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Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

横顔

2015-09-18 01:00:00 | 雪3年3部(牙を潜める虎~了)
雪は目を丸くして二人の横顔をじっと見ていた。

西条和夫はモゴモゴと口を動かしながら、下を向いて視線を泳がせている。







一方青田淳はというと、冷ややかな目で西条のことを凝視していた。

その無言の威圧感の前に、西条は言葉にならない声を震わせる。



暫し漂う沈黙。

その息苦しさに、最初に痺れを切らしたのは雪だった。意を決して、二人の間に入ろうとする。

「あのー‥」



しかし雪が話し始める前に、西条が大きな笑い声を上げた。

彼は再び明るい口調で、淳に向かって話し掛ける。

「いや~さっきから何の話をしてんのか全然分かんないけどさぁ~

もっと話したいことがあるかって聞かれたら~」




「無いな~青田。無いよ、それは無い!」



そう言って首を横に振る西条。

淳は笑顔を浮かべながら、皮肉を込めた返事を返した。

「そうだな。もう高校生じゃないもんな」



ゲームセット。

二人は暗黙の了解の中で、互いに友好的なムードで別れを告げる。

「会えて嬉しかったよ」

「おお!俺も~!ハハハ!」



西条に背を向けた淳は、すぐに雪の手を引いた。

その急展開に、思わず雪は目が真ん丸だ。

「行こ」「あ‥」



引き摺られるようにして、どんどんこの場から遠ざかる。

雪は振り返り、自分と同じく動揺しているユリに向かって、最後に声を掛けた。

「あ‥後で話そ!」



そして、雪と淳は去って行った。

二人が居なくなった後、ユリの鋭い視線が俯く西条に注がれる‥。





「バイバーイ」「じゃあね!」「じゃねー」「あれ?ユリは?」



店の外で皆合流し、互いに手を振り合って別れを告げた。

萌菜は姿が見えないユリをキョロキョロと探していたが、彼女はまだ店内に居た。

「なんなのぉ~~?!

どうしてああなっちゃうのよ!あたしの隣で堂々としてればいいじゃない!」


「おいおい!そういう問題じゃないんだって!」



終始雪の彼氏の前で体裁を繕っていた西条に対して、ユリは怒ってポカポカと彼を叩いた。

しかし西条はそんなことより、久しぶりに見た黒淳が恐ろしくて仕方がない。

「ユリはアイツがどんなヤツか知らねーから‥

クソッ!つい口が滑っちまった‥どーするよ?!」




慌てる西条。まず思案すべきは、家の事業の問題だ。

「うう‥家の仕事がやべーことになっちまったら‥」

「えー?どうしてそんなことまで心配するのー?」



拳を突き出したままそう問うユリに対し、西条は目を丸くした。

青田淳がどういう地位の人間か知らねーのか?と‥。



西条はユリの耳に口を近づけると、ヒソヒソと小さな声でその真実を告げた。

ほら‥Z企業の‥ヒソヒソ



話し終わった西条がユリから離れると、彼女は驚いて思わず口を手で覆った。

真ん丸な目で、思わずこう言う。

「マ‥マジ?」



株式会社Z企業、その超大企業の子息の顔が、ユリの頭に浮かんでいる‥。






信号が丁度青に変わり、車はスピードに乗って疾走した。

しかし雪の頭と心の中は、疾走どころか停滞グルグルである。



先程の自分の行動、ユリの彼氏に対する自分の態度‥。

思い返せば思い返す程、マズイことをしたんじゃないかと言う思いが消えない。

雪は恐る恐る、彼に向かって話を切り出した。

「‥あの人、もしかして先輩のご両親と関係あります?後で問題になったら‥」

「問題?いや別に?」



雪の懸念をケロリと否定する淳。しかし雪の胸のモヤモヤは消えない。

「いや‥でも先輩が‥あ‥んな風な態度を‥」「? 同級生にアドバイスしただけだけど?」



彼はまたしても彼女の心配をバッサリと切り捨てる。

雪は軽い頭痛を覚えながら、もう話しても無駄だとほのかに悟る‥。






それでも当の本人が被害を被る可能性が無いのであれば、

自分のこの懸念も余計な心配なのかもしれない。

雪は腹をくくると、開き直ってこう言った。

「ま、忘れます!悪い予感は見ないフリに限る!もしゴタゴタが起きても、その時はその時だ!

「うんうん^^」



淳は雪に同調しながら、ニッコリと笑顔を浮かべた。

その表情に嘘は無さそうだ。



雪は運転する淳の横顔を、暫しじっと見つめていた。

先程西条を凝視していた時の瞳の陰りが、まだ彼の目に残っている。



見慣れたような、それでも慣れない、彼の横顔。

流れて行く景色を背景に、雪は彼のその横顔を、ただじっと見つめ続ける‥。





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<横顔>でした。

Z企業の子息だと知ったユリが、波乱の引き金を引くことになるのか‥?

また少し物語が動き始めましたね。


次回は<影と光>です。


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