊長の元に、哀れな子羊達がわさわさと集まり、皆涙ながらに隊長に感謝するだろう‥!
「ってなハズだったのに‥」
チーン‥
現実では、萌菜は携帯を片手に一人寒空の下であった。
萌菜は何度目かの携帯チェックをしながら愚痴をこぼす。
「太一、あのガキ返信遅いっつーの。雪は‥」
見ると、雪からのメールが届いている。
萌菜が心を弾ませながらそれに目を通すと‥。
ごめん!私今日はグルワの集まりがあってダメなのTT
今度おごるから!ほんっとにごめん!
あえなく撃沈‥。
チッ!
萌菜はくさくさしながらアテもなく構内を歩き始めた。
「おのれ~驚かせようと思ったのに~」
「今日はそういう星回りの日‥」
その時だった。
向こうに、見覚えのある女の子が見えたのは。
伊吹聡美。
萌菜は彼女の姿を見て、思わず声を上げた。
「おお!」
「ハッロ~!」
そう言って近づいて来る萌菜に、聡美はビクッと身体を強張らせた。
しかし萌菜はお構いなしに、フレンドリーな態度で話し掛けてくる。
「やっ!こんなとこで会うとは!おひさ~」
「あ‥どうもです‥いや‥こんにちは‥あたし太一から連絡貰って‥」
「おっ!アイツちゃんと連絡したんだ?」
するとその萌菜の言葉を聞いて、聡美が目を丸くした。
「え?」
その聡美の反応の意味を、瞬時に理解する萌菜。
「‥ああ、」
「今日は皆で集まって遊ぶってことにしたくて、太一にアンタにも連絡してって頼んだんだ。
ダイジョブ?気まずいことない?」
”気まずいことない?”その問いの真意が、聡美の心に深く刺さる。
「あ‥」
聡美はそれ以上言葉を続けることが出来ずに、ただそのまま固まった。
萌菜はそんな聡美の様子に気づかずに、軽い調子で言葉を続ける。
「てか太一ってガキのくせに何気にジラしたりするんだよねぇ~。
生意気なのが魅力っての?」
「あ、そうだ。アンタもファッションに興味があるんだよね。
アパレル関係のお店考えてるんだっけ?」
「ちょうど太一も仕事してることだし、一緒に来てみ?
遊びに来たついでに色々話もー‥」
萌菜がそこまで言葉を続けた時だった。
それまで黙り込んでいたその女の子が、急に話し出したのは。
「‥太一と」
「ん?」
萌菜はにこやかに、その続きを促す。
けれど聡美は引き攣った表情のまま、ただ下を向いていた。
「太一と萌菜さんは、すごく良く似合ってる」
さすがにこれには、萌菜も違和感を覚えた。
萌菜は聡美の肩にもたれかかっていた手を外し、若干キョドりながら首を傾げる。
「へ?」「あ、いやその‥萌菜さんはすごくカッコ良いし‥
背も高いし、大人っぽくて‥太一にもすごく良くしてくれるって思う‥。
あ‥あたしが言うのもおこがましいけど‥」
言葉を続ければ続けるほど、震えて行く声。
「だから‥太一のこと‥」
潤んでいく、瞳。
「よろ‥しく‥」
そこからあふれてこぼれる、彼女の恋心‥。
その涙の粒が落ちるのを、萌菜はスローモーションでも見るかのように目にしていた。
しかし気がついた時には、聡美は彼女に背を向け、そそくさとその場を後にする。
「あ‥あれっ‥ゴメン、風邪引いたかな?!もう行くね!」
「えっ?!」
呼び止める萌菜の声に、振り返りもしない聡美。
「ちょ、待ってよ!あの‥砂糖‥じゃない、聡美ちゃん!」
そのまま走って行ってしまった聡美の背中を、萌菜はあんぐりと口を開けてただ眺めていた。
え なに 今の‥
これはまずいぞ、と本能が告げている‥。
「わ‥私‥やらかしちゃっ‥た‥?」
萌菜は青い顔をしながら、その場で一人声を上げた。
あの涙の理由は、あの言葉の意味は‥。
えええ?どうしよ?!えええ
そしてそんな萌菜のことを、離れた場所から見ている一人の男が居た。
彼は勿論、先ほどの萌菜と聡美のやり取りも目にしているのである。
太一は目も口もポカンと開けながら、ただその場に突っ立っていた。
あの時聡美が流した涙の理由が、彼の心を支配して行く‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<涙の理由>でした。
聡美、泣いちゃいましたね~
そして今まで私、こんな流れだと思ってたんですが‥↓
萌菜、太一から聡美への恋心を相談聡美→太一への恋心を奮起させる為に故意に太一と仲良くしてみせる
という感じかと思ってたんですが、なんと全くの無自覚だったんですね‥。
そして最後の太一の驚いた顔これは一波乱ありそうですね~~
次回は<噛み合わない真実(1)>です。
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