河村静香は、怪訝そうに眉を顰める。
「横山翔‥?何よソレ‥」

先程柳瀬健太が口にした”横山翔”が、一体誰なのかピンと来ないのだ。
「誰‥」

しかしそこまで口にした所で、ようやく思い出した。
静香はそれ以上変なことを口走らないよう、コホンコホンと咳払いをする。
「横山翔、知らねーの?」

健太はそんな彼女の小さな変化を見逃さず、すかさずそう突っ込んだ。
「おたく、大学でアイツのこと殴ったって‥。
マジで横山知らねーの?」

静香はそんな健太のことを、観察するようにじっと凝視していた。
相手が抱く意図や欲を、彼女の嗅覚で鋭く嗅ぎ取る‥。

静香はとりあえず自分の立ち位置は明かさず、健太に話の先を促すことにした。
「それで何なの?どーしろっての?ソイツが何だってのよ?」
「いや~ちょっと変だなと思ってさぁ‥」

「おたく、どう見ても横山と付き合うようなガラじゃないでしょ?
俺のこと無視すんのとかもフツーじゃねぇし」

なかなかに鋭い。
静香は更に先を促した。
「それで?」

すると健太は静香を見据えながら、試すような光を瞳に宿らせる。
「つーか、面白い話を耳にしたもんでね」

「こんなことがあったって聞いたんだけど‥」

健太はそう前置きすると、”青田淳と河村静香が腕を組んでいる写真”を持って皆に弁解したという、
横山翔の話を口にした。
静香は更に先を促す。
「それが何なの?」
「いやだからさぁ、」

健太は静香の顔を覗き込みながら、その答えを探すようにじっと彼女の瞳を凝視し、話を続けた。
「横山はおたくは青田の彼女だって言って、おたくは横山の彼女だって言う。
どう考えてもすげーおかしいでしょ?」

そして健太は一度も目を逸らさずに、こう彼女に質問したのだった。
「一体何が真実なの?」

静香は健太とは視線を合わせなかった。
更に言葉を続ける健太に、素知らぬ顔で返答する。
「本当は両方共‥」「さぁね~。気になるなら淳に聞いてみなよ」

「へっ?」

彼女はさらりと口にした。
青田淳の名前を。
目を丸くする健太の前で、静香はニコッと微笑んだ。


そしてくるっと後ろを向くと、それきり振り向きもせず行ってしまった。
楽しそうに鼻歌をハミングしながら。

健太は呆気に取られながら、彼女の後ろ姿を見て一人呟く。
「ありゃあどういう意味だ?」

柳瀬健太と河村静香。
野生の嗅覚を持つ二人の存在が、ストーリーを掻き乱していく‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<意外な組み合わせ(2)>でした。
短い記事で失礼しました。
二人ともなんらかの嗅覚が働く人種ですよね~。
ただこういった駆け引きには静香の方が断然強いでしょう。
横山に続き、健太にも平手打ちを食らわせてやってくれ‥静香さん‥!
次回は<それぞれの状況>です。
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「横山翔‥?何よソレ‥」

先程柳瀬健太が口にした”横山翔”が、一体誰なのかピンと来ないのだ。
「誰‥」

しかしそこまで口にした所で、ようやく思い出した。
静香はそれ以上変なことを口走らないよう、コホンコホンと咳払いをする。
「横山翔、知らねーの?」

健太はそんな彼女の小さな変化を見逃さず、すかさずそう突っ込んだ。
「おたく、大学でアイツのこと殴ったって‥。
マジで横山知らねーの?」

静香はそんな健太のことを、観察するようにじっと凝視していた。
相手が抱く意図や欲を、彼女の嗅覚で鋭く嗅ぎ取る‥。

静香はとりあえず自分の立ち位置は明かさず、健太に話の先を促すことにした。
「それで何なの?どーしろっての?ソイツが何だってのよ?」
「いや~ちょっと変だなと思ってさぁ‥」

「おたく、どう見ても横山と付き合うようなガラじゃないでしょ?
俺のこと無視すんのとかもフツーじゃねぇし」

なかなかに鋭い。
静香は更に先を促した。
「それで?」

すると健太は静香を見据えながら、試すような光を瞳に宿らせる。
「つーか、面白い話を耳にしたもんでね」

「こんなことがあったって聞いたんだけど‥」

健太はそう前置きすると、”青田淳と河村静香が腕を組んでいる写真”を持って皆に弁解したという、
横山翔の話を口にした。
静香は更に先を促す。
「それが何なの?」
「いやだからさぁ、」

健太は静香の顔を覗き込みながら、その答えを探すようにじっと彼女の瞳を凝視し、話を続けた。
「横山はおたくは青田の彼女だって言って、おたくは横山の彼女だって言う。
どう考えてもすげーおかしいでしょ?」

そして健太は一度も目を逸らさずに、こう彼女に質問したのだった。
「一体何が真実なの?」

静香は健太とは視線を合わせなかった。
更に言葉を続ける健太に、素知らぬ顔で返答する。
「本当は両方共‥」「さぁね~。気になるなら淳に聞いてみなよ」

「へっ?」

彼女はさらりと口にした。
青田淳の名前を。
目を丸くする健太の前で、静香はニコッと微笑んだ。


そしてくるっと後ろを向くと、それきり振り向きもせず行ってしまった。
楽しそうに鼻歌をハミングしながら。

健太は呆気に取られながら、彼女の後ろ姿を見て一人呟く。
「ありゃあどういう意味だ?」

柳瀬健太と河村静香。
野生の嗅覚を持つ二人の存在が、ストーリーを掻き乱していく‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<意外な組み合わせ(2)>でした。
短い記事で失礼しました。
二人ともなんらかの嗅覚が働く人種ですよね~。
ただこういった駆け引きには静香の方が断然強いでしょう。
横山に続き、健太にも平手打ちを食らわせてやってくれ‥静香さん‥!
次回は<それぞれの状況>です。
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