Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪と淳>共鳴

2015-09-04 01:00:00 | 雪2年(学祭準備~学祭)

赤い顔、荒い息遣い。

青田淳はソファに寝そべったまま、咳を繰り返していた。






それを見ている雪は、動揺のあまり思わず固まった。

続けてキョロキョロと辺りを見回す。

えっ‥さっきからおかしいと思ってたけど‥本当に具合悪かったの?






いつもなら笑顔でカバーする場面でも、不機嫌が隠しきれていなかった先程の彼。

おかしいとは思っていたものの、まさかここまで体調を崩していたとは‥。




学祭を明日に控えて、万全に準備された店内。

設営チームは皆散り散りに帰って行った。

ここまで仕上げたのは、おそらく大部分が青田淳の仕事のはずだ。



遠くで雨の音がする。

そしてそれに混じって、彼の熱っぽい吐息と喘鳴も。



ソファの背凭れの方を向いて寝ていた彼は、いつの間にか寝返りを打ち、今雪の方を向いて眠っていた。

その顔は熱っぽく赤らみ、息苦しさに僅かに歪む。



気付かなかった。

こんなにも具合が悪かったなんて。おそらく、誰も気がついてない。

雪は彼を見つめながら、心のどこかが震えるのを感じた。



その時、

初めて青田淳に対して、瞬間的に感じたものがある。

気の毒だという思いと、

今この瞬間だけは、この人は私と変わらないんじゃないかという感情と。




頭の中に、彼の声が響く。

やったからって誰も見てないって



あの時はただ見下されているのだと、ただバカにされているのだと、憤りばかりを覚えた。

けれど今、無防備な彼を前にして、その感情がだんだんと揺らいでいく。



雨の音が聞こえる。

先ほど雨に打たれて絶望を覚えていた自分と、一人暗い店内で熱に震える彼は、同じものなんじゃないか。

もしかしたら、この人もー‥



”誰も見てない”そう感じた時の感情の波紋が、

今目の前で息苦しそうに眠るこの人と、共鳴する。

雪は濡れた髪を触りながら、息を吐いた。







雪は濡れたレインコートを羽織ると、もう一度土砂降りの外に出た。

フードを両手で押さえながら、飛沫を上げて道路を走る。

病院は閉まってたから、薬局かコンビニ‥



雪は薬を買った後、足早にバーへと戻った。

裏口から入り、店内へ帰る前に倉庫に寄る。

確かこの箱にブランケットが‥



昨日整理した時の箱の中身を覚えていた。

雪は看病に必要なものを揃えると、小走りで店内へと戻る。



シンクでタオルを濡らし、ギュッと絞った。

箱から見つけ出したブランケットを、バサッと広げる。



彼を起こさないように、雪はそっとそれを掛けた。

スースーと規則正しい寝息は乱れること無く、青田淳は眠り続けている。



そしてここからが問題だった。

雪は恐る恐る、彼に向かって手を伸ばす。

「う‥」



聞こえないとは分かっていながらも、遠慮がちに声を掛け、雪は彼の身体に触れた。

「あ‥あのぉ‥はいすいません~‥靴は脱いで‥脚畳みましょうね~‥

顔は真っ直ぐに‥もうちょっと‥タオル乗せなきゃだから‥」


 

ソロリソロリと身体の向きを変え、なんとかミッションコンプリート。

雪は自分の手を改めてマジマジと見る‥。

触っちゃったよ‥あの青田淳に‥



‥一回触るも二回触るも、もう同じようなものだ。

雪はもう一度、額に乗せたタオルに手を伸ばした。

「ついでに‥」



そう言いながら、顔を伝う汗を拭う。

固く絞ったタオルは、その汗の水分で随分と湿った。

すごい汗‥



早いリズムで繰り返す呼吸。

これだけ身体を動かしたのに、全く気づきもせず眠り続けている。



前髪の先端から、雨粒が伝った。

雪は彼のことを見つめながら、深く一つ息を吐く。



窓の外では、未だ豪雨が降り続いていた。

誰もいない孤独の縁に今、彼と彼女だけが取り残されている‥。





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<雪と淳>共鳴 でした。

世界で一番遠いと思っていた存在を、一番身近に感じる瞬間。

先ほど、淳→雪にその瞬間が訪れ、今回雪→淳に訪れたんですねー。

お互いがその瞬間を同時に迎えないところが、読者としてはもどかしい‥!


次回は<雪と淳>指先 です。

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