Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

牙を潜める虎

2015-09-08 01:00:00 | 雪3年3部(牙を潜める虎~了)


秋晴れの空に、鳥の声が響く。

雪は道を歩きながら、青田淳宛のメッセージを打っていた。

ただの同級生の集まりだけど、時間の都合つくようなら、良かったら来て下さい。

でも先輩の負担になるようなら、来なくても大丈夫ですからね




控えめなお誘い文。それを打ち終わると、軽く身だしなみを整える。

服についていた埃を払ったり、髪を耳に掛けたりして。

 

赤山雪、二十三歳。

今日は高校の同窓会を控え、いつもより少しおしゃれをしております

「ふぅーっ」



雪は若干ギクシャクしながら通りを歩いた。

久しぶりに履いたスカートが、なんともぎこちない。






ショーウインドウに映る自分。

どこかおかしなとこは無いだろうか?雪は厳しい鷹の目で、全身をチェックする。



その俊敏な動きに道行く人もビックリ‥。

久しぶりに施したお化粧は、上手く出来ているだろうか。



うん、及第点。

やがて雪は満足そうに頷く。

今日はそれなりにイケてるんじゃない?



ちょっとめんどくさかったけど‥

構わなすぎるのも良くないし、皆超盛ってくるだろうしな‥




数カ月前の夏休みに仲良し同士で集まった時も、散々ダメ出しされた身だ。

雪も今回ばかりは、ちょっと頑張ってみようと思ったのである。




はっ!



ふと、気配がした。

自分の隣に、とんでもない美人がいる気配がー‥。



なんと、河村静香だった。

ガラスに映った雪の顔を見て、静香はズバッと指摘する。

「あんたマスカラ、ダマになってるわよ。急いで塗ったの?ほらここんとこ。上も下も全部」

 

突如現れた静香の存在に、雪は頭で考えるより早く彼女に背を向けた。

けれど静香はまるで親しい友人のように、雪に話し掛け続ける。

「今日はちょっとマシじゃない。どっか良いとこでも行くの?」



そう言いながら、静香は強い力で雪の手首を掴んだ。

思わず雪の脳裏に、初めて彼女に会った時のことが思い浮かぶ。



雪は顔を青くしながら、静香に向かって声を上げた。

「またっ‥どうして‥っ?!」



しかし静香は掴んだ袖口をクルクルと巻くと、もう片方の手首も手に取った。

「こっち側も」



目を丸くする雪に、静香は微かに微笑んでアドバイスを口にする。

「この服は袖を捲った方が品が出るわ」






雪は捲られた両腕を上げ、ホールドアップの姿勢のまま固まった。

続けて静香は、雪の襟に手を伸ばす。

「そしてボタンは留める」



ポンポン、と留めた後のボタンに手を置きながら、

静香は満足そうに微笑んだ。



真っ青になりながら、ダッシュで彼女から逃げ出す雪。

「???」



しかし駆け出す前に、はた、と立ち止まった。

どうして私はこんなに逃げ腰なんだっけ??



よく考えたらもっと強気に出て良いのではないか。

よく考えたらマスカラがダマになってるだの突然服を直すだの、

失礼なことされまくりなんじゃないのか。

「あのっ‥!」



雪は強気な態度でそう言うと、勢い良く振り返った。

すると静香は涼しげに微笑みウインクをしながら、雪に向かって軽く手を振る。



「Bye bye~」



「なんで‥いつも‥」そう口にしても、もう既に静香は雪に背を向けていた。

あの獰猛な美しい獣を前にすると、いつも自分は空回りする‥。

「大学に来たり‥なんでいつも‥」



「な‥なんなの?一体‥」



攻撃してくると思いきや笑顔で、睨んでくると思いきや好意的。

その気まぐれな彼女の存在に、雪はいつも振り回される‥。






A大学教室。

席についた佐藤広隆の元に、河村静香は近寄り、挨拶をした。

「ハーイ広隆」

「え?あぁ‥来ないって言ってたのに‥



モグリとはいえ、授業に現れたり現れなかったりと掴めない彼女。

佐藤はじっと静香の横顔を見つめている。



ふと、机の上に乗ったテキストが目に入った。

そこには<電算税務>と書いてある。



じっとそのテキストを見つめる佐藤。

そんな佐藤と静香の元に、グルワメンバーの小西恵が声を掛けた。

「おはようございます、佐藤先輩!」



ニッコリと、穢れ無き天使のような笑顔を浮かべて。

「静香さんも、おはようございます」



静香は目を細め、微笑みながら挨拶を返した。

「あら」



「どーもー」



研いだ爪を隠しながら、静香は今笑顔を浮かべている。

虎が潜めた牙を剥くのは、きっともう少し先のこと‥。





一方雪は、味趣連メンバーで授業を受けているところだった。



携帯でメッセージを打っていた太一が、顔を上げて雪に話し掛ける。

「今日同窓会あるんですヨネ?萌菜さんが言ってました」

「んなことまで話してんの?」



仕事とまるで関係ない話まで交わしているらしい萌菜と太一。

どこか不満気な聡美の隣で、雪は二人を見守っている‥。




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<牙を潜める虎>でした。

牙を潜める虎‥という印象の静香さん。でも恵を見る目つきが怖い‥


そして雪ちゃんのスカート、久しぶりに見ましたね!

もしや聡美のお父さんが運ばれた時の病院以来‥?(三年前‥)

同窓会だけじゃなく、先輩とのデートでも履いてあげて‥!涙


次回は<断りの選択>です。


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