Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

それぞれの意見

2015-10-26 01:00:00 | 雪3年4部(遠藤の~それぞれの意見)
「もらってない人ー?」「あたしもあたしも!」



誰かが手に入れて来た過去問が、大量にコピーされ机の上に置かれた。

学生達はそれを一部ずつ取って行き、それぞれに自分の意見を口にする。

「過去問は雪ちゃんだけが持ってるモンじゃないっつーの」

「あの子には絶対あげちゃダメ」

「いやでもさー、健太先輩が変にでしゃばったから、

雪ちゃんにお願いするにも誰も出来なくなったんじゃん?」




過去問と赤山雪。それをめぐる皆の意見は様々だ。

そんな中、直美の友人・黒木典は客観的な意見を述べる。

「てか雪ちゃんは青田先輩の過去問持ってんだから、

欲しがんないでしょ」




去年の学年首席の過去問以上に上質な物などない。

皆内心そう思っているが、糸井直美はそのプライドから典に対してこう言ってみせた。

「もういいって。過去問なんて持ってなくてもいーし。

遠藤さんの話では教授、問題新しくするって言うしさ」




問題が一新されれば、過去問はただの紙切れ同然。

従って雪が持つ”青田先輩の過去問”も、何の意味も持たなくなる。

そんな直美の意見に、同期の女子はこう返す。

「うちの学科の卒験、もう3年連続過去問通りなのに、

遠藤さんの話を信じるの?」




そして雪と同期の吉田海という女の子は、ポツリとこう口にした。

「それでもあたしは青田先輩の過去問が‥」

「ストップ!」



直美は強引に彼女の話を切り、ウンザリしたような顔で口を開く。

「それじゃ雪ちゃんがますます調子に乗‥」

「ちょっと通りますね」







直美の後ろから、雪が突然姿を現した。

雪の悪口を言いかけていた直美は、口を貝のように閉じて固まる。

しんとする教室内。

雪は彼女達を横目で窺いながら、空いている席へと向かう。



雪は歩きながら、チラッと一人の女の子の方へと視線を流した。

先ほど「それでもあたしは青田先輩の過去問が‥」と口にした吉田海だ。

 

海は雪と目が合うと、思わずビクッと身体を震わせた。

しかし雪は何も言わず、ふいっと背を向けて行ってしまう。



席に就いた雪の元に、親しくしている子達が集い始めた。

「雪、おはよ」「今日は一人?」



外ハネヘアーの同期が、口に手を当てながらコソッと雪にこう話す。

「あたしこの空気マジで胃に来る ムカツクー

 

雪は二人の同期に挟まれながら、離れた席に座る直美の方を窺った。

直美は過去問をしっかりと抱え込みながら、隣に座る典にこう聞いている。

「あの子これ欲しがってそう?」「さぁ」



どこか不穏な空気が、教室全体に漂っていた。

不満そうな顔をした女子達や、寝ている男子、音楽を聞いて素知らぬフリをする子。

交錯する関心と無関心‥。

 





暫くしてからもう一度、海は雪のことを窺った。

すると再び、バチッと二人の目が合う。



二度目のビックリ。

海は目を丸くしながら、再び身体を震わせる‥。








授業が始まり、教授が壇上で講義を始めた。

雪は教授の話に耳を傾け、板書された内容をノートに取る。



ブルル‥



すると鞄に入れた携帯が震え、バイブ音が教室に響いた。

画面には”先輩”の文字が踊る。

「ここの箇所絶対テストに出るぞー。チェックしろー」



雪は携帯の電源をオフにしながら、教授の指摘した箇所を強くマークした。

そして最後まで、雪は真面目に授業を受けたのであった。




 

終了のチャイムが鳴り、雪は一人で外へと出た。

道を歩いていると、後ろから彼女を呼び止める声が掛かる。

「雪ちゃん」



雪が振り返ると、あの子が立っていた。

同期の海ちゃんである。



雪は微笑んで彼女に声を掛けた。

「あ、海ちゃん。どうしたの?」



すると海は鞄からプリントを取り出すと、雪に向かってこう言った。

「さっき配られた過去問、雪ちゃんも見る?」






変なプライドで噛み付いたりとか、相手を悪者にしたりとか、下手な小細工など何もなしに、海は過去問を差し出した。

そんな海を前にして雪は、ニッコリと微笑んでこう返す。

「ううん、大丈夫」



雪のその返事を聞いて、海は若干窺うようにこう言った。

「だよね、雪ちゃんのは青田先輩から貰ったヤツだから、他のなんて‥」



そう言う海に対し、雪はかぶりを振って笑顔を浮かべる。

「ううん、貰えなくて残念だよ。

先輩の過去問、今日大学に持って来てたら見せ合いっこ出来たのに」




そして雪は笑顔を浮かべながら、海にこう提案した。

「今度持って来た時、交換しよっか」



「えっ?」



予想外の返答に、思わず目を剥いた海。

そんな海の目の前で、雪は穏やかに微笑んでいる。







拍子抜け、というか、呆気に取られた、というか、とにかくポカンとした表情をしながら、

海は雪のことを見つめていた。そんな同期を前にして、雪は思う。

皆が同じ状況なわけじゃない。

だから当然、皆が同じ意見であるはずがない。




そんな非常に単純な事実を、私たちは実によく忘れてしまうー‥。







一方こちらは、教室内でテキストに目を落とす佐藤広隆。

ポケットの中の携帯が震えると、佐藤はすぐにそれを取り出した。

河村静香?!



メールが一通届いている。

佐藤は緊張しながらそれを開いた。

先輩、財務学会の発表の資料、もう全部準備しました?

もしまだなら、一緒にお昼食べながらやりませんか?




しかしそれは、赤山雪からの勉強お誘いメールだった。

思わず気が抜ける佐藤‥。



とりまOKっと‥



欲しい返事はなかなか貰えない。

佐藤は心をソワソワさせながら、あの自由奔放な彼女のことを考え続ける‥。


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<それぞれの意見>でした。

海ちゃん、青田先輩の過去問GET!ですかな。

登場人物それぞれが自分の考える”賢明な対処”を全うする、という流れになって来てますね。物語全体が。

さて次回は<鍵の行方>です。

聡美の考える賢明な対処は、果たして実を結ぶのか否か‥。


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