Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

どっちつかず

2015-09-28 01:00:00 | 雪3年3部(牙を潜める虎~了)


聡美と太一と別れた雪は、一人自販機の前で財布を出していた。

ジュースを買うために小銭を取り、自販機に入れる。

 

何にしよう。

種類が沢山あって迷う。

「うーん」



暫く悩む雪。

そしてようやく決まった。

「ビタミン入り‥」



さてボタンを押そう、そう思った時だった。

ピッ



緑のマニキュアが塗られた長い爪が、雪が押そうとしたボタンを先に押す。

ジュースはガラゴロと滑り落ちた。



「‥‥‥」



もう見なくても分かる。

こんなことをする人は、知ってる人の中で一人しかいない。



河村静香。

その厄介な美しき獣、である。



「私のお金‥」と呟いてみたところで、当然返って来ないだろう。

静香はジュースをグビグビと飲み干し、威勢よく息を吐いた。

「っかー!」



頭を押さえながら、深い溜息を吐く雪。

この人とバッタリ出くわすのにも、だんだん慣れて来たような気がする。

「‥んとに最近どうしてうちの大学にこうちょくちょく顔を出すんです?

どんな用があるんですか?」




皮肉たっぷりの雪の言葉に、静香は舌を出して返答する。

「どーしてよ?大学はアンタみたいな賢い子のモンで、

あたしみたいなのは来ちゃダメ~ってことぉ?」
「何言ってんですか」



自販機の前で会話を重ねる二人。

「最近はモグリ学生よ」「モグリ?何の授業ですか?」



雪の質問に静香が返答する前に、雪は続けて聞いた。

純粋な疑問符を瞳の中に光らせて。

「美術のですか?」



何も恐れずに真っ直ぐ、踏み込んで来た。

静香は雪を見下ろしながら、口角を微かに上げる。



静香はニッコリと笑顔を浮かべ、雪に近付いた。

「このこの~どこでそんな情報仕入れてくんのよぉ。可愛い真似するじゃない」

「ていうか、どうして電算税務の本なんて持ってるんですか?目標が衆口難防じゃないですか」

「何?ナンボー?」



雪が口にした四字熟語の意味を、静香は分からず首を捻った。

雪はしたり顔をしながら、彼女にその意味を教える。

「つまり、どっちつかずってことです」

「あ~なるほどね~。でもあたしこのテストをパスしたら、淳ちゃんの会社で働くからさぁ」



嫌味や皮肉対決、両者一歩も譲らず。

(若干雪が苛立っているが‥)



二人は顔を見合わせ、ニヤッと笑った。

クククク‥と小さな笑いが口から漏れる。



そして二人は会話を続けた。静香が甘えた口調で雪に話し掛け、雪がそっけなく返答する。

「とにかくこうなったからにはさぁ、仲良くしとこ?マジで。ね?」

「え、嫌です」「うそーん」



「てかどうして仲良くしなきゃいけないんですか?」

「悪い話じゃないじゃん?」

「私‥本当にあなたが何を考えているのか一向に分からないんですけど‥」



状況は若干静香に有利なようだ。雪が「からかわないで下さい」と幾分踊らされている‥。

「あれ?」



するとそこに、柳瀬健太と、経営学科のメガネの学生が通りがかった。

メガネ君は静香を指差し、大きな声を上げる。

「あの女!」「ん?誰?女?!」



メガネ君につられて健太も大きな声を出し、その指の先を視線で追う。

するとそこに、見覚えのある後ろ姿があった。

「うおっ!」



佐藤広隆とよく一緒に居る、あの女だった。

彼女から、幾度と無く無礼な言葉を掛けられた‥。



健太は白目を剥きながら動揺する。

「あの女がまた‥ここに‥?!」

「横山翔の彼女‥だよな?あ、”元”か‥



”横山翔の元カノ”‥?

メガネ君が口にした言葉に、健太はキョトンと目を丸くする。



「は?」

「すごく目につくから、見た途端分かりましたよ。

横山翔の彼女です。泣きながら出て行った‥」




メガネ君は、あの時のことを思い出していた。

今そこに居る彼女が横山翔と糸井直美の元に乗り込んで、大騒動を起こしたこと‥。




メガネ君がクク‥と笑う。

「あの時見てなかったですか?あのド修羅場ww」



その場面に遭遇しそこねた健太にはピンと来ない話だった。

しかしメガネ君は自販機に居る”横山の元カノ”を見つめながら、健太に話し掛け続ける。

「赤山と一緒に居ますね。そういや、赤山があの女と知り合いだって言ってたな」



「つーかここの学生なんですかね?大学で何してるんだろう。ま、いっか。行きましょ」



真相のパズルのピースが次々と出てくるが、真実は未だ繋がらずに宙に浮く。

健太の視線の先に居るのは、”佐藤の横に居た女”であり、”横山の元カノ”であり、”赤山の知り合い”‥。



「‥‥?」



どっちつかずの彼女。

健太はその美しい色素の薄い髪を見つめながら、疑問符を浮かべ続けた‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<どっちつかず>でした。

さて、雪ちゃんが口にしたこの言葉。

「このこの~どこでそんな情報仕入れてくんのよぉ。可愛い真似するじゃない」

「ていうか、どうして電算税務の本なんて持ってるんですか?目標が衆口難防じゃないですか」

「何?ナンボー?」



”衆口難防”とは、韓国の四字熟語で「多くの人々を全部口止めするのは難しいという意味」だそうで。

ここでは雪ちゃんが「目標が衆口難坊」と言っているので、

「美術に携わっているのに電算税務の本なんて持って、目標がフラフラしてますよ」という意味でしょうね。

つまり「どっちつかず」ということになるかな?と。(合ってんのかな‥)

*追記

CitTさんより、ここの追記頂きました!詳しくはコメ欄にて!


しかし雪ちゃん。いつもなら会話の節々に気を使う性質なのに、静香の前だと自然体に見えますよ。

亮然り、案外河村家の人間とは気が合うんじゃないですかね~。


次回は<分かっていたこと>です。


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