Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

揺れる容疑者

2016-01-06 01:00:00 | 雪3年4部(賭け~温かな痕跡)
「‥‥‥‥」



黒木典の胸の中には、黒い靄のようなものが漂っていた。

そしてその原因となっている人物の方へと、彼女はチラリと視線を流す。



糸井直美。

同級生だが年上のその人とは、気も合うし話をするのも楽しく、信頼もしていた。



‥あの現場を見るまでは。



コソコソと人目の付かない場所まで行って、過去問を破って捨てていた。

書き込まれた文字は明らかに、直美自身のものとは違っていたー‥。





「‥‥‥‥」



考えれば考える程、その疑いは色濃くなっていく。

そんな眉間にシワを寄せた典のことを、直美は不思議そうな顔で見つめていた。


「ははは!」



同じ教室の片隅で、柳瀬健太が大きな笑い声を上げながら雪の肩を小突く。

「おお!赤山やるなぁ!学科長に話すたぁよくやった!」



「あんなことがあったんだから、このくらいはしなくちゃな!」



健太はそう言いながら、雪の背中をバンバンと叩いた。

雪は何も言い返すことなく、ノーリアクションで黙り込む。



隣に座る同期達も、コロコロ手の平を変える健太に呆れ気味だ。

そんな雰囲気を察した健太は、乾いた笑いを立てながらそっと雪から離れていった。



ふぅ‥



真実の在処がどこであれ、そのことに神経を削られては本末転倒だ。

雪は今自身が抱えるタスクのことを、冷静に頭の中で確認する。

あと二日‥。一つは終わった。週末は映画‥



既に餌は撒き終えた。

後はその後の展開を、じっとこの場で待つだけだ。




「ていうか、フツー学科長にまで話すかぁ? ムカツクわマジで



直美はウンザリした表情を浮かべながら、噂に聞いた雪のことを口に出した。

「あの子被害者意識ハンパない‥」「あの、直美さん‥」「ん?」

 

すると典は直美の言葉には返答せずに、とうとうあの件について切り出した。

「あたし朝、変なもの見たんです」「何?」



「朝、直美さんが図書館の裏のゴミ箱に、プリント破って捨てるとこ」



「あれ、何ですか?」








ピクッ、と直美の手が動いた。

典が今口にした言葉の意味を、頭が完全に理解するよりも先に。

「‥‥‥‥」



あ‥と言葉にならない声を出しながら、直美は硬直した。

じわりじわりと、現実が彼女を追い詰める。

「確かめましたけどアレ、うちらの過去問ですよね」

「な‥」

「クセのある読みにくい字で。あれは海の字です」



「どういうことですか?」



典は先日の過去問盗難事件の犯人に向かって、睨むような目付きで真実を問い質した。

直美は典から目を逸らしながら、消え入りそうな声でそれを否定する。

「アンタ何言って‥見間違い‥」

「あたし直美さんがプリント破ってるとこ、この目で見てますから」



けれどそれには無理があることを、言い逃れなど出来ないことを、ジワジワと直美も理解して行った。

頬に汗が一筋伝う。



顔が、みるみる青ざめて行った。

言葉にならない声が、続かない言い訳の後を追って漏れる。

「‥‥‥‥」



赤山雪は今回の盗難事件の犯人のことを、学科長に直訴すると言っていた。

それがどういう意味を持つのか、考えずとも明白だ。



気がつけば、身体が震えていた。

直美は自分の方を見つめる典の目を見返すことも出来なかったが、それでも首を横に振る。

「ち‥違うの‥典‥あれは‥」



「は!」



あからさまに動揺している直美を目にして、典は思わず呆れた声を出した。

身を屈めながら、声を潜めて追及する。

「ねぇ直美さん、嘘でしょ?もし本当なら、あたしマジで失望しますよ‥?」



「何か言ってよ!」

「違うの!ホントは‥」



直美が声を上げようとしたその瞬間、後方から視線を感じた。

バッと後ろを振り返る。



そこに居たのは、柳瀬健太だった。

健太は何とも言えない顔をしながら、直美のことをじっと見つめる。



「ゴホン!ゴホン!」



わざとらしく咳払いをしながら、健太はその場から去って行った。

直美はポカンと口を開けながら、ただその場で息を飲む。






隣に座る典の方へと顔を向ける直美。

典は口元を押さえながら、軽蔑するかのような目付きで、直美のことを凝視する。



やがて典は、直美から目を逸らした。

直美さん直美さんと、いつも親しげにまとわり付いてきた彼女は、もうどこにも居ない。







苦い唾液が、じわじわと口の中に広がって行くようだった。

直美は血の気の引いた身体を持て余しながら、ただ無言で俯いた。







そんな直美と典、そしてそんな二人に近寄っては去って行った健太のことを、

雪は離れた席にてじっと窺っていた。

何かがあったのだろうが、それが何なのかはまだ分からない。

「?」



事態はだんだんと進展して行き、そしてそれは、雪の思いも寄らない場所へと転がって行く‥。



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<揺れる容疑者>でした。

直美‥学校でプリントなんて捨てるから‥

でも単純に「直美が犯人!」と言い切れるワケではなさそうですね。

物語はどんどん推理モノに‥

次回は<外れて行く筋書き>です。


ドラマ、遂に放映されましたね~!

私も某所で早速観ました!(字幕は無いので脳内補完ですが‥)キャストも大学も良い感じですね!

太一がイケメンすぎて&遠藤さんがオッサンすぎてドギマギしました

あの履修を決めるPCの前での雰囲気とか、大学生って感じで微笑ましかった‥。

第二話も楽しみです


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